ともに1970年代後半に生まれ、国境を超えて20年以上にわたる交流を持ってきたアジカンとAsh。アジカン主催のライブイベント「NANO-MUGEN FES.」での競演経験はあるものの、ともにツアーを回るのは初めて。全国5都市で展開されたツアーには後輩たちがゲスト出演し、KT Zepp Yokohama公演にはアジカンと同様に横浜出身の新鋭
「NANO-MUGEN CIRCUIT 2025」前説
開演と同時にステージに現れたのはアジカンの4人。ゲストの出番に際して「NANO-MUGEN FES.」同様に出演者たちの魅力を自らの言葉で説明し始めるも、話は開演直前に発表されたOasisの東京ドームへのゲスト出演について触れざるを得ない展開に。「先週オファーがあって。こんなことあるのか……」と半ば夢見心地の後藤正文(Vo, G)に続いて、山田貴洋(B)は「今日も一番いい夜になると思いますので、この勢いで東京ドームに立ちたいと思います!」と意気込んだ。
yubiori
そんな先輩のそわそわしたトークを経て登場したyubioriは、大野莉奈(Tp)が吹く鷹揚な音色と、田村喜朗(Vo, G)のポエトリーリーディング的なアプローチが光る「rundown」でライブをスタート。田村の前のめりでプリミティブな歌声、トリプルギター編成ならではの聴き応えのあるアンサンブル、東條晴輝(B)と中野慈之(Dr)の骨太なグルーヴがさっそくライブハウス内に渦巻く。
この日のセットリストには後藤がプロデュースした2ndアルバム「yubiori2」も盛り込まれ、青臭くもスケール感のある最新サウンドがたっぷりと観客に届けられた。ラストナンバーの「造花」では田村がハンドマイクを手にし、大野がトランペットをギターに持ち替えてかき鳴らす場面も。全員が晴れやかな表情を浮かべながら力強く歌い上げる姿に、オーディエンスは温かな拍手を送った。
Ash
Ashはリヒャルト・シュトラウス「ツァラトゥストラはこう語った」に大胆なロックアレンジを施した「Zarathustra」でライブの口火を切り、3ピースバンドならではのソリッドなアンサンブルで最新アルバム「Ad Astra」収録より「Fun People」をプレイ。ティム・ウィーラー(Vo, G)は「Fun times with fun people」と繰り返すこの曲を、フライングVを軽快に弾きながら歌い上げる。ポジティブなバイブスと躍動感に満ちた彼のパフォーマンスに呼応してフロアのあちこちで手が上がり、場内の空気も熱気を帯びていった。アジカンとともに巡った日本ツアーもこの日が最後とあって、メンバーも感慨深げ。
中盤でティムは関係者全員に丁寧に謝辞を述べると、「Are you ready to Rock and Roll?」と叫びハリー・ベラフォンテ「Jump In The Line」のカバーを豪快に鳴らしたのち、アジカンに捧げるようにデビュー曲「KUNG-FU」をプレイする。沸き立つオーディエンスに向けて、最後のプレゼントとばかりに、メンバーは喜多建介(G, Vo)を呼び込み「Burn Baby Burn」をセッション。喜多は少年のような笑みを浮かべながらストロークを繰り返し、音を介したAshメンバーとの交歓を味わっていた。
ASIAN KUNG-FU GENERATION
アジカンはAchico(Cho /
と、ここで、後藤は「プロとしてあるまじきこと」と謝罪しながら爪を切り始める。「Oasisとの競演が発表されてドキドキしちゃって」と照れ笑いしながら、「OasisもAshも背中を追いかけていた存在。Ashとは20年くらいの付き合いで、いつか一緒にツアーを一緒にやろうと話していたことが叶いました」としみじみ。「人はどこに呼ばれるかわからない。俺はこの3人に出会うために(横浜市)金沢区に来たんだな」と、奇せず合格した大学でアジカンを結成したことを笑いながら回顧した。そんな言葉から続いたのは「ライフ イズ ビューティフル」。4人は紆余曲折を経てこのステージに立っていることを噛み締めるように丁寧に音を紡ぎ、オーディエンスに贈った。
後半戦を彩ったのは、「夏蝉」「24時」「ノーネーム」といった近年のライブでは披露されていなかったレア曲の数々。驚きに満ちた歓声が上がる中、アジカンの4人はギアをトップに入れ、「君という花」でフロアの一体感を作り出す。そして、山田の豪胆なベースがうなりを上げたのを合図に「遥か彼方」に突入。衝動と盤石の両方を兼ね備えた、結成30年目の演奏で初期曲を高らかに鳴らした。
アンコールではティムとアジカンの共演という、スプリットツアーらしいコラボレーションも実現。アジカンメンバーも好きだというAshの「Starcrossed」を楽しげに奏で、「NANO-MUGEN CIRCUIT 2025」のクライマックスを盛り上げる。ティムを送り出した後藤は「アジカンカレンダーを4人で共有しているんですが、再来年までコンサートの予定がありましたので、またどこかで……」と穏やかな口調でファンとの再会を約束した。「NANO-MUGEN CIRCUIT 2025」の締めくくりの1曲は、昨年のメジャーデビュー20周年の節目に作られた「MAKUAKE」。この曲が終わると、優しいフィードバックノイズと拍手が溶け合う中、メンバーは一列に並び会場にいる全員に感謝の思いを伝えるように深く一礼をした。
セットリスト
「ASIAN KUNG-FU GENERATION presents “NANO-MUGEN CIRCUIT 2025” ASH×AKG Split Tour 」2025年10月21日 KT Zepp Yokohama
yubiori
01. rundown
02. いつか
03. Maxとき
04. せめてそれだけ
05. つづく
06. ギター
07. 造花
Ash
01. Zarathustra
02. Fun People
03. Braindead
04. Ad Astra
05. Shining Light
06. Keep Dreaming
07. Orpheus
08. Oh Yeah
09. Jump In The Line
10. Kung Fu
11. Girl From Mars
12. Burn Baby Burn
ASIAN KUNG-FU GENERATION
01. 君の街まで
02. ブラックアウト
03. サイレン
04. ライフ イズ ビューティフル
05. ソラニン
06. 夏蝉
07. 出町柳パラレルユニバース
08. 24時
09. ノーネーム
10. 君という花
11. 遥か彼方
<アンコール>
12. Starcrossed
13. MAKUAKE
FUJI @FUJI_error
一昨日に戻りたい‥3組共本当にいいライブだった
#アジカン https://t.co/YKvlfU9vUu