MONO NO AWAREの幸福感あふれたZeppワンマン、消えゆく過去も受け入れて

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MONO NO AWAREのライブツアー「MONO NO AWARE ONEMAN TOUR 2025」東京公演が10月8日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で開催された。

「MONO NO AWARE ONEMAN TOUR 2025」の様子。(撮影:マスダレンゾ)

「MONO NO AWARE ONEMAN TOUR 2025」の様子。(撮影:マスダレンゾ)

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思い出の“出窓”の現在は

最新EP「走馬灯」を携えて本ツアーを実施中のMONO NO AWARE。4人がZepp DiverCityでワンマンを行うのは2021年に実施したアルバム「行列のできる方舟」のリリースツアー以来だが、当時はコロナ禍の影響で観客の収容人数に上限が設けられていたため、制限のない状態ではこれが初となった。

MONO NO AWARE(撮影:マスダレンゾ)

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「平成狸合戦メインテーマ『元気節』」にノリながら登場した玉置周啓(Vo, G)、加藤成順(G)、竹田綾子(B)、柳澤豊(Dr)は「花粉」で軽やかにライブを開始。5月に行われたワンマン「波止場大サーカス」ではGROUPNによる豊富な演出が取り入れられたのに対し、今回は4人が奏でる音が鮮やかな照明のもと至極ストレートに次々と届けられる。ただでさえ舌を噛みそうな「かむかもしかもにどもかも!」は途中テンポアップし、玉置の滑舌の絶好調ぶりに会場のテンションが急上昇。EPに収録された、「me to me」のライブアレンジバージョン「me to me II」では徐々にスケール感を増していくサウンドがZeppをのみ込んだ。

「MONO NO AWARE ONEMAN TOUR 2025」の様子。(撮影:マスダレンゾ)

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その後、玉置が語ったのは、地元・八丈島で幼少期に祖父の家の出窓から飛行機が着陸するのを双眼鏡で眺めていた思い出。しかし隣の畑に設置されたカラス避けの影響で、今ではその出窓は封鎖されてしまったという。玉置がカラス避けにまつわる知識を披露し笑いを起こしてから、そんな出窓の思い出も歌われる「忘れる」の演奏へ。味わい深いエピソードにより情緒漂う会場に、優しいギターの音色が溶け込んでいった。さらにMONO NO AWAREはオルタナ色の強い「味見」、言葉と向き合うストレートなナンバー「言葉がなかったら」、哀愁漂うメロディがじわじわと熱を帯びる「DUGHNUTS」とバラエティに富んだ音楽性で観客を魅了する。11曲目は「同釜(long ver.)」。昨年のリリースからライブで披露されるごとに磨かれてきた、攻撃的なアンサンブルと衝動的なパフォーマンスにより、この日一番の熱狂が生み出された。

MONO NO AWARE(撮影:マスダレンゾ)

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「走馬灯」で広がった幸福感

加藤がこのライブに向けて「成功しますように」と神社で祈願したことを明かし「お客さんより楽しみにしていた自信があります。今日はありがとうございます!」と観客に感謝を伝え、ライブは終盤へ。EP収録曲「スノードーム」が始まるとミラーボールが光を跳ね返し、浮遊感のあるサウンドにぴったりの光景が広がった。切なくも熱い人気ナンバー「風の向きが変わって」では加藤が最後のギターソロでステージ前方へ躍り出て喝采を浴びた。

MONO NO AWARE(撮影:マスダレンゾ)

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「もう今日のSEがなんだったか覚えてらっしゃらないでしょう? それくらいすごいスピードで過去は消えていって、寂しいですが、それを楽しく考えたいですね。もう出窓は封鎖されているし、昔溺れた海は今では膝までになって。でも、いいじゃんっていう感じで行きたい。そういう気持ちをEPに込めました」と作品に込めた思いを語った玉置。「また観に来てくださったら幸せです。今日すでに幸せでした。楽しかった! 本当にありがとうございました!」と彼が言い放ち、ラストナンバーとしてEP表題曲「走馬灯」が奏でられる。死生を思わせながらも温もりに満ちたこの曲が音源よりも心なしか力強く響き渡り、会場が幸福感に包まれる中でライブはフィナーレを迎えた。

「MONO NO AWARE ONEMAN TOUR 2025」の様子。(撮影:マスダレンゾ)

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アンコールにて、MONO NO AWAREは自主企画「天下一舞踏会2026」を2026年に開催することを発表しファンを喜ばせる。そして「轟々雷音」「東京」を演奏して会場とひとつになりライブに幕を下ろした。

「MONO NO AWARE ONEMAN TOUR 2025」の様子。(撮影:マスダレンゾ)

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SpotifyとApple Musicでは本公演のプレイリストが公開されている。MONO NO AWAREは今後、10月24日に台北・Legacy Taipei、12月28日に福岡・BEAT STATIONでライブを行う。

MONO NO AWARE - ONEMAN TOUR 2025 at Zepp DiverCity (TOKYO)

セットリスト

「MONO NO AWARE ONEMAN TOUR 2025」2025年10月8日 Zepp DiverCity(TOKYO)

01. 花粉
02. 井戸育ち
03. もうけもん
04. かむかもしかもにどもかも!
05. 異邦人
06. me to me II
07. 忘れる
08. 味見
09. 言葉がなかったら
10. DUGHNUTS
11. 同釜(long ver.)
12. スノードーム
13. そこにあったから
14. 風の向きが変わって
15. 走馬灯
<アンコール>
16. 轟々雷音
17. 東京

公演情報

MONO NO AWARE ONEMAN TOUR 2025(※終了分は割愛)

2025年10月24日(金)台北 Legacy Taipei
2025年12月28日(日)福岡県 BEAT STATION

天下一舞踏会2026

2026年1月22日(木)大阪府 BIGCAT
2026年1月30日(金)東京都 LIQUIDROOM

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ぬけにんよーこ @nukeninyoko

本当にすごくいい夜だった☺️ https://t.co/R4RgWNsi9i

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