WOWOW「W座からの招待状」|良質な映画をお届け!「新聞記者」「ウィーアーリトルゾンビーズ」監督による交換レビューも

放送作家・脚本家の小山薫堂とイラストレーターの信濃八太郎がナビゲーターを務める番組「W座からの招待状」が、毎週日曜21時からWOWOWシネマで放送中。2011年にスタートしたこの番組では“今、もっとも観てほしい映画との出会い”をテーマに、製作費やヒットの規模にかかわらず良質な作品がレコメンドされている。

映画ナタリーで展開する特集では、7月に同チャンネルで放送を控える「新聞記者」の監督・藤井道人、そして「ウィーアーリトルゾンビーズ」の長久允による“交換レビュー”を掲載。さらに近日放送される7作についても紹介する。

レビュー / 藤井道人、長久允 文 / 秋葉萌実

「W座からの招待状」とは?

「W座からの招待状」

良質な映画作品の魅力を届ける情報番組。「おくりびと」の脚本家として知られる小山薫堂、かつて同番組に参加していた安西水丸の弟子であるイラストレーター信濃八太郎が案内人を務め、俳優の濱田岳が声の出演をしている。

「新聞記者」藤井道人×ウィーアーリトルゾンビーズ」長久允 両監督が交換レビュー!

「新聞記者」

※テレビ初放送
WOWOWシネマ 2020年7月19日(日)21:00~ほか

「新聞記者」

第43回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀主演女優賞、最優秀主演男優賞の3冠に輝いた政治サスペンス。ある新聞社に「医療系大学の新設」に関する極秘公文書が匿名FAXで届く。記者の吉岡は真相を突き止めるべく取材を始める。一方でエリート官僚の杉原は、現政権を維持するための世論コントロールという仕事に葛藤していた。2人の人生が交差した先に、衝撃の事実が明らかになる。

スタッフ / キャスト

監督・共同脚本:藤井道人
出演:シム・ウンギョン、松坂桃李、本田翼、岡山天音、西田尚美、高橋和也、北村有起哉、田中哲司ほか

 レビュー
可能性と希望が、ここに詰まっている

文 / 長久允(「ウィーアーリトルゾンビーズ」監督)

「新聞記者」。停滞する邦画界の中で、最重要作品だと思う。それは視聴者にとってもそうだけど、僕ら作り手にとってもかなり意味が大きい。希望希望希望なのだ!(いや、でもそれってつまり現実は絶望的だという反語でもあります)

まずは、なによりもこの映画で描かれる数々の「事実」を多くの人の目に届く形にしてくださったことに、感謝と敬意をお送りしたい。多くの場合、この手の不正のほとんどは権力によって隠されてしまう。本来は報道の役割なのだが、「NEWS23」の小川彩佳さんくらいしかちゃんと言葉にしてくれない。でもだからこそ、報道ではなく、あえてエンタテインメントの皮を被り、フィクションである前提としてでも、この時代が抱えてしまった闇にスポットを当て伝えることの可能性と希望が、ここに詰まっていると感じる。今だからこそ、映画だからこそ、できることがあるんだ! でもその映画づくりでさえ、ほとんどのメジャー作品は偽物の幸福感とプロパガンダのオンパレードだから騙されちゃいけない。だがこれは違う。とにかく観てほしい。映画は、芸術は、権力につぶされてしまいそうな声の、拡声器という機能を失ってはいけない。藤井監督にはどうかこの志の映画を100本作ってほしい(ご本人の展望とは違うかもしれないけど!)。「新聞記者2」でもいい。コロナの対応の愚についても興味がある。あとはそうですね、某広告代理店について、でもいいかもしれない。その時は取材協力させてほしい。

ちなみに、去年観たとき実は、時折思い出したように差し込まれる気合いがはいったアングルはあんまり好きじゃないなと思っていました。(意味深アングル派の僕がいう権利ないけど)でも何度も思い出すのはそのシーン。記憶に強く残すことの意味を、覚悟を、あとから理解して、今ではそこがとても好きです。

ああ本当に、もっとたくさんのひとに観ていただきたい。そうなるとつまり「新聞記者」は、映画館じゃなくてテレビでみる映画だと思う。WOWOWさんありがとうございます。この機会に、自分の友人に、妻に、親に、観てもらいたいっっ!

 コメント
「新聞記者」監督・藤井道人 コメント

藤井道人

「新聞記者」がはじめてテレビで放送されること、非常に嬉しく思っています。
この映画を撮ったことでもっと人生が大きく変わるかと思っていたら、全くそんなことはなく、今日も相変わらず脚本を書いています。
未来のことを、一緒に考えていける映画を目指して「新聞記者」を作りました。
是非、ご覧ください。