映画ナタリー Power Push - 「ターザン:REBORN」

愛する人と故郷を守るため、すべてを捨てて立ち向かう

桐谷健太インタビュー

日本版主題歌を[Alexandros]が書き下ろし

男は本能的にターザンに憧れている

──ターザンという人物像ですが、同じ男性から見てどうですか?

「ターザン:REBORN」より。

大人になると、例えば、頭がよくて、大企業に入って……というのがステータスになったりするけど、子供のときは、勉強ができるやつより運動ができるやつのほうがモテるというか、カッコいいというムードがあるじゃないですか。本能的に男はしっかり狩りができるとか、肉体的に強いとか、動物として優れている存在への憧れがあると思うんです。今作のターザンは、文明社会で本来の身分にふさわしい暮らしをしていたけど、故郷のジャングルに思いを残している。そして、愛する人を救うためにすべて捨てて大自然へと戻って行く、あの姿には憧れますね。

──では、周りの人から「ターザンっぽい」と言われたことは、桐谷さんにとってうれしいことだったんですね。

それが外見なのか、野性的な人だと感じてなのか、何を見てそう言ったのかはわからないけど、俺は褒め言葉として受け取ってます(笑)。

──一方で、今作のジェーンもかつてないほどたくましい女性です。こういう女性はいかがですか?

「ターザン:REBORN」より。

ターザンの奥さんになるような女性だから、そりゃ、めちゃめちゃ強いでしょ。女性もまた本能的には男性に強さを求めてると思うんです。ジェーン自身かなり強い女性だから、周囲の男性たちを見渡して「私のほうが強いな」と思っていたところに、ターザンが目に飛び込んできて「うわっ、いた!」みたいなんがあったんでしょうね。

──なるほど(笑)。

ジェーンは出会った相手が英国貴族だからとか、そういう打算なしに、直感に従ってターザンと一緒になる。実生活でもそういう女性のほうがいいですよね。みんなそうじゃないかなあ? どれだけ立場を利用してモテようとしてる男でも、ふとしたときに(しゃくれ顔で)「んー、ホンマに俺のこと好きなんかなあ?」と思ったりしてるんとちゃいます? 男がいくら強くても、絶対に女性にはかなわない部分もあると思うし、女性は男の中の強さと弱さを直感的に見分けているはず。ターザンとジェーンの関係は、男女の関係のベースにあるものをはっきり示していると思います。

今だからこそ表現できたものもあると思う

──昨今の桐谷さんは、三線を奏でながら歌うCMでも注目されるなど、新たにしっとりとした「静」の魅力も拡散中ですね。

だからって、女性がワッと集まってくるような現象は起きてないです(笑)。でも自分で意識しているわけじゃないのに、「色気が出た」とか「カッコよくなった」と言ってもらえる機会が増えてうれしいですね(笑)。昔は、自分のエネルギーが全面に出てしまっていた。でもその頃から、「しっとり」なのかはわからないけど、そういったものの小さなつぼみはあったのかもしれない。それが最近開いてきて、皆さんの目に留まるようになったのかな。これからもいろんな花が咲いていったらいいなと思います。

──新生ターザンの繊細な面も、今の桐谷さんだからこそ違和感なく表現できたんですね。

確かに、今作のターザンには落ち着いた大人っぽさもあるので、若い頃の「ガー!」っとした感じだけでは、ちょっと違ったものになっていたかもしれないですね。「ターザン:REBORN」は、本当にすっきり爽快な映画。ぜひ暑い日に、映画館へ足を運んでいただいて、大きなスクリーンとよい音響で観てほしいです。

桐谷健太
「ターザン:REBORN」2016年7月30日より3D / 2D公開
「ターザン:REBORN」
英国貴族として生まれながら自国の反乱に巻き込まれて両親を失い、コンゴのジャングルで動物たちに育てられたターザンことジョン・クレイトン。青年へと成長したターザンは人間の女性ジェーンと出会い、やがて結婚。ロンドンで実業家として裕福な暮らしを送っていた。そんな折、ターザンは英国政府よりベルギー国王レオポルド2世が統治するコンゴの外交視察の命を受け、アメリカ政府の要人ジョージ・ワシントン・ウィリアムズ、妻ジェーンとともに故郷を訪れる。だがそれは、レオポルド2世に仕える官僚レオン・ロムが仕組んだ罠だった。ロム一味にジェーンをさらわれ、故郷を侵略されたターザンは、妻と故郷を救うために立ち上がる。
スタッフ
  • 監督:デヴィッド・イェーツ
  • 脚本:クレイグ・ブリュワー、アダム・コザッド
  • 製作:ジェリー・ワイントローブ、デヴィッド・バロン、アラン・リッシュ、トニー・ルドウィグ
  • 製作総指揮:スーザン・イーキンス、ニコラス・コルダ、ブルース・バーマン
キャスト
  • ターザン / ジョン・クレイトン:アレクサンダー・スカルスガルド
  • ジョージ・ワシントン・ウィリアムズ:サミュエル・L・ジャクソン
  • ジェーン・クレイトン:マーゴット・ロビー
  • 首長ムボンガ:ジャイモン・フンスー
  • 首相:ジム・ブロードベント
  • レオン・ロム:クリストフ・ヴァルツ
桐谷健太(キリタニケンタ)

1980年2月4日、大阪府生まれ。2002年にテレビドラマ「九龍で逢いましょう」で俳優デビューし、2007年に「GROW 愚郎」で映画初主演を飾る。主な出演ドラマに「ROOKIES(ルーキーズ)」「天皇の料理番」、出演映画に「クローズZERO」「ソラニン」「BECK」「GONIN サーガ」「バクマン。」など。現在「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」が公開中。2017年に出演作「彼らが本気で編むときは、」の公開を控える。2015年よりauのCM「三太郎」シリーズで浦島太郎役を務めている。


2016年7月29日更新