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「火花」菅田将暉×桐谷健太インタビュー|好きなものへの恐怖と漫才師を生きる努力

又吉直樹(ピース)の芥川賞受賞小説を原作にした映画「火花」が、11月23日に封切られる。板尾創路が監督と脚本を担当し、2人のお笑い芸人の10年にわたる歩みを描き出す。お笑いコンビ・スパークスのボケとして笑いと真摯に向き合う徳永を菅田将暉、徳永が尊敬し、弟子入りを志願するお笑いコンビ・あほんだらの神谷を桐谷健太が演じ、彼らの脇を木村文乃、川谷修士(2丁拳銃)、三浦誠己らが固める。

映画ナタリーではダブル主演を務めた菅田と桐谷にインタビュー。役作りで気を付けた点や難しさを感じたシーンなどを語ってもらった。またauのコマーシャル「三太郎」シリーズでも共演している2人に本作の共演を通じて印象に変化があったかも尋ねた。

取材・文 / 伊東弘剛 撮影 / 佐藤友昭

プレッシャーとは違う怖さ(菅田)

──オファーが届いたときの心境を教えてください。

菅田将暉 面白い座組だなと思いました。又吉(直樹)さんの原作で、監督は板尾(創路)さん。しかも桐谷さんとまたしっかりとお芝居ができるだけじゃなく、お笑い芸人さんの役ということでワクワクしましたね。これはやらな!という意識でした。

菅田将暉

──菅田さんはインタビューなどでお笑い芸人さんへのリスペクトを語っていますね。芸人の役にプレッシャーはありましたか?

菅田 おっしゃる通り、お笑い芸人さんへのリスペクトは強く持っています。だから怖さはありましたけど、プレッシャーとは違いました。単純に好きなものへの恐怖ですね。僕の場合、好きだからと言ってやりたいって素直に思えるかというとそこは変に考えすぎてしまう部分があるので。

──何を考えすぎてしまうんですか?

菅田 例えばピアニストの役でピアノを弾くんやったら、なんとなく練習で上手になっていく過程が自分でもわかるんです。だけど漫才の稽古って、1人ではできへんし、2人で合わせてお互いにうまくなったと思っても、お客さんの前でやって笑いが起こらないと得られないものがある。自分の中だけで基準を作れないんですよ。

──なるほど。桐谷さんはいかがですか?

桐谷健太 俺の仲いい連れが原作出てすぐに本買ってたんです。それで「どうやった? 貸してや」って言うて……自分で買えやって感じなんですけど(笑)。そのとき「これ実写化あったら健ちゃん神谷あるで」みたいなことを言うてくれてたんです。

──ご友人の方の予想、的中ですね。

「火花」

桐谷 俺としてはそいつに「神谷に決まったで!」って言える喜びがありましたね。おとんや友達とかに「今度これ決まったで!」と言うのは単純にうれしいことで。連れに「来たで」って言ったら、「やっぱりか! 健ちゃんしか思い浮かべへんかったもん」って返してくれました。物語終盤に神谷がやったことを考えると「どうなんや?」って感じですけど(笑)。

菅田 俺のことどう思ってんねんって(笑)。

桐谷 そうそう、どういうことやって。もちろん、小説読んだ人の数だけ神谷のイメージがあるとは思うんですけど、自分なりの神谷をやらせていただけました。

ウケたときの喜びがにじみ出てくれれば(桐谷)

──役作りでこだわったのはどのような点ですか?

「火花」

桐谷 漫才師の役なのでちゃんと人前で漫才をして、痛い目にも遭い、そして笑ってもらう。そういうことをしてから現場に入らないといけないと考えてましたね。

菅田 僕もまずはやっぱり漫才でした。相方の山下を演じる(川谷)修士さんとできるだけ時間を共有することを心がけました。

桐谷 神谷は徳永たちスパークスより年齢も上で芸人としても先輩なので、徳永に「芸人ってこうよな」って話すところがけっこうある。そういうシーンは、人前で漫才をやっていろんな反応を受け取ってからじゃないとただ言うてるだけのセリフにしか聞こえないと思ったんです。

菅田 わかります。

桐谷健太

桐谷 それは嫌やったんで、イン前に相方(大林役の三浦誠己)と代々木公園やカラオケボックスで練習したり、ヨシモト∞ホールの舞台に立ってスタッフさんや構成作家、若手芸人の方々の前で漫才やったりしましたね。漫才シーンに向けての練習ではあったんですけど、人前でやることによってウケへんつらさとか、ウケたときの喜びとか言葉の端々に勝手ににじみ出てくるはずだと。

菅田 徳永に関しては、漫才シーン以外の日常は作るって意識はなかったです。彼の暗さや根っこにある関西人的な部分、少年でも大人でもない感じを抱えつつ、物語のラストまで演じながら経験していくしかないと考えてましたね。

──菅田さんと徳永は年齢が近いと思うんですが、シンパシーは感じましたか?

「火花」

菅田 共感できるところはいっぱいありましたね。銀髪に染めるところとか特に。あと神谷さんのことを舞台の袖で見てすごい笑っていたりする姿も。あの同業種にはわかるカッコよさと一般のお客さんに届くものは同じではないのかもしれない、という歯がゆさはもの作りをしている人みんなが感じていることなんじゃないかなと思います。神谷さんに怒鳴るシーンの言葉は、神谷さんに言いながらも俳優である自分自身にも言っているような感覚になりました。その場面だけでなく、又吉さんの書いた言葉の強さを大切にしたいと思っていました。

「火花」
2017年11月23日(木・祝)より
全国ロードショー
「火花」
ストーリー

お笑いコンビ・スパークスとしてデビューするもまったく芽が出ない徳永は、営業先の熱海であほんだらというコンビを組む先輩芸人・神谷と出会う。常識の枠からはみ出した漫才をする神谷に惹かれた徳永は、弟子入りを志願。神谷はそれを了承する代わりに「俺の伝記を作ってくれ」と徳永に頼む。その日から徳永は神谷のことをノートにつづっていく。2年後、徳永は大阪から東京に拠点を移した神谷と再会。2人は毎日のように飲み歩き、芸の議論を交わしながら才能に磨きをかけていくが……。

スタッフ

監督:板尾創路
原作:又吉直樹「火花」(文藝春秋刊)
脚本:板尾創路、豊田利晃
主題歌:菅田将暉、桐谷健太「浅草キッド」(作詞・作曲 / ビートたけし)

キャスト

徳永:菅田将暉
神谷:桐谷健太
真樹:木村文乃
山下:川谷修士(2丁拳銃)
大林:三浦誠己

菅田将暉(スダマサキ)
1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年に特撮ドラマ「仮面ライダーW」でデビュー。2013年に「共喰い」で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、翌2014年には「そこのみにて光輝く」「海月姫」で第24回日本映画批評家大賞助演男優賞などに輝いた。また2017年には「セトウツミ」「溺れるナイフ」で第26回日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を獲得。ほか主な出演作に「キセキ ーあの日のソビトー」「帝一の國」「銀魂」「あゝ、荒野」など。2018年4月27日に土屋太鳳とダブル主演を務めた「となりの怪物くん」が封切られる。また2015年よりauのコマーシャル「三太郎」シリーズで鬼役を担当。
桐谷健太(キリタニケンタ)
1980年2月4日生まれ、大阪府出身。2002年にテレビドラマ「九龍で会いましょう」で俳優デビューし、2007年に「GROW 愚郎」で映画初主演を飾る。主な出演ドラマに「ROOKIES(ルーキーズ)」「天皇の料理番」、出演映画に「ソラニン」「BECK」「GONIN サーガ」「バクマン。」「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」「彼らが本気で編むときは、」など。12月9日に大森南朋、鈴木浩介とトリプル主演を務めた「ビジランテ」の公開を控える。また2015年よりauのコマーシャル「三太郎」シリーズで浦島太郎役を担当。
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菅田将暉:スタイリング / 猪塚慶太
ヘアメイク / AZUMA
桐谷健太:スタイリング / 岡井雄介
ヘアメイク / 石崎達也