映画ナタリー Power Push - ハマ・オカモトとオカモトレイジが語る「シング・ストリート 未来へのうた」

ミュージシャンもしびれる青春音楽映画

「ONCE ダブリンの街角で」「はじまりのうた」のジョン・カーニーが監督を務めた「シング・ストリート 未来へのうた」のBlu-ray / DVDが、1月18日よりTSUTAYAにてレンタル開始となる(発売は2月2日)。本作で描かれるのは、1985年のアイルランド・ダブリンでくすぶる少年コナーが、恋とバンド活動をきっかけに成長していく姿。デュラン・デュランやザ・キュアー、ザ・ジャムといったそうそうたるアーティストの名曲、そして主人公が率いるバンドのオリジナル曲として登場するナンバーが、未来に向かって走り出す少年の青春を彩る。

映画ナタリーでは、劇場公開時に本作を絶賛したOKAMOTO'Sのハマ・オカモトとオカモトレイジにインタビューを実施。ミュージシャンの視点から、作品の魅力について語ってもらった。

取材・文 / 大谷隆之 撮影 / 入江達也

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オリジナル曲が本当によくて驚いた(ハマ)

──本作の封切り時(2016年7月)、ハマさんはコメントを寄せられてましたよね。「ひさしぶりに心の底から楽しめる音楽映画に出会えた」と(参照:「シング・ストリート」を岡村靖幸、大根仁、太賀、ハマ・オカモトが絶賛)。

ハマ・オカモト はい、少し早いタイミングで観せていただけて。すごく感動しました。「バンドやりたくなりました」とも書きましたが、あれはもう素直な本音。公開後、改めて映画館にも観に行きました。

オカモトレイジ 俺はハマくんから薦めてもらいました。「話もものすごく面白いし、何よりサントラがものすごくいいから絶対観たほうがいいよ」って。

ハマ デュラン・デュランやa-haだったり、実際の1980年代の音楽もいいのですが、それ以上に主人公のバンドが劇中で演奏するオリジナル曲が本当によくて。それに驚いたのが最初の印象です。なので、レイジだけではなくみんなに言って回っていて。自分が人からオススメされるのは全然好きじゃないくせに(笑)。

左からハマ・オカモト、オカモトレイジ。

レイジ そうだね(笑)。俺はOKAMOTO'Sのツアー中、最初は確か神戸の映画館で観ました。もうボロ泣きって感じでした。観終わってすぐパンフレットもサントラCDも全部買って。アナログ盤のレコードもイギリスから取り寄せました。それで、ツアーが終わってから、東京の映画館でまた観ました。ハマ・オカモトの推薦コメントが貼ってあって、悔しかったのを覚えています。

「バンド始めました」という時期の空気が出てる(ハマ)

──映画の舞台は1985年のダブリン。ハマさんとレイジさんが生まれる約6年前で、しかも当時流行の先端だったロンドンではなく、アイルランドのお話です。何がそこまで響いたんでしょう?

ハマ やっぱり登場人物に自分を重ね合わせられたことが大きかったと思います。主人公のコナーは何歳で「シング・ストリート」ってバンド始めるんだっけ?

レイジ 14歳。俺らがバンドを始めたのとちょうど同じ頃だね。

ハマ そういう、いかにも「バンド始めました」という時期の空気が、映画全体にすごくよく出てるんです。コナーはロック好きのお兄ちゃんにレコードを借りたりMTVでヒット曲のMVを観たりすると、すぐ影響されてしまうじゃないですか。あの、常に少し背伸びしていて、あとで思い出すと微妙に恥ずかしい感じ。

レイジ あるよね(笑)、俺らにもあった。

ハマ もう絶妙でした。僕らの場合、学校の上級生やライブハウスで知り合った先輩ミュージシャンが、コナーのお兄ちゃん的な存在だったと思います。国や年代は違っても、根本は同じなんだなというか。それが一番、映画に入り込めた理由かもしれませんね。

「シング・ストリート 未来へのうた」より。

レイジ 途中でコナーが、同級生を何人か無理やり体育館に集めて、バンドのMVを撮ろうとするじゃない? 自分の中ではイメージがパンパンに膨らんでるのに、集まってきた友達は全然訳がわかってなくて。

ハマ しかも、本当に来てほしかった女の子はいつまでも現れないという(笑)。

レイジ 演奏しながら体育館の入り口ばかり見てる感じ。あのシーンなんか「いや、わかるわー」と思いました(笑)。実際自分もありましたし。友達を文化祭のライブに誘ってみたものの、「本当に来てくれるかな」という経験だったり。

“文化祭あるある”(レイジ)

──映画だと、コナーの脳内で流れている架空のMVと殺風景な現実がフラッシュバックで映し出されて……より落差が際立つ演出でした。

レイジ 演奏中はヒートアップして何も見えなくなってるけど、終わって我に返ると誰もいない、という。あのギャップ感もものすごくリアルでした。実際、俺らも中学や高校時代にはMVをガンガン撮っていましたし。俺らはビデオテープじゃなくて、音楽に合わせて仲間とふざけ合っているのをデジカメで撮影して編集する感じで。

「シング・ストリート 未来へのうた」より。

ハマ やったね。映画と同じで、「MV撮るなら衣装が必要だ」と言って古着屋に行って。サイズの全然合ってないブカブカの背広を買ってきたり(笑)。あとから考えると笑っちゃいますが、子供だったので上下セットアップというだけで無駄にテンションが上がったり。その瞬間は、それが一番カッコいいと思い込んでいて。

レイジ 知識もスキルもないけど「とにかく楽しいからやっちゃいました」という勢いは、映画を観ていて強く思い出しました。

ハマ ジョン・カーニー監督自身が元バンドマンということが大きいと思いますが、そういう“バンドあるある”にまつわる嘘のなさでは、この映画は他の追随を許さない気がします。ラストの文化祭シーンもそう。舞台の上には、自分たちが世界で一番カッコいいと思い込んでいる男の子たちがいて。かたやフロアには音楽に一切興味なかったり、ただ単に騒ぎたいだけの奴がいて。両者の間にはとてつもない落差があるという。

レイジ “文化祭あるある”だよね。

Blu-ray / DVD「シング・ストリート 未来へのうた」

「シング・ストリート 未来へのうた」
2017年1月18日(水)TSUTAYAだけでレンタル開始 / 2月2日(木)発売 / 発売・セル販売元:ギャガ / レンタル販売元:カルチュア・パブリッシャーズ
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ストーリー

1985年、不況下のアイルランド・ダブリン。14歳のコナーは、父親が失業したため公立のシング・ストリート校に転校させられる。学校では校長のバクスターと不良のバリーに目を付けられ、家では両親が夫婦喧嘩を繰り返す毎日。彼の救いはイギリスから発信される最新の音楽を聴くことだけだ。そんなある日、コナーはモデル志望の少女ラフィーナに恋をし、「僕のバンドのミュージックビデオに出ない?」と声を掛ける。あわててメンバーをかき集めたコナーは、兄ブレンダンの助言によりオリジナル曲とミュージックビデオの制作を開始。ラフィーナとの距離も徐々に近付いていくが……。

キャスト

コナー:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ
ラフィーナ:ルーシー・ボイントン
ブレンダン:ジャック・レイナー
ダーレン:ベン・キャロラン
エイモン:マーク・マッケンナ
バリー:イアン・ケニー

スタッフ

監督・脚本:ジョン・カーニー
音楽:ゲイリー・クラーク、ジョン・カーニー
主題歌:アダム・レヴィーン「ゴー・ナウ」

OKAMOTO'S(オカモトズ)

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎とラモーンズに由来する。2010年5月に1stアルバム「10'S」でアリオラジャパンよりデビュー。2011年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '11」に初出演を果たし、10月には初のアジアツアーを開催した。2014年は8月にRIP SLYME、奥田民生らを迎えてコラボレーションアルバム「VXV」をリリース。2015年6月には岸田繁(くるり)のプロデュース曲「Dance With Me」と、「カップヌードル」CMソングの「Dance With You」を収録した両A面シングルをリリースした。同年9月に6thアルバム「OPERA」を、11月にシングル「Beautiful Days」を発表。2016年6月にシングル「BROTHER」をリリースし、12月21日には配信限定で発表された「Burning Love」のほか4曲が収録されたアナログ盤「BL-EP」を発売した。