対バンツアー「Dig the Deep」特集|Kroi×OKAMOTO'S 共鳴する2組が語る、音楽とバンド

Kroiが11月から12月にかけて対バンツアー「Kroi Live Tour "Dig the Deep" Vol.4」を開催する。

「Dig the Deep」は、Kroiがインディーズ時代から不定期で開催している対バンライブ企画。第4弾となる今回は福岡、愛知、東京、大阪、広島、宮城、北海道の7都市を舞台に、Tempalay、OKAMOTO'S、nobodyknows+、Nulbarich、Bialystocks、Ovall、クリープハイプというジャンルやスタイルも異なるゲストアクトを迎えて実施される。

音楽ナタリーでは「"Dig the Deep" Vol.4」の開催を記念し、Kroiの内田怜央(Vo)と長谷部悠生(G)、愛知公演のゲストであるOKAMOTO'Sのオカモトショウ(Vo)とオカモトコウキ(G)による合同インタビューをセッティング。Kroiが10月25日にリリースするメジャー1stシングル「Hyper」の話題を交えつつ、お互いの印象や共通点、ツアーに向けた意気込みを語ってもらった。

取材・文 / 黒田隆太朗撮影 / kokoro

Kroi結成のきっかけは長谷部悠生とハマ・オカモト?

──「"Dig the Deep" Vol.4」にはOKAMOTO'Sをはじめ、Tempalay、nobodyknows+、Nulbarich、Bialystocks、Ovall、クリープハイプといったゲストアクトの出演が決定していますが、まずは内田さんからツアーのコンセプトについて説明していただけますか?

内田怜央(Kroi / Vo) インディの頃からやっている企画で、最初はダメもとでTHE THROTTLEの兄貴たちにお願いしたところから始まりました。ジャンルに関係なく化学反応が起きたら面白いだろうという思いのもと、我々よりも先輩の方々にお声がけをして対バンするという企画で。今回で第4弾になるんですけど、これまで以上にジャンルレスなラインナップになった感覚があります。似たような音楽に縛られず、音でいろんな界隈とつながっていくところをお客さんには面白がってもらえたらうれしいです。

──そんなツアー2本目、Zepp Nagoya公演のゲストがOKAMOTO'Sです。皆さんはもともと面識があったんですか?

オカモトショウ(OKAMOTO'S / Vo) みんなで最初にセイハローしたのは、J-WAVEのイベントのときだっけ?

長谷部悠生(Kroi / G) そうですね。「INSPIRE TOKYO」でご挨拶させてもらいました。それが去年の7月くらいです。

オカモトコウキ(OKAMOTO'S / G) この前も福井のフェス(「ONE PARK FESTIVAL 2023」)で一緒だったよね。

左から内田怜央(Kroi / Vo)、長谷部悠生(Kroi / G)、オカモトショウ(OKAMOTO'S / Vo)、オカモトコウキ(OKAMOTO'S / G)。

左から内田怜央(Kroi / Vo)、長谷部悠生(Kroi / G)、オカモトショウ(OKAMOTO'S / Vo)、オカモトコウキ(OKAMOTO'S / G)。

ショウ でも、長谷部くんだけは昔からOKAMOTO'Sとつながりがあって。俺らの同級生が、長谷部くんが高校時代に所属していたバスケ部のコーチなんですよ。

──ええ!

ショウ それで長谷部くんは、ハマくんと最初に会っているんですよね?

長谷部 そうなんです。高校時代に進路で迷っている時期があって、部活のコーチに相談したら「ハマ・オカモトと仲いいから、彼に話を聞いてみれば?」と言ってくれて。高校3年の12月に1回お電話させてもらいました。

ショウ 何その話(笑)。

コウキ それは音楽の道に進むべきか相談したってこと?

長谷部 そうですね。

──ハマさんからはどんなアドバイスをいただいたんですか?

長谷部 いや、それはちょっと……。

ショウ 僕の胸の中に?

コウキ 大切にしまっておきたい(笑)。

ショウ ハマくんはどんなことを言ったんだろう。そのこともあって、初めてメンバー間でKroiの話をしたときにも、ハマくんは「俺はもっと昔から知ってるから」みたいな雰囲気を出していて。

コウキ (笑)。そのコーチから昔、「ライブに自分の教え子を連れて行きたいんだけどいいかな?」と連絡をもらったことがあって。「全然いいよ」って答えたんですけど、それがのちのKroiのメンバーだったという。

──学生の頃からOKAMOTO'Sのライブに行っていたんですね。

長谷部 高一くらいの頃に怜央と一緒にOKAMOTO'Sのツアーを観に行かせていただきました。確か新宿LOFTから始まるツアー(「OKAMOTO'S TOUR 2015-2016 "LIVE WITH YOU"」)で、僕らは会場の最前列で観たんですよ。

ショウ えー! うれしい。

内田 そのライブでレイジくんが盛り上がってフロアに倒れてきて、それを最前にいた俺が支えてました(笑)。

コウキ あったわ!

ショウ へえ、その話めちゃめちゃ熱いね。

──ハマさんの言葉が、長谷部さんをここまで導いたと言っても過言ではないかもしれない。

長谷部 僕がベースの関(将典)に連絡したのがバンド結成のきっかけになっているので、そもそもハマさんがいなければKroiはなかったのかも。

左から内田怜央(Kroi / Vo)、長谷部悠生(Kroi / G)。
左から内田怜央(Kroi / Vo)、長谷部悠生(Kroi / G)。

左から内田怜央(Kroi / Vo)、長谷部悠生(Kroi / G)。

OKAMOTO'Sの北海道事件

──内田さんと長谷部さんは、OKAMOTO'Sのライブに対してどんな印象を持っていますか?

内田 MCが好きすぎる。

コウキ (笑)。

ショウ KroiはMCをけっこうしますか?

内田 ほっとくとずっと話しちゃうんで気を付けてます(笑)。次の曲に行かないといけないからもう切り上げようみたいな。

コウキ 誰が一番しゃべるの?

内田 みんなでダラダラと(笑)。

長谷部 なのでフェスではしゃべらないようにしています。

内田 俺らって気持ち悪いぐらい仲いいんすよ。伊豆のスタジオで何日か合宿したんですけど、合宿終わりに盛り上がった勢いでみんなでディズニーに行くくらい仲よくて。

コウキ ええ?(笑)

長谷部 車で盛り上がっちゃって。

──OKAMOTO'Sはどうですか?

コウキ 仲はいいですよ。でも、普段は本当に話さないです。北海道でライブをしたときに、楽屋に鍋を用意してもらったことがあって。ショウさんがほかのメンバーにも聞こえるように「鍋っておいしいね」とか言いながら鍋をつついてたんですけど、みんな黙ったままスルーしていて。ハマくんだけが「……ああ」って薄く反応するという事件がありました。

ショウ 実況してたんですよ。「こんな具が入ってる」「すごいな」って。誰か反応してくれてもいいでしょ。

長谷部 (笑)。

ショウ という話を、ステージに出てMCで話すところまでがセットですね。

左からオカモトショウ(OKAMOTO'S / Vo)、オカモトコウキ(OKAMOTO'S / G)。

左からオカモトショウ(OKAMOTO'S / Vo)、オカモトコウキ(OKAMOTO'S / G)。

邦楽で食らったのはOKAMOTO'S

──お互いの音源や作品については、どんな感想を持っていますか?

内田 OKAMOTO'Sはロックやファンク、ソウル、ヒップホップなど影響を受けていると思うんですけど、その1つひとつの解像度がめちゃくちゃ高い。高い解像度のままいろんな音楽が織り交ざってるイメージがあります。

長谷部 初期のアルバムは洋楽のカバーが入っていましたし、アルバムの曲と曲の間の演出もすごく実験的にやっているイメージがあります。高校生の頃に洋楽しか聴かないような時期があったんですけど、邦楽で食らったのがOKAMOTO'Sでした。

ショウ うれしい。いつ死んでもいいよね?

コウキ うん、今のを聞いてバンドをやってる目的はほぼ達成しました。

Kroiはさらに上に行くんだろうなと思った

長谷部 コウキさんは雑誌「MUSICA」で「LENS」(2021年6月発表のメジャー1stアルバム)のディスクレビューを書いてくださいましたよね。

コウキ そうそう。ハマくんにつながりがあると知る前からKroiの音楽は聴いてたんですよね。ミクスチャー感覚でいろんな音楽をボーダーレスに自分たちのものにしていて、聴いていると「次にそれが来るんだ?」という驚きがあって楽しいんですよ。その出し方もいやらしくないというか、取って付けた感じがしないのがカッコいい。

ショウ 俺が最初に聴いたのは「Fire Brain」(2019年12月発表の2ndシングル)だったかな。まとまった作品だと「STRUCTURE DECK」(2021年1月発表のEP)だと思う。で、俺の中でKroiはさらに上に行くんだろうなと思ったのは「熱海」(2022年7月発表のアルバム「telegraph」の収録曲)を出した頃。

内田 おお!

ショウ あっこゴリラさんがコロナで「SONAR MUSIC」をお休みしたことがあって、僕が代打で出演したんですよ。それでKroiがコメント出演して「熱海」を流していて。音源を聴いたときに「おお! すげえ。これはKroi行くね」って思った。そういう意味で「熱海」がすごく印象に残っています。

長谷部 うれしいです。

左から長谷部悠生(Kroi / G)、内田怜央(Kroi / Vo)、オカモトショウ(OKAMOTO'S / Vo)、オカモトコウキ(OKAMOTO'S / G)。

左から長谷部悠生(Kroi / G)、内田怜央(Kroi / Vo)、オカモトショウ(OKAMOTO'S / Vo)、オカモトコウキ(OKAMOTO'S / G)。

Nirvanaがファンクをやってる

──Kroiはツアーの開催直前に新曲「Hyper」のリリースも控えています。この曲はアニメ「アンダーニンジャ」のオープニングテーマとして書き下ろしたそうですね。

コウキ 「アンダーニンジャ」面白いよね。

ショウ マジで面白い。

コウキ 作品の世界観もKroiに合ってるなと思った。内田くんと長谷部くんが出てても違和感ないというか。

ショウ わかる。

長谷部 ありがとうございます(笑)。

──「Hyper」は聴かれました?

ショウ もちろん。カッコよかったっす。Nirvanaがファンクをやってる、みたいな。

内田 おお! ずっとグランジはやりたくて、Kroiの音楽にどう落とし込もうかと考えていたんです。少し前に作った「pith」という曲で、グランジ×ファンク×ヒップホップみたいなことをやっていて、この公式めっちゃおもろいからもう1回やってみようと思って。「Hyper」はそれをブラッシュアップして作った感じです。

──長谷部さんはギターの演奏で意識したことはありますか?

長谷部 イントロのギターはそこでしか出てこないセクションですけど、この曲のつかみになるだろうと思って弾きました。そこでまさにカート・コバーンの荒々しさはリファレンスの1つでしたね。あと、今回は音をあまり重ねないようにしています。タイアップ曲はがんばって作っちゃうことが多いから、今回は抜いていったほうが作品に合うんじゃないかと思って。