OKAMOTO'Sレイジが語る「Neighbors Con」ラインナップ&最近のK-POP

「国境を越えたエンターテインメントを共有し合う架け橋となる」をテーマに掲げた音楽イベント「Neighbors Con」が11月25日に神奈川・Kアリーナ横浜にて開催される。ナタリーを運営するナターシャ、mediba、スペースシャワーネットワークからなるNeighbors Con実行委員会主催のもと立ち上げられた本イベント。初回となる11月の公演の出演者には、昼の部にWayV、NiziU、BOYNEXTDOOR、夜の部にNCT DREAM、BOYNEXTDOOR、POWと韓国にゆかりのある注目アーティストがラインナップされている。

11月の開催に向けて、音楽ナタリーでは2回にわたる特集を展開する。本稿には、長きにわたりK-POPシーンをチェックし、現在もDJで頻繁にK-POPをかけることでも知られるオカモトレイジ(OKAMOTO'S)が登場。レイジと交流のあるK-POP好きのライター・宮崎敬太をインタビュアーに招き、「Neighbors Con」のラインナップ(10月初旬の取材時点)を軸に、最近のK-POPシーンにまつわるディープなトークを繰り広げる。

取材・文 / 宮崎敬太撮影 / 藤記美帆

イベント情報

Neighbors Con

2023年11月25日(土)神奈川県 Kアリーナ横浜

DAY LIVE

OPEN 11:00 / START 12:30
<出演者>
WayV / NiziU / BOYNEXTDOOR

NIGHT LIVE

OPEN 16:30 / START 18:00
<出演者>
NCT DREAM / BOYNEXTDOOR / POW


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K-POPの作り手はロックを新鮮に感じてる

──ナタリーを運営するナターシャなどが主催に参画している「Neighbors Con」というイベントが11月に開催されます。現段階では、昼の部にWayV、BOYNEXTDOOR、夜の部にはNCT DREAM、BOYNEXTDOOR、POWが出演することが決まっていて、昼の部にはもう1組アーティストが追加されるそうです(※取材時は10月初旬。NiziUの出演は10月14日にアナウンスされた)。

俺、POWのことはそんな知らなくて。

オカモトレイジ(OKAMOTO'S)

──POWは、BTSが所属するBIGHIT MUSICからもともとデビューする予定だったヨチや「LOUD」出身のドンヨンといったメンバーが所属しているチームで、楽曲は元iKONのハンビンことB.Iが在籍するプロデューサークルー・White Noise Clubがプロデュースしているそうです。

え、ハンビン!? ボネクド(BOYNEXTDOOR)はZICOプロデュースでしょ? この企画、俺じゃなくて(臼田)あさ美ちゃんが出たほうがよかったんじゃないですか(笑)。

──奥様の臼田あさ美さんはどちらのアーティストもお好きですもんね。

そうそう。あ、そういえば昨日POWの「Favorite」って曲を聴いてきたんですけど、もしこの曲のリファレンスがMall Boyzの「POOLSIDE」だったら面白いなって思いました。たぶん違うと思いますけど(笑)。「POOLSIDE」って俺の韓国人の友達がビートを作ってるんです。Laptopboyboyってやつ。Futuristic Swaverって名義でラップもしてる。

──へー!

「Favorite」のギターの音とBPMがめっちゃ「POOLSIDE」みたいなんです。モロそっくりってわけじゃないけど、この2曲はかなりDJでつなぎやすい。なんならsplice(サンプリング音源が大量に公開されているサブスク型のWebプラットフォーム・splice sounds)で引っ張ってきてるネタが同じなんじゃないかとすら思ってます(笑)。これはボネクドにもRIIZEにも言えるけど、最近の新しい子たちはギターを使ってますよね。これって、俺がいわゆるK-POPのテンプレに飽きて、今ロックにハマってるのと同じ現象な気がするんですよ。K-POPの作り手たちにとってもロックが新鮮になってるんじゃないかと。

──レイジさんは去年から「K-POPに残されたジャンルはロックしかない」って言ってましたもんね。

そういう意味では、YENAとWOODZ(チョ・スンヨン / ex. X1)が早かったんです。YENAがBIBIとやった「SMILEY」はポップロックだったし、WOODZの「난 너 없이(I hate you)」もめっちゃソフトなビジュアル系ロックで。当時のK-POPのトレンドとは違うから爆発的には流行んなかったんですけど、あの感じが作り手たちのトレンドだったのかもって思ってたんです。それが日本に届いてないだけで。aespaのウィンターもライブでギターソロ弾いたりしてましたよね。で、ボネクドの「But I Like You」もギターですよね。あの曲、めっちゃいい。ZICOっぽいと思った。

「やっぱいい音楽を作るしかない」

──「But I Like You」はメンバーが制作に入ってるみたいです。ZICO感があるのは、コプロデュースでBlock.B「HER」とかを作ったPop Timeが入ってるからというのもあるのかも。

Pop Timeさんはもしかしてアムノレ(ZICO「Any song(아무노래)」)とかも関わってる?

──まさに。

なるほどね。めっちゃわかるわ。ボネクドってみんな超イケメンですよね。背も高そう。昔ってグループの中に1人2人はルックスがキャラ立ちしてるメンバーがいたじゃないですか。そういう人がいたほうが逆にグループが印象付くように思うけど。

──ボネクドに関しては自分たちで曲作りをするから、音楽性で個性を出していく意図があるのかも。ちなみに彼らはセブチ(SEVENTEEN)の大ファンらしいです。

イェップダ(「예쁘다(Pretty U)」)のカバーやってるの観ました。でもセブチっぽいかと言われるとそうではない。分類不可能。新しいですよね。どこまでZICOがこのグループに関わってるんだろう? どういうビジョンのもとでこの音になっていったのかが気になる。でも冷静に考えてみると、そもそもZICO自身がスタイル抜群で、イケメンで、作曲できて、ちゃんと踊れる人だからな。そのZICOがプロデュースしたグループということを踏まえると、ボネクドのこの感じはわかるっちゃわかるなあ。めっちゃ生で観てみたい。

──レイジさんにとってZICOはどんなアーティストですか?

ブロビ(Block B)時代の最後のほうはリアルタイムで追ってました。2010年代半ば頃の来日公演にも2回くらい行ったかな。昔「Block Bのでたらめ5分前」ってバラエティ番組があって、アイドルとは思えないほどぶっちゃけてたんですよ。あと「HER」の日本語版のミュージックビデオにゴールデンボンバーが出てたり。

──知りませんでした!

サビで突然ゴールデンボンバーが出てくるんです(笑)。日本の音楽業界がまだ“2.5世代K-POP”を理解できてなかったであろう時期だったから、ブロビの中のヴィジュアル系っぽい要素と結び付けてそういうことが起こっちゃったんだと思う。

──ブロビの中にビジュアル系っぽい要素ってありました? 僕の中でZICOはずっとイケメンB-BOYなイメージでした。

いやいやいや! それは最近のZICOの印象に引っ張られてます(笑)。「YESTERDAY」(2017年リリース)のMVとか思い出してください。確かに服はFENDIとか着てヒップホップっぽいのに、顔は、目の周りを黒く囲ったようないわゆる当時のK-POPっぽい、濃いめのメイクしてるんです。正直、あの感じは今でも謎っす(笑)。

──今思うと2015、6年頃ってK-POPの混迷期という感じがしますね。たぶんリアルタイムで見てきたレイジさんにとってはそういうめちゃくちゃな雰囲気のほうが逆にK-POPっぽいのかもしれないですけど。

まあ自分は全然後追いなんですけどね……。でもこういう大変な時期を経験して、現在の地位を確立したZICOだからこそボネクドのあの感じになるのかも。

──というと?

とにかく「いい音楽を作るしかない」ってことです。K-POPって変わったコンセプトを毎回やってみたり、凝ったMVを作ってみたり、いろいろな時期を経てきたじゃないですか。ZICOのようなプレーヤーはもちろん、ミン・ヒジンみたいな作り手たちもめちゃくちゃ試行錯誤してたと思うんですよ。その結果として「やっぱいい音楽を作るしかないよね」ってとこに行き着いたんじゃないですかね。