映画ナタリー Power Push - 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」

三浦春馬インタビュー 見えざるものとの戦いに捧げた日々

ワイヤーアクションは1人では全然できない

──ほかにアクションのための準備も必要だったんじゃないですか?

三浦春馬

ワイヤーアクションをかなり多用するということでしたし、経験もなかったので、どんなオーダーや変則的な動きにも対応できるように、外側の筋肉ということではなく内側の体幹をトレーニングしようと思い、内側の体作りを続けました。やらないよりはやったほうが不安要素も減っていくっていうのはわかっていたので、撮影に臨むにあたっての不安を拭うためにもトレーニングはがんばりましたね。

──初めてのワイヤーアクションの感想は?

クランクインの前にみっちり練習させてもらったのが、すごく気持ちよかったんです。空をぐるぐる飛んでいる時間がホントに楽しかったです。

──でも大変さもあったのでは?

ワイヤーアクションは1人では全然できない。吊られている状態なので、自分1人ではまったくその位置から動けないし、アクションコーディネーターの皆さんが引っ張ってくれないと躍動感も出ないんです。しかも、手に持ってるトリガーの操作で立体機動装置からワイヤーが出て、アンカーが壁に突き刺さってワイヤーを巻き取る、それに体が付いていくっていう動作をしなきゃいけないんですが、スタッフの皆さんと呼吸をあわせないと連動しないんです。

──しかも芝居もしつつですよね。

そうなんです。動作の一瞬の間にこういう表情をしてほしいっていうような演出もあって……。ひとつの動きに大勢の人が関わっているので、なかなか成功しない、息があわないということがしょっちゅうありました。でも、そういった大変な時間を皆さんと共有できたのは、いい経験だったかなとも思います。

僕たちは見えない場所で見えないものと毎日戦っていた

──クランクインは先日世界遺産に登録された軍艦島(長崎県・端島)だったそうですね。

長崎・端島での完成報告会見の様子。左から本郷奏多、水原希子、三浦春馬、石原さとみ、樋口真嗣。

僕たちは観光客の方が入れない立入禁止区域で撮影させてもらったんです。だから普通に見ることができるところ以上に朽ち果てていて、不思議な雰囲気を感じました。ところどころに昔住んでいた方の生活の痕跡が残っていて、活気があった当時の人々の“気”みたいなものが現地に残っているような気がしました。

──セットにはないエネルギーがあったんですね。

そうなんです。それに危険もありました。足場は悪いし、上からいつコンクリートが落ちてくるかわからない状況だったので。本番以外のときは、全員ヘルメットを被って撮影に臨んでいました。“作品を撮るために僕たちは来たんだ”“地に足つけてやっていくんだ”という気持ちをしっかり持って挑まないと、足もとをすくわれそうな、そんな気がする場所でした。

──いい意味での刺激になったということでしょうか。

気持ちが引き締まりました。それと、セットに帰ってからCG撮影をするときに軍艦島の実景をイメージできたのですごく助かりました。撮影順を配慮していただいていたんだなとあとから気付きました。

──スタジオでの撮影はどうでしたか? CGのシーンが多いということはグリーンバックでの撮影がメインだったと思いますが。

僕たちはホントに見えない場所で見えないものと毎日戦ってました。ほぼグリーンバックの壁とじゅうたんのなかで撮影していたので。だから、完成した映画を観たとき、こんな映像になってるんだって驚きました。お客さんとは全然違う種類の感動が味わえました。

三浦春馬

──あれがこうなってる的な?

“あれ”っていうものがそもそもないんです(笑)。

──なるほど(笑)。

ちょっとでも“ある”ものの話をすると、アルミンを助けるために巨人に食べられるシーンでは、歯の部分のない巨大な入れ歯の中でアルミンと一緒にヨダレまみれというかローションまみれになって「アルミン!」「エレン!」とやっていたんです。

──ものすごく想像力が必要そうですね。

僕たちが撮影しているときは、ただの青い縁だったものが、映像で観るときちんと巨人の歯になっているんです。そういうことに毎回感動していました。それがいかにすごいことなのか、お客さんにも知ってもらえたらうれしいなと思いますけど、観ていただけるだけでうれしいので、ぜひ観に来てください。夏休みの一大イベントであり、皆さんの心の中に残る作品になればいいなと思っています。

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「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」2015年8月1日より全国東宝系にて公開 / 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」2015年9月19日より全国東宝系にて公開

「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」
スタッフ

監督:樋口真嗣
原作:諫山創(講談社「別冊少年マガジン」連載中)
脚本:渡辺雄介、町山智浩
特撮監督:尾上克郎
主題歌:SEKAI NO OWARI「ANTI-HERO」
音楽:鷺巣詩郎

キャスト

エレン:三浦春馬
シキシマ:長谷川博己
ミカサ:水原希子
アルミン:本郷奏多
ジャン:三浦貴大
サシャ:桜庭ななみ
サンナギ:松尾諭
フクシ:渡部秀
ヒアナ:水崎綾女
リル:武田梨奈
ソウダ:ピエール瀧
ハンジ:石原さとみ
クバル:國村隼

三浦春馬(ミウラハルマ)

1990年4月5日、茨城県生まれ。ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍中。2006年「キャッチ ア ウェーブ」で映画初主演、2008年「ブラッディ・マンデイ」でドラマ初主演を果たす。2007年「恋空」で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞、2008年「奈緒子」で第63回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞。その後も「君に届け」「東京公園」「真夜中の五分前」などで主役を務め、2013年公開の「永遠の0」では第38回日本アカデミー賞優秀助演男優賞に輝いている。

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2015年9月18日更新