「君が世界のはじまり」松本穂香×中田青渚×片山友希×金子大地×甲斐翔真×小室ぺい×ふくだももこ 座談会|ほとばしる希望と絶望、どこにも行けない高校生の“はじまり”の物語

実際の人物像とキャラクター、一番近いのは?

──演じた人物との共通点も聞かせてください。リアルな人物像と一番近いのは誰だと思いますか?

甲斐翔真

甲斐 僕はあれくらいさわやかで……(笑)。

ふくだ 自分で言う(笑)。

松本 ふふふ。近いのは片山さんかなあ。私のイメージとは合ってるかも。

片山 確かに純の寂しさには共感できるところがありました。数年前、何もかもにムカついて誰にも何も言わずに上京したんです。そのときの寂しさは、純を通して表現できるなと。イラッとするタイミングが一緒というのも最初から感じていました。

松本 私は縁とは全然違うんですが、感情を表に出さないところは共通してると思います。「テンション上がることあるの?」ってよく聞かれるので。でも実際はジェットコースターみたいに情緒不安定で、家で泣いたりしてます(笑)。私も純に近くて、親に対して愛情があるからこそイライラ、モヤモヤしちゃうことがある。

片山 そうなんや、なんか意外。

松本 キャラクターとかけ離れているのは青渚ちゃんかな。

中田 そうですね。(きっぱりと)似てるところはないです!

左から松本穂香演じる縁、中田青渚演じる琴子。

──高校2年生で8人と付き合った経験があったり、授業をサボってたばこを吸ったり、琴子は型破りですもんね。

ふくだ 琴子は静か動で言ったら確実に動で、身体的なキャラクター。青渚ちゃんから「最近夜に走ってる」という話を聞いたときに、走りたくなる気持ちとそれを行動に移せる体があるんだったら大丈夫だと思いました。

中田 琴子の激しさに追いつくためにどうしたらいいのかわからなくて、とりあえず走ってみたんです。意味があったのかはわからないですけど……。

ふくだ その衝動自体が琴子みたいだね。

ひと目惚れはアリかナシか

──たくさんの人と付き合ってきた琴子は、ある日業平にひと目惚れをします。皆さんはひと目惚れを信じますか?

中田青渚

松本 私は信じてます。

中田片山金子甲斐 (うなずく)

小室 僕は誰かを知っていく中で好きになることはあっても、見ただけでというのはないかなあと。

──なるほど。ではなぜ琴子は業平にひと目惚れをしたと思いますか?

小室 うーん、なんだろう。

中田 私は今までにひと目惚れしたことないんですけど、琴子が業平くんを好きになる気持ちはわかる気がして。高校生の男の子って純粋ではない部分があるじゃないですか。その中で業平くんは彼らと違って見えた。出会ったときに彼は泣いているんですが、男の子が1人で涙を流しているのを見るのは琴子にとって初めての経験だと思うし、その衝撃も大きかったんじゃないかなと。

松本 下心がない感じだよね。

ふくだ そうやと思う、本当に。

左から小室ぺい演じる業平、松本穂香演じる縁。

中田 琴子は今までに下心のある目で何度も見られてきた。でも業平くんには不純物がないというか、初めてきれいな目で見てくれたのが彼だったんだと思います。

──岡田は琴子に憧れていますが、あれも恋なんですかね?

ふくだ 恋なんじゃないですかね? どうなんでしょう。

甲斐 恋かもしれないけど、岡田はたぶんそれが恋であることに気付いていない。憧れという意味では、岡田の目線にも不純物はないと思います。

中田 でも、琴子には岡田が見えてない。

片山 一番かわいそうなキャラクターかも(笑)。

ふくだ でもそこがいい!

甲斐 自分が持っていないものを持っている人のことが気になるというのは、高校生に限らずありますよね。相手が振り向いてくれるかどうかは別として(笑)。

青春にもそれぞれの色

片山友希
小室ぺい

──皆さんはどんな高校時代を過ごしたんでしょうか?

金子 (即答で)楽しかったです! 何か悩みがあったかなと思い返しても思い出せないくらい。何も考えてなかっただけかもしれないですが。

片山 私は高校1年のときは楽しくなくて、2、3年のときは楽しかった。クラスに笑いのトップの人っているじゃないですか。1年のときはその笑いと自分が合わなかった。

甲斐 ありますよね、そういうカースト。

──小室さんは高校在学中に結成したロックバンド・NITRODAYのボーカル / ギターとして現在も活動していますが、当時からよくライブをしていたんですか?

小室 軽音楽部でバンドをやっていました。でもみんなダンス部とかを観に行っちゃうので、僕は隅っこの教室で(笑)。

──業平のように大きな悩みはなかったですか?

小室 いろいろありましたね。でもこれは言ったら怒られそう……。

ふくだ (優しい目線で)無理に言わなくていいんだよ(笑)。

松本 私もそんなにエンジョイはしてないかも。楽しい瞬間はたくさんあったし、大事な友達もできたけど、キラキラはしてなかったですね。

──映画の登場人物も、いわゆるキラキラした青春を謳歌しているわけではないです。そして実際にそういう高校生たちがこの映画を観に来ると思います。彼らに何かを伝えるとしたらどんな言葉を掛けますか?

松本 うーん、難しい。……いいことも悪いことも含め人生は地続きってことですかね。やり直したいと思うことはあるかもしれないけど、過去と現在はつながっているから今高校時代に戻れたとしてもやっぱり同じ生活をしているなと。青春にもそれぞれの色があっていいんだと思います。