「火花」菅田将暉×桐谷健太インタビュー|好きなものへの恐怖と漫才師を生きる努力

本当におりそうな人間に見えなあかん(桐谷)

──難しいと思ったシーンをそれぞれ挙げていただけますか。

桐谷健太

桐谷 シーンではないんですが、神谷がキャラクターではなくて、本当におりそうな人間に見えなあかんなって意識してました。血が通った人間じゃなきゃ駄目だと。例えば殺し屋の役とかってやりやすいと思う。クールな感じとか、用意されたイメージがあるんで。あとたぶん会ったことないし(笑)。でも神谷って話だけ聞いたら「何その最低な人」ってなると思うんです。同棲してる真樹(木村文乃)が誰かに相談したとしたら、そういう感想が戻ってくる男ですよね。でもそう言った人が神谷に直接会ったら「悪い人でもないなあ」と感じるはず。そのニュアンスが難しい。

菅田 確かに。わかりやすいなあ。

「火花」

桐谷 徳永は天才って思うけど、「え? 何がおもろいの?」って感じる人もおる。わかる人にはわかる人物であることを観ているみんなに伝えなくてはいけない。そういう意味では電車に乗ってるシーンで「(真樹とは)付き合ってないなあ。でも徳永に会うって言うたら金くれるから。金もらってる」というセリフが難しかったですね。

菅田 あそこのセリフはほんまムズいでしょうね。絶妙なバランスですよね。

桐谷 そうやねん。嫌なヤツに見えたらあかんし、変に暗く真剣に言うたら観客の人が「ならやめとけよ」と思ってしまうやろうしな。そのうえで徳永が憎めないような空気感、「やめましょうや」と思いつつも「それがまあ神谷さんなんかなあ」って思わせなあかん。そこは模索しましたね。

──菅田さんはいかがですか?

「火花」

菅田 徳永と神谷の珍道中を大切に演じましたね。酔っ払ってケツを蹴ってゲラゲラ笑っていたり、普通に散歩をしていたり、卓球したりとか、ああいうシーンって象徴的で強烈な思い出ではないけど、「あんなバカなこともしてたなあ」って感じるものだと思うんです。観てるときは引っかからないと思うんですけど振り返ったときに印象に残ってるものというか。そういうシーンって絶妙なエネルギーがいるんですよ。新鮮でなければいけないから。その新鮮味は落とされへんと考えてましたね。

──2人の何気ない日常はキラキラしてました。

菅田 あと神谷さんが「真樹の部屋に行くの怖いから付いて来てくれ。でもそれだけじゃ不安やから勃起しとってくれ」って言葉に対して「え!? 勃起ですか?」と返すところがあるんですけど、このセリフが一番難しかったです。真面目に考えれば考えるほど違うというか。素直にそこはリアクションなわけで。

桐谷 笑っていいもんかどうかようわからんもんなあ。

菅田 そうなんですよ。だからその絶妙なところ、新鮮さが大事だなと。神谷さんとの時間は奇天烈なもの、衝動的なものの連続なので。

徳永と神谷さんは僕と桐谷さんの関係そのまんま(菅田)

──お二人はauのコマーシャル「三太郎」シリーズでご一緒されてますね。今回映画で共演してそれぞれの印象に変化はありましたか?

桐谷 別にないなあ(笑)。

菅田将暉

菅田 全然ないですね(笑)。

桐谷 「三太郎」の前に僕ら「Y・O・U やまびこ音楽同好会」というドラマで4年前に共演してて。

菅田 そうでしたねえ。

桐谷 そっから「三太郎」まで空いたけど、関係は全然変わってなかった。初めからこの空気やったよな。

菅田 変わんないです。なんか親戚みたいな感覚ですね。

桐谷 会ったことはなかったけど地元も近いし。高校は同じ学区ですわ。

菅田 そうなんですよ。同じ学校に行っていた可能性がある。お互いの学校も知ってますし。

桐谷 だから将暉は、地元に残ってる俺の伝説も知ってる。高校の頃俺が作ってた雑誌「ケンズノンノ」とか(笑)。

菅田 そうそう(笑)。あと僕は初めて共演したときから、徳永の神谷さんへの第一印象である「なんやこのカッコいい人」という感覚を桐谷さんに感じてたんです。面白いという意味でのカッコいい人というのが僕の中での桐谷さんの印象だったので、徳永と神谷の関係は本当にそのまんまでしたね。

「火花」

桐谷 俺が将暉の役作りの時間を減らせたんやな。

菅田 (笑)。ほんまありがとうございます。助かりました。

桐谷 はははは。カッコいいと思うとこから始めんの大変やもんな。全然おもんないやつをすごいと思わんといかんのはしんどいですから。その時間を短縮できたんならよかったわ。

菅田 そのおかげで時間取れてよく寝れました。桐谷さんじゃなかったら睡眠時間が変わってましたわ。

桐谷 ちょっとでも将暉の睡眠時間を増やさな思ってな、必死やったわ。

菅田 寝れとるわい!(笑)

左から菅田将暉、桐谷健太。

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「火花」
2017年11月23日(木・祝)より
全国ロードショー
「火花」
ストーリー

お笑いコンビ・スパークスとしてデビューするもまったく芽が出ない徳永は、営業先の熱海であほんだらというコンビを組む先輩芸人・神谷と出会う。常識の枠からはみ出した漫才をする神谷に惹かれた徳永は、弟子入りを志願。神谷はそれを了承する代わりに「俺の伝記を作ってくれ」と徳永に頼む。その日から徳永は神谷のことをノートにつづっていく。2年後、徳永は大阪から東京に拠点を移した神谷と再会。2人は毎日のように飲み歩き、芸の議論を交わしながら才能に磨きをかけていくが……。

スタッフ

監督:板尾創路
原作:又吉直樹「火花」(文藝春秋刊)
脚本:板尾創路、豊田利晃
主題歌:菅田将暉、桐谷健太「浅草キッド」(作詞・作曲 / ビートたけし)

キャスト

徳永:菅田将暉
神谷:桐谷健太
真樹:木村文乃
山下:川谷修士(2丁拳銃)
大林:三浦誠己

菅田将暉(スダマサキ)
1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年に特撮ドラマ「仮面ライダーW」でデビュー。2013年に「共喰い」で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、翌2014年には「そこのみにて光輝く」「海月姫」で第24回日本映画批評家大賞助演男優賞などに輝いた。また2017年には「セトウツミ」「溺れるナイフ」で第26回日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を獲得。ほか主な出演作に「キセキ ーあの日のソビトー」「帝一の國」「銀魂」「あゝ、荒野」など。2018年4月27日に土屋太鳳とダブル主演を務めた「となりの怪物くん」が封切られる。また2015年よりauのコマーシャル「三太郎」シリーズで鬼役を担当。
桐谷健太(キリタニケンタ)
1980年2月4日生まれ、大阪府出身。2002年にテレビドラマ「九龍で会いましょう」で俳優デビューし、2007年に「GROW 愚郎」で映画初主演を飾る。主な出演ドラマに「ROOKIES(ルーキーズ)」「天皇の料理番」、出演映画に「ソラニン」「BECK」「GONIN サーガ」「バクマン。」「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」「彼らが本気で編むときは、」など。12月9日に大森南朋、鈴木浩介とトリプル主演を務めた「ビジランテ」の公開を控える。また2015年よりauのコマーシャル「三太郎」シリーズで浦島太郎役を担当。
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菅田将暉:スタイリング / 猪塚慶太
ヘアメイク / AZUMA
桐谷健太:スタイリング / 岡井雄介
ヘアメイク / 石崎達也