最上もがが語る「ヘレディタリー/継承」 | 世界が震撼した“現代ホラーの頂点”「みんなの感想を聞きたくなる」

「現代ホラーの頂点」「ホラー映画の常識を覆した最高傑作」と批評家からの絶賛を受けた「ヘレディタリー/継承」が、11月30日より公開される。

映画ナタリーでは、ホラー映画好きとして知られる最上もがへのインタビューを実施。ある一家を襲う想像を絶する恐怖、そして死よりも残酷な運命を描いた本作の感想を聞いた。

取材・文 / 平野彰 撮影 / 入江達也

2018年最恐のホラーが満を持して日本に上陸!

2018年のサンダンス映画祭でプレミア上映され、“新世代の「エクソシスト」”と海外メディアが報じるほどに絶賛されている「ヘレディタリー/継承」。

「ヘレディタリー/継承」

オーストラリアの映画館では、陽気なコメディ「ピーターラビット」の上映前に誤って「ヘレディタリー」の予告編が流されるというアクシデントが。親たちが劇場に映像を止めるよう叫び、恐慌状態に陥った子供たちの目と耳を手で覆ったというニュースが報じられた。

また、日本では映画評論家の柳下毅一郎が「今年一番怖く、今年一番嫌。観ている最中、ひさびさに『もういい、これでやめてくれ!』という気持ちになりました」と太鼓判!

「ヘレディタリー/継承」

最上もがインタビュー

現実逃避の手段としてホラー映画を観始めた

──もがさんはブログなどでホラー映画がお好きだと公言されていますよね。映画の中では一番お好きなジャンルなんでしょうか。

そうですね。ホラー映画といっても人間が怖いもの、幽霊が怖いもの、悪魔が出てくるもの、怪物系が出るものといろいろありますけど、一番観るジャンルだと思います。

──「イット・フォローズ」や「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」など海外のホラー映画を多く観られているようですね。

最上もが

日本のホラー映画は苦手なので、観ないんです。昔は「リング」とか観てたんですけど、めちゃくちゃ怖くて、トイレに行くのも嫌になったぐらいです。日本のホラー映画は陰湿なイメージがあるんですよね。でも海外のホラー映画って、明るい音楽を挟んだりするじゃないですか。ちょっとギャグが入っていたり。そういう、バカバカしいところも込みで好きなんです。あと、日本のホラー映画を観ないもう1つの理由は、知ってる人が出ているとちょっと観にくいから。役者さんの知り合いが増えたんですけど、その人が実際に存在していることを知ってるから、「これは作りごとなんだ」という前提で観ちゃうんですよ。でも海外の俳優なら、直接は知らないですから。調べればこの女優さんはあの作品に出ているとかわかりますけど、プライベートを知っているわけじゃないので、気軽に観られます。

──なるほど。海外のホラー映画で、特に印象に残っているものはありますか?

「グリーン・インフェルノ」が好きです。あとは「ミスト」「CUBE」とか「死霊館」シリーズとか。

──そもそも、なぜホラー映画を多く観るようになったんでしょうか。

きっかけは、ストレス発散のためなんです。というのも、家に帰ってから仕事とか人生について考えることが多くなって。不安になったり、何も発散できずモヤモヤしているのが嫌だったんですけど、ホラー映画を観たら恐怖のほうが勝るだろうと思ったんです。怖いものを観れば嫌なことを忘れられるという、ある意味での現実逃避の手段として、観始めました。

──観るときはいつもお一人ですか?

基本的には1人で観ますね。周囲にはホラー映画が好きな人があまりいなくて。でも映画は好きだけどホラーは苦手な子が、ぼくと一緒だったら観られるって言うから、何度か付き合ってもらったりしたことはありました。

観直す楽しさがある映画

──「ヘレディタリー/継承」のことは、観る前からご存知でしたか?

ファンの子が教えてくれました。ぼくがホラー映画好きなことを知っているので、Twitterで「これ気になってるんだけど、どう?」と聞いてきて。なので、存在は知っていました。今年も多くのホラー映画が公開されていますが、あまり怖くなかったんですよ。だから“現代ホラーの頂点”と言われている「へレディタリー/継承」にはけっこう期待していましたね。

──実際に鑑賞されてみて、いかがでしたか?

「ヘレディタリー/継承」劇中に登場する不気味な人形を持つ最上もが。

じわじわ来る映画だなあ、と思いました。特に感じたのは、音楽がめちゃくちゃよかったっていうことです。「来るぞ来るぞ」みたいな曲調になっていて、観ている人を脅かす効果が抜群だと思いましたね。序盤からずっと怖いんじゃないかな。音響のいい劇場で観ることをオススメします。音楽面で言うと、エンドロールで流れる明るい曲(ジュディ・コリンズが歌う「青春と光の影」。作詞作曲はジョニ・ミッチェル)も不気味でした。暗い音楽のまま終わるより、「まだ何かあるかも」という気持ちになる。全体的に、人を不安にさせる構成になっているんだなと感じました。

──ストーリーにはいろいろな伏線が張り巡らされています。

今回ぼくは試写室でまず観て、そのあとこのインタビューのためにもう1度観直したんですけど、1度観ただけでは気付かなかった発見がありました。壁に浮かび上がる文字とか、謎の紋章や何度か登場する光とか、気になる要素がそこかしこにあって、伏線になっているんだろうなと思ったんですよ。でも、1度目では観逃している部分もありましたね。普段は映画は1度しか観ないのですが、「ヘレディタリー」はレビューを調べて納得して観直すとか、そういう楽しさがある映画だと思います。

「ヘレディタリー/継承」
2018年11月30日(金)全国公開
「ヘレディタリー/継承」
ストーリー

母・エレンを病気で亡くしたミニチュアアーティスト、アニー・グラハム。夫のスティーヴン、息子のピーター、娘のチャーリーと暮らす彼女は、自分たちがエレンから忌まわしい“何か”を継承してしまったことに気付かない。やがて、奇妙な現象がグラハム家で発生。アニーはいるはずのない母の気配を暗がりに感じ、チャーリーは不思議な光を目撃する。そしてある夜、一家を襲う悲惨な運命。しかしこれは、アニーたちに降りかかる想像を絶する惨劇の序章に過ぎなかった。

スタッフ / キャスト

監督・脚本:アリ・アスター

出演:トニ・コレット、ガブリエル・バーン、アレックス・ウォルフ、ミリー・シャピロ、アン・ダウドほか

最上もが(モガミモガ)
2月25日生まれ、東京都出身。ドラマ「ウルトラマンギンガS」「重版出来!」「恋する香港」、映画「闇金ウシジマくん Part3」「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」などに出演。2月に2nd写真集「MOGAMI」が発売された。ヒロインを演じた2部作の映画「クロガラス」が2019年春に公開される。

スタイリスト / ヨシダミホ
ヘアメイク / 澤西由美花(クララシステム)