最上もがが語る「ヘレディタリー/継承」 | 世界が震撼した“現代ホラーの頂点”「みんなの感想を聞きたくなる」

人間ってここまで顔をゆがめられるんだ

──俳優の演技についてはどう思われましたか?

全員よかったです。人間って、ここまで顔をゆがめられるんだと(笑)。

「ヘレディタリー/継承」より、トニ・コレット演じるアニー。

──アニーを演じたトニ・コレットですね(笑)。本作はアニーとその夫スティーヴン、息子のピーターと娘のチャーリーというグラハム家の物語ですが、特に気になったキャラクターはいますか?

一番不気味だったのは、やっぱりチャーリーです。アニーもすごいんですけど(笑)、チャーリーは最初からヤバい。「この子、絶対なんかある」って思わせる演出がされていたし。

──ちなみに、チャーリー役のミリー・シャピロは舞台女優として知られている人で、本作で長編映画デビューを飾りました。姉のアビゲイルと一緒に、歌手としても活動しています。

「ヘレディタリー/継承」より、ミリー・シャピロ演じるチャーリー。

そうなんですね! 彼女、めちゃくちゃよかったです。今後もホラーに出てほしい(笑)。明るい映画も似合いそうですけどね。「リトル・ミス・サンシャイン」とか。

──トニ・コレットがまさに「リトル・ミス・サンシャイン」に出ていましたね。

ですよね(笑)。彼女はコメディもホラーもこなせるのがすごいなって思います。

──ピーター役のアレックス・ウォルフは「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」の中でロック様(ドウェイン・ジョンソン)になる高校生を演じていました。

「ヘレディタリー/継承」より、アレックス・ウォルフ演じるピーター。

「ジュマンジ」観ましたけど、全然気付かなかった! ピーターと言えば、序盤のある重要な出来事のあと、彼の顔のアップが続くところがあるじゃないですか。あそこが好きです。めっちゃ顔で演技しなきゃいけないところですけど、すごく役に入り込んでますよね。

ホラー映画は女優の演技によって出来が決まる

──もがさんも女優活動をされていますけど、ホラー映画に出てみたいと思うことはありますか?

面白そうだなとは思います。生き残るほうでもいいし、犠牲者のほうでもいいかな。襲う側でもいいです(笑)。

──本作のトニ・コレットのように、強烈な恐怖の形相を浮かべるとか……。

やろうと思えばできるんじゃないですかね(笑)。でも、年齢を重ねないとこの表情は難しいかもしれないです。しわがあるからこそ、この迫力が出るんじゃないかな。あと前から思っていたんですけど、ホラー映画のビジュアルって女性の顔が使われていることが多いですよね。それがなぜなのか考えたとき、男性の恐怖の形相って全然怖くないということに気付いて。

──そう言われてみると、確かにそうかもしれないですね。

だからホラー映画は、女優の演技によって出来が決まるなと思います。そういう意味では、トニ・コレットはバッチリですね。アニーが悲しみのあまり絶叫するじゃないですか。あれは怖いです。狂気を感じました。確かに自分がああいう境遇になったら泣き叫ぶかもしれないけど、あんな声は出ないんじゃないかなって。トニ・コレットの演技には人を怖がらせる要素がちりばめられていますね。

最上もが

──本作はホラー映画ですが、ある種の家族ドラマという側面も持っています。そのあたりにはどのような感想を持たれましたか?

いかにもホラー映画という場面ではない、庭に出たチャーリーをアニーが怒るシーンとか、パーティに行くピーターにチャーリーを連れて行くようにアニーが言い付けるシーンも怖かったです。「なんだ、この母親。超やだな」と思いました。でもこのお話って、ある意味では誰にでも起こり得ることなんだなと感じて。ちょっとしたボタンの掛け違いとか嫌なことが積み重なったときに、人間は少しずつ壊れていったりする。そういう人間の弱さとか、壊れていく過程が、この映画では表現されているのかなと感じました。

どのぐらい怖かったか、みんなに聞きたい

──「ヘレディタリー」に興味があるものの、怖くて二の足を踏んでいる方に本作をオススメするなら、どんなふうにプレゼンされますか? もがさんが観たなら観てみよう、という方もいるかと思います。

友達には薦めました。まずは「ホラー得意ですか?」って聞いて、「怖いけど観る」って返ってきたので、「じゃあピッタリだよ。公開されたらぜひ観てみて」とオススメしました。ぼく自身はホラーが好きすぎて、思わず笑っちゃったりとか、恐怖だけではないいろんな感情を持ちながら観たんですけど、ほかの人はどうなんだろうと思っています。ぼくが感想を聞きたいので、観に行ってほしい。ホラー映画は特に周囲の感想が気になります。どのぐらい怖かったか、みんなに聞きたいんですよ。

「ヘレディタリー/継承」
2018年11月30日(金)全国公開
「ヘレディタリー/継承」
ストーリー

母・エレンを病気で亡くしたミニチュアアーティスト、アニー・グラハム。夫のスティーヴン、息子のピーター、娘のチャーリーと暮らす彼女は、自分たちがエレンから忌まわしい“何か”を継承してしまったことに気付かない。やがて、奇妙な現象がグラハム家で発生。アニーはいるはずのない母の気配を暗がりに感じ、チャーリーは不思議な光を目撃する。そしてある夜、一家を襲う悲惨な運命。しかしこれは、アニーたちに降りかかる想像を絶する惨劇の序章に過ぎなかった。

スタッフ / キャスト

監督・脚本:アリ・アスター

出演:トニ・コレット、ガブリエル・バーン、アレックス・ウォルフ、ミリー・シャピロ、アン・ダウドほか

最上もが(モガミモガ)
2月25日生まれ、東京都出身。ドラマ「ウルトラマンギンガS」「重版出来!」「恋する香港」、映画「闇金ウシジマくん Part3」「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」などに出演。2月に2nd写真集「MOGAMI」が発売された。ヒロインを演じた2部作の映画「クロガラス」が2019年春に公開される。

スタイリスト / ヨシダミホ
ヘアメイク / 澤西由美花(クララシステム)