映画ナタリー Power Push - 「映画 みんな!エスパーだよ!」
園子温×池田エライザ×真野恵里菜インタビュー 性春映画、あっぱれ! Wヒロインと監督の意外な信頼関係
やっぱり壇蜜撮ってるわけじゃないから(園)
──もうひとつ脚本のことで言えば、豪華な女性キャストをセクシーに演出するようなカットがたっぷりでしたが、それを目的にストーリーを組み立てたのでしょうか? それともストーリーは先にあったのですか?
園 女優たちを輝かせるのは撮り方の問題なんですよ。輝かせるための脚本って言ったらPVみたいになっちゃうんで、やっぱりそこはストーリーのほうを大事にして。台本には1行しか書いてないような大したことないシーンでも、それをいかに男子がドキっとするように撮るかってことでしかなくて。
──なるほど。ああいったカットはどうやって撮影されたんですか? 演じるのはかなり勇気が必要だったのではと思うのですが。
池田 もちろん当たり前のように恥ずかしい行為ではあるんですけど……あくまできれいに撮ってくださるので、やるっきゃないっていう感じでしたね。最初の撮影からいきなり体を張るシーンだったんですが、もう現場が「撮るぞー!」みたいな空気なので、私も「やるぞー!」って感じだったし。私は演技の技量が全然なかったので、「自分、これくらいしかできないっす」っていうのを精一杯出すだけで。あんまり深く考えずに自分の思った通りの演技を提案してみて、細かいことは教えてくださるので。
──最初はどうしたら男の人がドキッとするか、自分で考えてみたということですか?
園 いや、あんまりね、男の子目線を意識してほしくないんだよね。
池田 そう、計算高いのはダメなの!
園 男子は女子のさりげない姿を見て勝手にドキッとしたいわけで、「こっちを見てるわねえ?」ってしゃなりしゃなりされるのは気持ち悪いじゃん。それじゃあ怪しい熟女になっちゃうから!
池田・真野 あはは!
園 女優さんが自分から色っぽさを強調しなくても、こっちの見せ方でやればいいわけだから。2人はさわやかでいてくれればいいんです。
真野 うん、私もあんまり考えてなかったですね。パンチラに関しても、今こういう角度で見せようって意識するのではなくて、歩いてたら風が吹いて見えちゃった、という自然現象みたいな感じで捉えてたので。
園 ね。やっぱり壇蜜撮ってるわけじゃないから。
真野 言っちゃった(笑)。
これを恥ずかしくないって思ってるほうがおかしくないですか?(池田)
──特に恥ずかしかったシーンとかはありました?
池田 ……主に恥ずかしい!
一同 (笑)
園 そりゃなあ。主に恥ずかしいよな。冒頭の、下着でベッドに寝ているシーンとか、あんなふうに撮られてると思わなかったでしょ?
池田 うん!! だってこっちは無我夢中で、あとは勝手に撮ってくださるので。でもこれを恥ずかしくないって思ってるほうがおかしくないですか!? そんな女になりたくない、私! こっちは無我夢中でやって、それを男子目線で撮ってくれるんです。恥じらいを捨てられたというわけではないです。
真野 私は1個だけ、お風呂上がりに紗英がバスタオルを巻いてるシーンがあったんですけど、マキタスポーツさんに「(胸を)寄せすぎじゃね?」って言われたのがすごい恥ずかしかったです(笑)。
一同 (爆笑)
真野 この人、みんなの前でなんてこと言うんだと思って! そりゃ、そういうシーンだからこっちもがんばるわって感じでしたよ!
園 それは俺もそう思うかもしんない(笑)。真野さんには少女らしさを求めてるんだよ。男の好みにはいろいろあるんだから、文字通り胸も寄せなくていいし、今野杏南さんみたいな巨乳派にも寄せなくていい!
──男性の好みにはいろいろなタイプがあるということを意識されたんですね。
園 そうそう、いろんな人がいるから。みんながみんな、お乳が大きいほうがいいと思ってるなんてことはないんだから。
池田 お乳(笑)。
園 巨乳ファンなんて全体の40%くらいしかいないから。あとの60%は胸の大きさとか関係ないと思ってるはずだよ。そういう意味でも、真野ちゃんはそっち側に寄せちゃダメなんだよ!
──ちなみに今回の女性キャラの中で園監督の個人的な趣味が一番反映されているキャラっているんですか?
園 女子の中で!? そんなのはさあ……。
池田・真野 気になる!!(笑)
園 おかしいでしょ、その質問! この子たちがいないときに言ってよ!(笑)
真野 しずか先生(清水あいり)とかかな?
園 そんなのないない、平等平等、超平等!
次のページ » 園さんが、「いや、真野は触らないでいい」って(真野)
「映画 みんな!エスパーだよ!」2015年9月4日より全国公開
若杉公徳のマンガを原作に、2013年に深夜ドラマが、2015年4月にスペシャルドラマが放送された青春コメディシリーズの劇場版。監督の園子温、主演の染谷将太のほか、真野恵里菜、マキタスポーツ、深水元基、柾木玲弥、神楽坂恵、安田顕といったレギュラーメンバーがテレビシリーズから引き続き出演し、オーディションで選ばれた新キャスト・池田エライザがヒロインを務める。さらに高橋メアリージュン、冨手麻妙、サヘル・ローズ、今野杏南、星名美津紀、篠崎愛、清水あいり、星名利華ら豪華女優陣が集結する。
ストーリー
愛知県東三河。いつの日か運命の彼女に出会えると信じている平凡な高校2年生・鴨川嘉郎は、ある日突然人の心の声が聞こえるテレパシー能力に目覚める。東京からの転校生・浅見紗英に心惹かれつつ己の能力に翻弄される嘉郎だったが、テレキネシスでスカートめくりをする喫茶店マスターの輝光、全裸でテレポーテーションする露出狂の榎本、透視能力で相手の臓器を見ることで快感を得る矢部、そして自分と同じテレパシー能力を持つ幼なじみの美由紀たちの存在に気づく。そんな中、東京からやってきた超能力研究の第一人者で紗英の父・浅見教授と助手の秋山により集められたエスパー一同は、悪のエスパーによってこの街に危機が迫っていることを知る。それまでエロいことにしか力を使っていなかったものの、自分たちの使命を自覚する嘉郎たち。そして教授の予見通り、街中の女性たちがエロ化していくという事態が発生し……。
スタッフ
監督:園子温
原作:若杉公徳
脚本:田中眞一、園子温
音楽:原田智英
主題歌:岡村靖幸「ラブメッセージ」
キャスト
鴨川嘉郎:染谷将太
平野美由紀:池田エライザ
浅見紗英:真野恵里菜
永野輝光:マキタスポーツ
榎本洋介:深水元基
矢部直也:柾木玲弥
秋山多香子:神楽坂恵
浅見教授:安田顕
ポルナレフ愛子:高橋メアリージュン
その他キャスト:柄本時生、冨手麻妙、サヘル・ローズ、今野杏南、星名美津紀、篠崎愛、清水あいり、星名利華 ほか
©若杉公徳/講談社 ©2015「映画 みんな!エスパーだよ!」製作委員会
園子温(ソノシオン)
1961年、愛知県豊川市生まれ。1987年、「男の花道」でPFFグランプリを受賞。2008年「愛のむきだし」の第59回ベルリン国際映画祭フォーラム部門 カリガリ賞・国際批評家連盟賞受賞を筆頭に、2011年の「冷たい熱帯魚」「恋の罪」、染谷将太が主演した2012年の「ヒミズ」、2013年の「地獄でなぜ悪い」などが各国の映画賞に輝く。2015年には「新宿スワン」「ラブ&ピース」「リアル鬼ごっこ」など監督作が次々と公開された。「みんな!エスパーだよ!」や「時効警察」などで深夜ドラマの脚本・演出も手がけている。
池田エライザ(イケダエライザ)
1996年、福岡県生まれ。2009年にニコラモデル・オーディションで1万4000人の中からグランプリを受賞、同誌の専属モデルとしてキャリアをスタートさせる。2013年6月にCanCamの専属モデルとなってからは、“自撮りのカリスマ”と呼ばれ注目を集め、自身のTwitterアカウントはフォロワー18万人を超える(2015年8月現在)。女優としては2011年の「高校デビュー」と2013年の「絶叫学級」に出演しているが、本格的な演技に挑むのは本作が初となる。
真野恵里菜(マノエリナ)
1991年、神奈川県生まれ。2009年にハロー!プロジェクトよりソロ歌手としてデビューし、2013年に同プロジェクトを卒業。女優としての出演作に、テレビドラマ「SPEC(スペック) ~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿」や、映画では2013年の「劇場版 SPEC~結(クローズ)~」や2015年の「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」などがある。2015年は「新宿スワン」「ラブ&ピース」といった園子温監督作へ立て続けに参加し、「リアル鬼ごっこ」ではトリプルヒロインの1人を務めた。
スタイリスト / 宮本茉莉
ヘアメイク / 南野景子(池田エライザ)、野中真紀子(真野恵里菜)