「キャプテン・マーベル」特集|アベンジャーズ誕生の鍵を握るヒーローを大解剖!マーベル初心者や映画好き、誰もが楽しめる“始まりの物語”

マーベル初心者も、映画好きも誰もが夢中になる“今”のヒーロー

初心者からコアファンまで楽しめる“始まりの物語”

文 / 渡辺麻紀

「アイアンマン」から始まったMCU作品は「キャプテン・マーベル」で21本。乗り遅れてしまった人は「付いて行けない」数だが、それでもまったく問題ナシなのが本作。というのも舞台は1995年、アイアンマンもキャプテン・アメリカも、アベンジャーズも存在していない時代なのだ。シールドのエージェントであるニック・フューリーが、空から落ちて来た奇妙な女性ヴァースと出会い、彼女の自分を探す旅に同行する。そう、これはMCUの始まりの物語。誰だって100%楽しめる訳はここにある。では、ディープなMCUファンが楽しめないかと言うとトンでもない。物語が進むにつれ、シリーズを観ている者だからこそわかるエピソードやネタが次々と現れ、さらには前作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」と次作「アベンジャーズ/エンドゲーム」に関する重要なネタまで! つまり、素人も玄人も楽しめる、奇跡のような作品になっているということ。素晴らしすぎです!

映画オタク必見!名作オマージュと監督のこだわり

今回の舞台は1990年代。レンタルビデオショップ全盛の時代で、主人公ヴァースが空から落ちてくる場所も当時の大人気店ブロックバスタービデオ。ちなみに監督のライアン・フレックが「僕の初めてのバイトがブロックバスタービデオだったせいでこだわりがあった。見事に再現された店は感動的だったよ」というくらいだから、この店もオタク的な見どころの1つ。また、もう1人の監督アンナ・ボーデンが「大好きな映画」と言う「フレンチ・コネクション」を思い出させるカーチェイスシーンや、「スター・ウォーズ」を彷彿とさせるドッグファイトシーンもある。ちなみに今回初登場の新キャラ、キュートすぎるネコの“グース”の名前は「トップガン」に由来する。トム・クルーズ扮するマーヴェリックの相棒の名前グースからの引用だ。こういう“遊び”も映画ファンを喜ばせてくれる。

柔道に魅せられたブリー・ラーソン

オスカー女優ブリー・ラーソンの役作りも大きな見どころの1つ。身体作り&トレーニングを9カ月かけてやったというだけはあって激しくキレのいいアクションを見せてくれるのだ。さまざまなメニューをこなした彼女が、その中でももっともハマったというのが柔道。ブリー曰く「柔道には哲学があって、レッスンしたあとに必ず余韻が残る。そういうところが大好きで、今でも続けている」。アクションは女性っぽさを感じさせないパワフルなスタイルのせいか、ヴァースのときもトムボーイ風のルックス。化粧気はなく、デニム&Tシャツにジャンパーでバイクにまたがって、とても頼もしくて男っぽい。1995年が舞台だが、この性別を超越したような役作りによって、ちゃんと“今”を感じさせているのだ。

渡辺麻紀が考察!
キャプテン・マーベルと「アベンジャーズ/エンドゲーム」

「キャプテン・マーベル」

「キャプテン・マーベル」は、一刻も早く「エンドゲーム」を観たい!という気にさせる映画だ。「インフィニティ・ウォー」のラスト、ニック・フューリーは消滅する寸前、何者かにSOSを発信していたが、その相手こそがキャプテン・マーベルだった。とはいえ当時、彼女のキャラクターは明らかではなく、いまいちピンとこない人も多かったはず。でも、安心してください。本作ではその驚くべき強さがダイレクトに伝わってくるので「頼もしい!」の一言。「インフィニティ・ウォー」ではヒーローたちも半分が消えてしまい、絶望的な気持ちにさせられたとはいえ、本作を観ると大きな希望が生まれ、とてもポジティブな気持ちにさせられるのだ。ちなみに、ニックが彼女にSOSを送った、その理由も本作で明らかになる。絶妙という表現がふさわしいリンクの数々がホント、たまりません!


2019年3月19日更新