映画ナタリー Power Push - 「復讐したい」

成長ではなく吸収、BOYS AND MENが切り開く新境地

BOYS AND MEN特集:俳優編

エンタテインメントグループBOYS AND MENメンバーが総出演する映画「復讐したい」が3月5日より全国公開される(2月27日より中部エリア先行ロードショー)。山田悠介の同名小説をもとにしたサバイバルアクションで、“復讐法”という法律が制定された近未来の日本を舞台に、妻を殺された中学校教師の復讐劇を描き出す。同グループのリーダー・水野勝が主演を務め、そのほかの出演者には高橋メアリージュン、上野優華、海東健、神保悟志、岡田義徳らが名を連ねる。

映画ナタリーでは、BOYS AND MENより水野勝と田中俊介にインタビューを実施。刺激的なストーリーと複雑な思いを抱える役柄について、何を感じ、どう演技に反映させていったのか語ってもらった。なお、音楽ナタリーでは彼らのアーティスト活動を紐解くインタビューを同時公開。マルチな才能で快進撃を続ける彼らのアナザーサイドもチェックしてほしい。

取材・文 / 川倉由起子 撮影 / 佐藤類

クランクアップ後も悩み続けてる(田中)

──映画「復讐したい」は、いろんなことを考えさせられる作品でした。もし自分が復讐する立場になったら……とか。

左から田中俊介、水野勝。

田中俊介 そうですよね。たぶん、皆さん考えると思います。

──出演者の迫力ある演技も圧巻でした。

水野勝田中 ありがとうございます。

──では初めに、本作への出演が決まったときの心境を教えてもらえますか?

田中 ずっと読んでいた作家・山田悠介さんの原作ものに出られるなんて想像もしてなかったので最初は驚いたんですが、素直にうれしかったですね。あとは、たくさんいらっしゃる原作ファンの方の期待に応えたいって気持ち。まだ全国的には名前を知られてない俺たちだけど、その期待を裏切らないように1人ひとりが大きな覚悟を決めて臨みました。

水野 うれしかったのは僕も同じなんですけど、原作を読んで、今までの僕たちのカラーにはなかったお話だなって。また新たな顔が見せられそうだし、これはファンの方もビックリするような新境地になるなっていうワクワクもありました。

──新境地といえば、特に田中さんのギャップはすごいですよね。今日初めてお会いして、そんな優しい笑顔をする方なんだって。

田中俊介

田中 あはははは! 僕が演じた役は自分でも挑戦でしたし、いい驚きを届けられるんじゃないかと思っています。

──次にストーリーについてですが、どんなところが魅力だと思いますか?

水野 社会問題ともリンクしているというか、実際に起こり得そうな物語というところですね。被害者が加害者に直接復讐する“復讐法”が本当にできたら……って、すごく想像しやすい作りになってると思います。

田中 今は絶対あり得ないけど、何年後か、こういう法律ができる可能性もなくはないと思うんですよ。だから、自分ならどうする?って僕自身も演じてて悩みましたし、クランクアップ後も悩みました。結局のところ僕は最終的な答えが導き出せずにいるんですけど……そうやって観てくれる方も考えるきっかけを持てるというのがこの映画のよさなのかなと思います。

傷を抱えた主人公に寄り添いたかった(水野)

──それぞれ演じた役について、意識したことを教えてください。

水野勝

水野 (高橋)泰之は奥さんを殺されてしまうんですが、この役は完全に“愛”がキーになってくると思ったので、奥さんを心から愛しているという気持ちで演じました。愛って人を動かすじゃないですか。いいほうにも悪いほうにも。だからそこは大事にしようと思いました。あと僕はその立場になったことがないので、実際の犯罪被害者の方が書かれた文章を読んだり、警察が取り組んでいる(犯罪被害者の)アフターケアの制度を勉強したり。犯罪被害に遭われた方の気持ちにちゃんと寄り添いながら演じようと思っていました。

田中 僕が演じた板垣(潤也)は両親を殺された役で、その気持ちに持っていくのにだいぶ苦労しました。水野くんと同じようにそんな経験はないし、想像でしかないんですけど、悔しい、憎いといった気持ちだけじゃないような気もして。殺された両親が本当に復讐を望んでいるかもわからないし……。

「復讐したい」より。

──そうですよね。

田中 しかも板垣は“被害者の会”のリーダーで、何十人もの被害者の気持ちを背負っている。いろんな葛藤や悩みを抱えつつ、責任も重大っていう彼の気持ちを作っていくのはめちゃめちゃ大変でしたね。

──室賀(厚)監督はアクションにもこだわりが強い方だそうですが、現場ではどんな指導や演出があったんですか?

水野 ガンアクションは銃の構え方に説得力がないといけないので、そこは監督から説明を受けたり、自分なりに資料を見たりして勉強しました。あと僕は海外で実弾を撃ったことがあるので、そういう引き出しも使いながらリアルを追求していきましたね。

田中俊介

田中 監督は要点を押さえた演出をして「あとは思うようにやってくれ」っていう方だったので、僕たちもやりやすかったです。

水野 全体的にアクションシーンはカット数が多くて、最後の銃撃戦のシーンは朝6時から日没まで撮影。あれはハードでしたね。

田中 でも完成品を観ると、こだわったかいがあったと思える仕上がりで、達成感がありました。下手したらリアルにケガをする激しい格闘も多かったから、現場ではみんなが集中力を高めて挑んでいたのが印象深いです。

「復讐したい」2016年3月5日(土)より全国ロードショー 2016年2月27日(土)より中部地方先行ロードショー
「復讐したい」
あらすじ

2020年、日本。犯罪者に被害者もしくはその親族が制裁をくだせる法律“復讐法”が制定された。その法律に反対していた中学校教師の高橋泰之は、愛する妻・泉を面識のない男・小寺諒に殺害されてしまう。妻との幸福な時間を奪った小寺を許すことができない泰之は復讐を決意。法の実行のために用意された孤島・蛇岩島へと向かう。時を同じくして過激な環境保護団体“アースウィング”のメンバーが無差別テロの犯人として捕まり、彼らのテロによって命を奪われた被害者たちの家族も島に上陸。さまざまな人間の思惑や怨恨が渦巻く島で、泰之は思わぬ真実に突き当たることに……。

スタッフ
  • 原作:山田悠介「復讐したい」
  • 監督・脚本:室賀厚
  • 主題歌:
    lynch.「BEAST」(キングレコード)
    ROTTENGRAFFTY「P.I.L」(ビクターエンタテインメント)
キャスト
  • 高橋泰之:水野勝
  • 高橋泉 / 星野範子:高橋メアリージュン
  • 田所哲也:小林豊
  • 板垣潤也:田中俊介
  • 日野翔太:本田剛文
  • 佐倉裕二:田村侑久
  • 小寺諒:吉原雅斗
  • 前田達也:勇翔
  • 野崎誠:本達規
  • 佐久間洋一:土田拓海
  • 稲葉信也:若菜太喜
  • 霞太郎:平松賢人
  • 角田恭子:上野優華
  • 風祭邦衛:海東健
  • 高橋肇:神保悟志
  • 猪狩明広:岡田義徳

©山田悠介 / 幻冬舎 / 「復讐したい」製作委員会

ドラマ「白鳥麗子でございます!」tvkほかにて放送中 ※北陸朝日放送は3月1日(火)より放送開始 / 2016年、劇場版公開

あらすじ

すれ違ったすべての男を振り返らせるほどの美貌を持つお嬢様・白鳥麗子。派手な見た目で高飛車な言動を繰り返す彼女はしかし、1人の男をひたすら慕う純情で世間知らずの19歳だった。高校生の頃、プライドの高さから振ってしまった想い人・秋本哲也のことが忘れられない麗子は、親の反対を押し切って東京へ。今度こそ哲也に対して素直になろうとするが、またしてもプライドが邪魔して本当の気持ちを伝えられない。さらに、一途な恋を貫こうとする麗子の前に、次々と障害が現れ……。

水野勝(ミズノマサル)

1990年11月22日、愛知県生まれ。2010年に結成されたエンタテインメントグループBOYS AND MENのリーダーとして東海地方を中心にテレビ、ラジオなどで活動する。メンバーの一員として2015年公開の「サムライ・ロック」、2014年放送のドラマ「なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか?」といった作品に出演。また「gift」「クレヴァニ、愛のトンネル」、ドラマ「鉄子の育て方」などに単独出演し、活動の幅を広げている。

田中俊介(タナカシュンスケ)

1990年1月28日、愛知県生まれ。2010年に結成されたエンタテインメントグループBOYS AND MENに参加。同グループのメンバーとして東海地方を中心にテレビ、ラジオなどで活動する。メンバーの一員としてグループの第1弾公演「ストレートドライブ!」で小林豊とともに主演を務めたほか、2015年公開の「サムライ・ロック」といった作品で存在感を残す。単独出演作品には、堤幸彦が監督を務めた「A.F.O」、2015年放送のラジオドラマ「夜叉ヶ池で見つけた命」、テレビドラマ「全力離婚相談」などが並ぶ。