映画ナタリー Power Push - 「復讐したい」

成長ではなく吸収、BOYS AND MENが切り開く新境地

BOYS AND MEN特集:俳優編

“復讐したい”のは水野勝(田中)

──本作のタイトルにかけて、メンバーの中でプチ復讐したい人は?

水野 えーっと、僕は田村(侑久)くんですね。寝てるとき、歯ぎしりや寝言がすげーうるさくて僕の睡眠を妨げるんです。

水野勝

──そんなにひどいんですか?

水野 ホテルで同部屋になると、こっちが熟睡してても起きちゃうほどのボリュームなんですよ。だからいつか、黒板をキーッてやったような音を集めてイヤホンで聴かせたいです(笑)。

田中 僕がプチ復讐したいのは、水野くんですかねー。

水野 え、俺?

田中 彼、身長が高いんですよ。184cmで手足も長いから、衣装の洋ラン(虎や龍の刺繍が施された学ラン)の裾がめっちゃ当たるんですよね。僕たち、わりと小さいステージのライブも多いんで、本人が自覚してる以上にバチーン!バチーン!って(笑)。

左から水野勝、田中俊介。

水野 そんなに当たってた?(笑)

田中 うん。でもステージ上で「痛っ!」みたいなリアクションはできないから、バチーン!って当たりながらも(満面の笑みで)ニカッて。そこはがんばってます(笑)。

──そうだったんですね(笑)。で、プチ復讐は何をしましょうか?

田中 今年は復讐するにはとっておきの、日本武道館という華々しい舞台が待ってるんで(参照:BOYS AND MEN、ドラマ版「白鳥麗子」主題歌MV公開&武道館ライブ決定)。そこでちょっと足引っかけたろかなーと(笑)。

水野 わ、それ、めっちゃ恥ずっ! マジでやられそうでドキドキするわ(笑)。

萩原聖人さんの言葉に勇気づけられた(水野)

──お芝居の仕事でいうと、現在放送中のテレビドラマで今年劇場版も公開予定の「白鳥麗子でございます!」にもメンバーで出演されていますね。水野さんは河北麻友子さん扮する主人公・麗子の相手役・秋本哲也を、田中さんは哲也の友人で青木龍斗というドラマ、劇場版のオリジナルキャラクターを演じています(参照:ドラマ「白鳥麗子でございます!」河北麻友子とボイメンが彩るオープニング映像)。撮影の手応えはいかがですか?

ドラマ「白鳥麗子でございます!」 ©鈴木由美子/講談社 ©2016「白鳥麗子でございます!」製作委員会

水野 僕はまず約20年前に放送された松雪泰子さん主演のドラマを観たのですが、今も記憶に残っている方も多いと思うし、身が引き締まる思いでしたね。ただ今回はだいぶ現代風にアレンジされるということで、新たな哲也像を作っていこうという気持ちで臨みました。哲也って、麗子さんが好きだけどほかの女性にもけっこうふらふら行っちゃうんですよね。僕、それがまず理解できなくて……。

田中 あはははは。捉え方によっては、哲也はチャラい(笑)。

水野 そう(笑)。でもたぶん、哲也ってすごく自然体な人だと思うんです。だから誰が寄ってきても真正面から誠実に向き合うし、そこは共感できるところかなって。監督からも「自然体でいて」というオーダーがあったので、現場ではオンもオフもなく、常にニュートラルでいることを心がけました。

田中 僕の役は麗子と哲也のドタバタに巻き込まれる場面も多かったりするので、視聴者の目線に一番近い存在なのかなと思いながら演じましたね。

水野勝

──水野さんのブログによると、23年前のドラマで哲也を演じた萩原聖人さんと偶然お会いしたそうですね。

水野 そうなんです。2人とも別の仕事だったんですが、同じ建物でたまたま遭遇して。最初は話しかける勇気がなく躊躇してたら、萩原さんのほうが遠くから(自分が着ている衣装を指さし)この洋ランを気にしている様子だったので、今だ!チャンスだ!って(笑)。僕が哲也を演じることをお話ししたら萩原さんもご存知で、「俺の出世作だから思い入れもあるし、同じ役としてがんばって」と声をかけてくださって。うれしかったし、すごく光栄でした。

いろいろな考えや感情を吸収できた(水野)

──役者の活動において、お2人が意識していることはなんですか?

水野 僕はグループのリーダーでメンバーをまとめる立場というのもあるんですが、普段から人をよく観察しています。メンバーが今こう考えてるだろうなっていうのは、確実に読み取る自信がありますね。あと以前、遠藤憲一さんと共演したとき(2014年公開「gift」)、「(芝居は)嘘をつかないことが大事。自分が思ったからこうしてるっていうお芝居をしないと伝わらない」というお話をしてくださったのが印象に残っていて。1人の男としても普段から嘘をつかずに、包み込めるような人であることが演技にも通じていくのかなって思います。

田中俊介

田中 僕たちは普段グループで活動していて、歌やダンス、バラエティ、リポート……と本当にいろんなお仕事をやらせてもらってるんです。そういうものがすべて芝居につながるんじゃないかと思っていて、1つひとつの経験から感じたことを大事にしようと思っていますね。役者の仕事に生きるような引き出しをどんどん増やしたいので、今までやったことのないお仕事にもどんどん挑戦していきたいです。

──それはグループでマルチに活動しているからこその強みですもんね。

田中 はい。役者だけやっていたら感じられないこともいっぱいあると思うからその経験を生かしたいし、プラス、芝居一本でやってる方の勉強量にも負けたくない。欲張りかもしれないですが、そのすべてを得てやろうって思ってます。メンバーのみんなも、1人ひとりが日本を代表するような役者になりたいという熱い気持ちを持っていますね。

──そうなんですね。では最後に改めて、本作「復讐したい」を通して感じた思いを聞かせてください。

「復讐したい」より。

水野 お芝居に対する価値観や、いろんな考え方が確実に変わりました。以前なら自分も泰之の立場になったら復讐したいと思っていたと思うんですが、今はそう言えないなって。だから今作を通して成長したというよりは、いろいろな考えや感情を吸収したって感じ。貴重な経験を得て、また1つ次のステージに上がれた気がします。

田中 ようやく全国進出の切符を手にしたくらいの段階で、こういうメッセージ性の強い作品に出会えたことは本当にありがたいなと思います。芝居は難しかったけど今後に絶対生きてくるし、僕も役者を本気でやっていこうと改めて思えたので。やれてよかったなって心から思っています。

「復讐したい」2016年3月5日(土)より全国ロードショー 2016年2月27日(土)より中部地方先行ロードショー
「復讐したい」
あらすじ

2020年、日本。犯罪者に被害者もしくはその親族が制裁をくだせる法律“復讐法”が制定された。その法律に反対していた中学校教師の高橋泰之は、愛する妻・泉を面識のない男・小寺諒に殺害されてしまう。妻との幸福な時間を奪った小寺を許すことができない泰之は復讐を決意。法の実行のために用意された孤島・蛇岩島へと向かう。時を同じくして過激な環境保護団体“アースウィング”のメンバーが無差別テロの犯人として捕まり、彼らのテロによって命を奪われた被害者たちの家族も島に上陸。さまざまな人間の思惑や怨恨が渦巻く島で、泰之は思わぬ真実に突き当たることに……。

スタッフ
  • 原作:山田悠介「復讐したい」
  • 監督・脚本:室賀厚
  • 主題歌:
    lynch.「BEAST」(キングレコード)
    ROTTENGRAFFTY「P.I.L」(ビクターエンタテインメント)
キャスト
  • 高橋泰之:水野勝
  • 高橋泉 / 星野範子:高橋メアリージュン
  • 田所哲也:小林豊
  • 板垣潤也:田中俊介
  • 日野翔太:本田剛文
  • 佐倉裕二:田村侑久
  • 小寺諒:吉原雅斗
  • 前田達也:勇翔
  • 野崎誠:本達規
  • 佐久間洋一:土田拓海
  • 稲葉信也:若菜太喜
  • 霞太郎:平松賢人
  • 角田恭子:上野優華
  • 風祭邦衛:海東健
  • 高橋肇:神保悟志
  • 猪狩明広:岡田義徳

©山田悠介 / 幻冬舎 / 「復讐したい」製作委員会

ドラマ「白鳥麗子でございます!」tvkほかにて放送中 ※北陸朝日放送は3月1日(火)より放送開始 / 2016年、劇場版公開

あらすじ

すれ違ったすべての男を振り返らせるほどの美貌を持つお嬢様・白鳥麗子。派手な見た目で高飛車な言動を繰り返す彼女はしかし、1人の男をひたすら慕う純情で世間知らずの19歳だった。高校生の頃、プライドの高さから振ってしまった想い人・秋本哲也のことが忘れられない麗子は、親の反対を押し切って東京へ。今度こそ哲也に対して素直になろうとするが、またしてもプライドが邪魔して本当の気持ちを伝えられない。さらに、一途な恋を貫こうとする麗子の前に、次々と障害が現れ……。

水野勝(ミズノマサル)

1990年11月22日、愛知県生まれ。2010年に結成されたエンタテインメントグループBOYS AND MENのリーダーとして東海地方を中心にテレビ、ラジオなどで活動する。メンバーの一員として2015年公開の「サムライ・ロック」、2014年放送のドラマ「なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか?」といった作品に出演。また「gift」「クレヴァニ、愛のトンネル」、ドラマ「鉄子の育て方」などに単独出演し、活動の幅を広げている。

田中俊介(タナカシュンスケ)

1990年1月28日、愛知県生まれ。2010年に結成されたエンタテインメントグループBOYS AND MENに参加。同グループのメンバーとして東海地方を中心にテレビ、ラジオなどで活動する。メンバーの一員としてグループの第1弾公演「ストレートドライブ!」で小林豊とともに主演を務めたほか、2015年公開の「サムライ・ロック」といった作品で存在感を残す。単独出演作品には、堤幸彦が監督を務めた「A.F.O」、2015年放送のラジオドラマ「夜叉ヶ池で見つけた命」、テレビドラマ「全力離婚相談」などが並ぶ。