第35回東京国際映画祭のイベントとして、Amazon Prime Video テイクワン賞の上映後トークが本日10月24日に東京・TOHOシネマズ シャンテで行われた。
2回目を迎えるAmazon Prime Video テイクワン賞は、国内外でオリジナル作品を制作・配信するPrime Videoの協賛を得て、東京国際映画祭が新たな才能の発掘を目指して設立した短編映画賞。受賞者には、Amazonから賞金100万円が贈られるほか、Amazonスタジオと長編映画の製作を模索し、脚本開発に取り組む機会が提供される。
本日のイベントでは今年のファイナリスト作品7本が上映されたのち、審査委員長の
プライム・ビデオ ジャパン カントリーマネジャーの児玉隆志によれば、昨年の受賞者である金とAmazonスタジオで複数の企画を検討してきた結果、その中の1本に関して脚本の執筆まで合意したという。Amazonスタジオでは年間10本ほどのオリジナル作品が生み出されているが、長編製作のキャリアが浅い監督と企画・脚本開発を進めるのはスタジオとして初の試み。しかし現段階ではプロジェクトが確約されているわけではなく、これから企画・脚本・キャスティングを詰めたうえで、最終的に合意が得られれば実際に製作されることとなる。
金は「1月頃に企画を提案する機会を設けていただき、こうして発表できる形になるまで長かったのか短かったのかわからないですが、ひとまずスタートに立てたようでありがたく思っています」と吐露。「これまでは自主映画で、自分がやろうとしたものを作ってきたので、企画が通らないことはありませんでした。Amazonスタジオと企画を開発していくにあたって、『完成まで漕ぎ着けるのは難しい』という話をたくさん耳にしたので、これから身をもって体感するんだろうな、そういうフェーズに入るんだろうなという不安と、自分がどうクリアしていくのかワクワクもあります。6分の好奇心と4分の恐怖というのが素直な気持ちです」と心境を伝えた。
同じ監督として企画を通すことの難しさを知る行定は「(今の)僕らはキャリアが積み重なったうえで声を掛けてもらえるけど、新しい才能は評価を得られるまで10年ぐらい掛かる。そこを飛び越えて、新しい才能の“一番いいとき”に芽を出させることをAmazonスタジオはやりたいんじゃないか」と推察。「10年分の苦労が積み重なると、それなりに慣れて処世術も身についてくる。でも、そうじゃないビビッドな部分で作れることもある。そういう瞬間をつかめるかが大事。僕ら審査委員も先を見越して議論しないと、せっかくの場を若い才能たちが生かせない」と言葉に力を込めた。児玉も「才能が開花する以前から協力し、お互いを知って、一緒に汗を流すことが大切なのです。金監督との取り組みも大事に進めたいし、今年の受賞者とも前向きに進めていきたい」と賞の意義に触れる。
最後に今年のファイナリストへのエールを求められた金は「あまりあとには続いてほしくないですけど……」と本音をのぞかせて観客の笑いを誘いつつ、「僕も1年前は客席で見ていたので。脚本の開発に進んだだけと言うと違うかも知れないけど、ほぼ何も変わりません。ファイナリストに残ることもありがたかったですし、たまたま受賞しただけ。それでも今後のモチベーションにつながるので。(昨年の)映画祭が終わったあとも有楽町や日比谷に立ち寄ることがあるとドキドキして。それが今後の活動の力にもなると思います。平常心で。受賞しなくても来年もあると思うので大丈夫です。がんばりましょう」と語りかけた。
第35回東京国際映画祭 Amazon Prime Videoテイクワン賞 ファイナリスト作品
愛純百葉「私に見えている世界」
余園園「冷蔵庫泥棒」
田之上裕美「裸足」
廣田耕平「ラの♯に恋をして」
若生ゆうひ「SPECIMENS」
近藤郁/プロジェクK @kondouikumi
本日の現場は🎬
こちらの賞に輝いた「若生あさひ」監督の新作映画に出演させて頂いております。
行定勲が新しい才能に期待「テイクワン賞」、昨年受賞・金允洙はAmazonとの企画進行中(イベントレポート) - 映画ナタリー https://t.co/jttCS7L19Z