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「青いパパイヤの香り」トラン・アン・ユンが妻と来日、溝口健二の影響に言及

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「青いパパイヤの香り」上映会にて、左からトラン・ヌー・イエン・ケー、トラン・アン・ユン。

「青いパパイヤの香り」上映会にて、左からトラン・ヌー・イエン・ケー、トラン・アン・ユン。

国際交流基金アジアセンター主催「青いパパイヤの香り」上映会が、本日10月18日に東京のアンスティチュ・フランセ東京で行われ、監督のトラン・アン・ユンと女優のトラン・ヌー・イエン・ケーがトークショーに登壇した。

1993年にフランスで初公開された「青いパパイヤの香り」は、1951年のサイゴンを舞台としたベトナム・フランスの共同製作作品。トラン・アン・ユンは本作で長編監督デビューを果たし、カンヌ国際映画祭のカメラドール賞などを受賞した。大人になった主人公ムイを演じたトラン・ヌー・イエン・ケーは本作出演後に彼と結婚し、その後も2人は監督と女優としてタッグを組み続けている。

イベントの前半では、トラン・アン・ユンが最初に撮った短編作品やプロデューサーとの出会いを振り返った。さらに観客から感想を募ると続々と手が挙がり、同作の鑑賞が3回目や4回目という熱烈なファンの姿も。本日初めて「青いパパイヤの香り」を観たという観客から、東南アジアの湿度を感じるじっとりとしたカメラワークに関する質問が飛び出すと、トラン・アン・ユンは「カメラワークは映画を作るうえで非常に重要。この非常にゆっくりカメラを動かしていく手法は溝口健二監督から影響を受けて取り入れました」と説明。そして「これ以前の作品では短いショットをつなぎ合わせて作っていたけれど、うまくいかなかった。世界中の監督たちがさまざまなカメラワークで撮影していると思いますが、私にしてみれば溝口監督にはいつも感銘を受けます」とリスペクトの気持ちを伝えた。

近年はベトナムで若い映画制作者に向けたワークショップを行っているトラン・アン・ユン。台湾やタイ、マレーシアなど各国から参加者が来るそうで「技術を教えるわけではなく、1週間ともに仕事をしながら“映画言語”とは何かをみんなで考えよう、定義していこうということを目的としています」と語る。トラン・ヌー・イエン・ケーも役者業だけでなくコスチュームや美術などに関わってきた経験を生かして、アーティスティックディレクター向けの講座を担当しているという。「“ルック”は観客の心に映画のイメージを直接届けるうえで非常に大切なもの。情感をしっかり受け取ってもらうには的確なイメージ表現が重要で、過剰であってはいけない。そこに私たちは苦心しているんです」とアーティスティックな顔をのぞかせた。

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