ジャッキー・チェン(右)とハグをする山田くん(左)。

〇〇の異常な愛情 Vol. 11 [バックナンバー]

山田くんの場合:12歳ながらジャッキー・チェンのファン歴9年の男の子は、如何にして愛を温め続け本人と対面するに至ったか

18

297

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 35 108
  • 154 シェア

何かに並外れた愛情を注ぐ人や、著名人の意外な趣味にスポットを当てる連載「〇〇の異常な愛情」。第11回となる今回は、ジャッキー・チェンを愛してやまない12歳の男の子“山田くん”に取材を実施した。

主演作「ライド・オン」のプロモーションのため13年ぶりに来日したジャッキー・チェンとともに、同作の宣伝アドバイザーとして舞台挨拶に登壇した山田くん。緊張した様子を見せながらも、映画の魅力、そしてジャッキー・チェンへの愛と感謝を伝えることができた。インタビューでは、本人と対面した直後の感想、ジャッキー・チェンと出会った4歳の頃の思い出、山田くんが思うジャッキー・チェンのアクションの魅力などを語ってくれたほか、自作のコスプレ衣装や手描きの宣伝チラシも見せてくれた。

取材・/ 脇菜々香

ジャッキー・チェンが13年ぶりの来日、舞台挨拶に登壇したあの男の子は誰……?

5月31日に公開されたジャッキー・チェンの主演作「ライド・オン」。海外プロモーションは行われない予定だったが、本人たっての希望で日本限定でのプロモーションが実現し、都内で3日間の舞台挨拶が実施された。その初日である6月11日、東京・丸の内ピカデリーにはジャッキー・チェンのほか、彼のモノマネタレントとして知られるジャッキーちゃん、そして“山田くん”と呼ばれる男の子が登壇。彼は、弱冠12歳にして同作の宣伝アドバイザーを務め、小・中学生が100円で本作を鑑賞できる「集まれ!小学生・中学生 はじめてのジャッキー・チェンキャンペーン」を立ち上げた人物だ。

イベントレポート

山田くんの単独インタビューを実施したのは、この舞台挨拶の直前。約30分間の取材中、何度も「このあとジャッキーと会うんだ……」と実感が込み上げては涙目になる山田くんだったが、本番では「長年の夢が叶いました。(ジャッキー・チェンは)スタッフの方にも気を配る素敵な人です。これからもずっと応援していきたいと思いました」と本人の前で伝え、大好きなジャッキー・チェンとのハグも叶った。

舞台挨拶後、山田くんは「ジャッキーに会って愛とお礼を伝えるのがずっと夢だったんです。達成できたので、今日は人生最大の日です」と笑顔で語った。舞台裏で最初に本人を見たときのシチュエーションを聞くと「スタッフさんたちがワーワー言ってるなと思ったら、ジャッキーがサンドイッチをほおばってて! 手がすごく大きくてかっこよかったです。そのあと対面して手を(腰に)回してくれたんですけど、がっちりしていながらもやわらかかった。『あのシーンのあれをやった手・足なんだ……』って思うとぼろぼろ涙が出てきました」と教えてくれた。

山田くんインタビュー「初めて観たジャッキー・チェンの映画は『ポリス・ストーリー2 九龍の眼』」

──まずは簡単な自己紹介と、ジャッキー・チェンを好きになったきっかけを聞かせてください。

山田です。12歳の中学1年生です! 4歳のとき、友達の家に行って遊んでいたら、友達とその子の妹が喧嘩をし始めたんです。2人とも別の部屋に行っちゃって、僕だけリビングに取り残されたんですけど、そのときに友達の親が見せてくれた映画が「ポリス・ストーリー2 九龍の眼」で、これに感銘を受けてジャッキー・チェンの存在を知りました。

──具体的には何に惹かれたんですか?

僕、ずっと忍者が好きだったんですよね。

山田くん

山田くん

──忍者!?

忍者は動きが美しいんですよ。僕が今ハマっているパルクールも一緒で、どうすれば体を効率的に使えるか、着地するときに衝撃を抑えられるか、受け身を取れるか、どういう飛び方が一番飛べるのかとか、そういうキレイな動きがすごい好きだったんです。ジャッキー・チェンはそれを面白いストーリーにうまく組み込んでいて、子供にもわかりやすい表情とコミカルさ、素敵な音楽、すべてがマッチしていた。「アクションがよかった」とか「かっこよかった」だけじゃなくて、1つひとつの表情から音楽まで完璧だったので惹かれました。

──そもそも“こういうアクションが好き”というのがはっきりしていたんですね。お互いが倒れ込むまでボコボコにやり合うものより、美しいものがいいと。

僕、「ミッション:インポッシブル」とかも好きなんですけど、ジャッキーの場合はテンポがすごくいいんですよ。戦いが“リズミカル”なので、観てるほうは相当面白いです。

──こんなに言語化できるのがすごいです……。そこからはどういう順番で作品を観ていったんですか?

「ポリス・ストーリー 香港国際警察」場面写真 (c) 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

「ポリス・ストーリー 香港国際警察」場面写真 (c) 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

「ポリス・ストーリー2 九龍の眼」を観たあと、Netflixでジャッキー・チェンの作品を探したら、子供向けのコーナーにはそのとき「ダブル・ミッション」と「ベスト・キッド」しかなかったので、毎日のように観ていました。そのあと配信された「ポリス・ストーリー 香港国際警察」が僕のベスト映画なんですが、本当に面白くて度肝を抜かれ、それから「ドランク・モンキー/酔拳」も観ました。ただ、Netflixでは本数に限りがあったので、映画と映画の間に僕の少ないおこづかいから神保町で買ったたくさんのチラシや雑誌を読み込んだんです。だから初めて観た作品でも「雑誌で読んだあのシーン、あの話はこの映画だったんだ!」みたいな発見がものすごくありました。

「奇蹟(ミラクル)」のアクションシーンは何回もスローで観返した

──たくさん観るだけじゃなくて、同時に映画やジャッキー・チェンの知識も増やしていってたんですね。同じ作品を何度も観ることで気付くことはありますか?

奇蹟(ミラクル)」でいうと、1つのアクションシーンを何回もスローで観返したこともあります。そしたら面白い発見があって。ジャッキーが机で1回ごろんと転がって、後ろから追ってきた敵が一瞬ぶるっと震える場面があるんですよ。「なんでだろう?」と思って繰り返し観てたら、ジャッキーが転がったときに何かを投げてたんです。相手に少し当たってリアクションするというのが0.5秒ぐらいで繰り広げられるんです!

「奇蹟(ミラクル)」場面写真 (c) 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

「奇蹟(ミラクル)」場面写真 (c) 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

──その探究心に感服します……。

「あれ?」ってなるところって、絶対に理由があるんです。最初は(パソコンのコマ送りの)矢印を押していって画面の全部の場所を観ていってたんですけど、そのカットだけじゃわからないからもう少し戻って観直したら、最初にジャッキーがその部屋にいるときにティーカップが置かれていて「じゃあさっき投げたのはこのティーカップだったんだ!」と気付きました。そういうちっちゃな発見とかアクションが、ジャッキーの映画には詰め込まれてるんです! すごくないですか? だから何回も観れるんですよね。「奇蹟」はドラマとしても面白いんですけど、アクションがとにかく面白い。らせん階段をすーっとお尻で滑るシーンなど、身の回りの環境に合わせた体の使い方が最高です。

──山田くんが以前、「マツコの知らない世界」の「ジャッキー・チェンの世界」の回(2023年5月16日放送)に、ジャッキー・チェンのファンのオフ会参加メンバーの1人としてVTR出演したのを拝見しました。そのときには「ポリス・ストーリー 香港国際警察」の衣装を着ていましたよね。あれは自作ですか?

「ポリス・ストーリー 香港国際警察」の手作り衣装を見せる山田くん。

「ポリス・ストーリー 香港国際警察」の手作り衣装を見せる山田くん。

小さい頃から裁縫も好きだったので、布をユザワヤで買ってきて、1からジャッキーの衣装を作ったりもしています。今日も持ってきました! 番組でも着ていた「ポリス・ストーリー 香港国際警察」のラストシーンの衣装は、市販のトレーナーの肩に模様を縫い付けました。「カンフー・ヨガ」の最後のダンスシーンの服もあるし、相当ボロボロになっちゃったんですけど「酔拳2」の服も。「五福星」では、ジャッキーがローラースケートで走るシーンで上下黄色の服を着ているんですけど、Tシャツ3枚を使って上の服とズボンのセットを作りました。「プロジェクトA」は、ズボンは市販のものなんですけど、上は1から作ってます。

──その作った服は、どこで着ているんですか?

家で着て、モノマネして満足してました(笑)。あとこれは服じゃないんですけど、幼稚園の頃に「レッド・ブロンクス」のときのジャッキーの顔を布の切れ端に手縫いしたものもあります。

「レッド・ブロンクス」のジャッキー・チェンを刺繍したもの。

「レッド・ブロンクス」のジャッキー・チェンを刺繍したもの。

次のページ
ジャッキーファンから学んだのは「自分の人生は自分で楽しくする」ってこと

読者の反応

大成龍祭2011 @daiseiryusai

映画ナタリーさんの、著名人の意外な趣味にスポットを当てる連載「〇〇の異常な愛情」。というコラム記事。今回の取材とコラム記事を書かれた脇菜々香さんの、山田くんのインタビューは、彼の人となりがよくわかって良いですね!山田くんのコメントが読んでいて、微笑ましくもあり、感心させられます! https://t.co/wL9QXsJI6E

コメントを読む(18件)

関連記事

ジャッキー・チェンのほかの記事

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 ライド・オン / ポリス・ストーリー2 九龍の眼 / ダブル・ミッション / ベスト・キッド / ポリス・ストーリー 香港国際警察 / ドランク・モンキー/酔拳 / 奇蹟(ミラクル) / カンフー・ヨガ / 酔拳2 / 五福星 の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。