「東アジア文化都市2019豊島」特集|5年で急激な進化を遂げた“新アニメ・マンガの聖地”池袋の魅力を高野之夫区長と俳優・染谷俊之が語り合う

池袋はサブカルチャーとメインカルチャーが融合する場所に

──東口には劇場もたくさんできるそうですね。

区長 今まで旧庁舎と公会堂のあった場所に、8つの劇場のあるHareza池袋ができます。11月1日にはいよいよオープンしますよ。

染谷 劇場が8つも! すごいですね。どんな劇場があるんですか。

左から高野区長、染谷俊之。

区長 東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)では、宝塚歌劇団のこけら落としが決まっていて、来年以降も定期的に開催されます。あとは歌舞伎も来るし、ブロードウェイミュージカルも。3年先まで決まっているので。

染谷 立ちたくても立てない劇場になりそうですね。

区長 きっと染谷さんの活躍の場所が広がりますよ。

染谷 畏れ多い……(笑)。僕も池袋というと、サンシャイン劇場にはよくお世話になっていて。あと昔はシアターグリーンとか。

区長 そこに一気に8つの劇場が増えるんです。アニメイトさんも、今後劇場を5つ作るっていう話で。声優さんの劇場を作るようなことを考えているようです。

染谷 アニメイトさんの中に作るんですか?

区長 (アニメイトの)隣に保健所があったでしょ。あれアニメイトさんに売っちゃったの。

染谷 え! そんな家電かのように(笑)。売っちゃったんですか、保健所を。

区長 (笑)。東京オリンピック・パラリンピックが終わったら、アニメイトさんがその保健所を立て直して劇場にしますから。きっと池袋は日本最大の劇場都市になりますよ。

染谷 劇場都市池袋! 素敵ですね。劇場があればなんでもできますから。アニメイトさんと提携しているなら2.5次元舞台や声優さんのイベントも行われるでしょうし。今、どんどん劇場が減っている中で、劇場をたくさん作ってくださるのは、俳優としてすごくうれしいことです。

区長 としま区民センターでは2階、3階にすべてパブリックな女子トイレを作っています。花王さんと提携して、日本一のキレイなトイレを作ろうってことで、パウダールームもフィッティングルームも用意してコンシェルジュも置いて、誰でも使えるような女性トイレをね。やっぱり若い女性は一番心配でしょ。

左から高野区長、染谷俊之。

染谷 うわー! もう僕の知ってる豊島区じゃない……(笑)。高級な都市というか……。

区長 最初、宝塚に公演をお願いに行ったら、理事長からけんもほろろに「それは無理ですよ、池袋に宝塚は似合いませんよ」って言われたんですよ。

染谷 えー!

区長 もう「こんちきしょー」って感じで(笑)。

染谷 それは「こんちきしょー」ですね。

区長 それから粘り強く、これから池袋はこういう街になりますと説得して。何回も宝塚に通って、ようやく理解してもらって提携的な公演ができるようになった。それだけ街が安全で、女性が安心して来れる街になっていくということなんです。Harezaの中にはコーヒー屋さんはあるけど、飲食店はほぼなく、商業施設は主に劇場とシネコンです。それは劇場に来て、染谷くんのような俳優さんたちの素晴らしい舞台を観た人たちが、そのまま街に出ていって、余韻を楽しめるようにしたかったから。普通は建物を建てると中に飲食店も作って客を抱え込むけれど、私は逆。劇場の外に出て池袋の街を楽しんでもらいたい。みんなが池袋で楽しい思いをするような、そういう街を作りたいんです。

染谷 なるほど。

区長 そういう思いを持って今、池袋の大改革を行ってます。まだまだこれから先もたくさんのプロジェクトをやっていきますから、全部できあがれば一変しますよ。

左から高野区長、染谷俊之。

染谷 今も素敵ですけど、誰もが住みやすい街になるんでしょうね。

区長 劇場だけじゃなく、映画館も増えています。この間キュープラザ池袋に9スクリーンの映画館ができましたし、今後Harezaにも10スクリーンの映画館がオープンします。今まで池袋にあった映画館と合わせると、渋谷を抜いて東京のナンバー2ですよ。新宿の次。

染谷 東京でナンバー2!

区長 東京でナンバー2ってことは日本でナンバー2だからね。

染谷 確かに……!

区長 だから演劇の街にもなるし、映画の街にもなるし、もちろんアニメの街でもある。池袋はサブカルチャーとメインカルチャーが融合する場所になりますよ。

染谷 素晴らしいですね。もう豊島区民になろうかな(笑)。

区長 ぜひ(笑)。

コスプレすると誰も区長ってわからないでしょ?(高野区長)

──おふたりはアニメ・マンガの魅力ってどこだと思いますか?

左から高野区長、染谷俊之。

染谷 一言では言い表せないですが、やっぱり現実から離れさせてくれるところでしょうか。あとメッセージ性が強い作品は、アニメを通してとても学べることがあって素敵だなと思います。僕、去年「プリキュア(『HUGっと!プリキュア』)」に出演させていただいたんですけど、1話1話のメッセージ性がすごく強くて。大人になって忘れかけていたことを思い出させてくれる、アニメの可能性は無限大だなって思いましたね。

区長 僕は4年間ずっとハロウィンコスプレを続けてるのよ。

染谷 ええっ! どういうコスプレをやるんですか?

区長 今まではスーパーマリオとかシャアとか。

染谷 シャア!?

怪物くんのコスプレをする高野区長。

区長 あと「怪物くん」や「銀魂」も。

染谷 「銀魂」も? えー! (写真を見て)これ区長さんですか? えー! シャアだ! 怪物くんだ! なんておちゃめな(笑)。

区長 びっくりした?

染谷 びっくりしますね!

区長 こういう区長さんいないよね(笑)。

染谷 見たことないです……。こんな素敵な区長さんいます?

──なんでもやってくださる(笑)。

区長 マンガ・アニメを通して街作りをしていくには、やっぱり中に入ってみんなと一緒にならないといけないと思ってね。でも楽しいよ。コスプレすると誰も区長ってわからないでしょ?(笑)

染谷 まさかコスプレされるとは思いませんよね……。

区長 普段街を歩いてると「区長だ区長だ」って言われて、緊張して歩かなきゃいけないけど、コスプレしたら区長ってわからないから。なるほど、こういう世界なんだなと、快感を覚えましたよ(笑)。

染谷 (笑)。確かに現実から離れさせてくれるのは楽しいことですよね。区長自ら実践されたら、みんなだってコスプレしていいんだってなりますからね。

区長 自分が先頭切ってやっていくとみんなも付いてきてくれるし、街の人たちも理解してくれる。トップが腰を引いてたら前に進まないですからね。

染谷 わかっていても、なかなかできることではないと思います。

区長 いやいや、楽しんでやってるだけだから(笑)。

染谷 しかもその場所が池袋に用意されていて。

高野区長

区長 ハロウィンのコスプレは同じ時期に10万人ぐらい集まるので、池袋と渋谷はいつも対比されます。ハロウィンイベントはトラブルも目立ちますが、うちはルールがちゃんとありまして。警備会社とも連携をとったり、着替えの会場を確保して、安心して街に出ていけるよう心がけています。そうすると、コスプレした人たちも最後にはゴミを拾ってくれたり、街をきれいに使ってくれてくれる。

染谷 確かに池袋でそういうニュース見たことないですね。

区長 街づくりの基本は安心安全。それに力を入れてしっかりお金をかける。そしてみんなに協力してもらえれば、必ず安心な街になっていきますよ。

池袋の魅力を、僕も身の回りから広めていきたい(染谷)

──ちなみに、染谷さんは、池袋で特に印象に残っている場所はありますか?

染谷 いけふくろうは待ち合わせで本当によく使ってましたね。高校時代は、ちょうど友達との中間地点が池袋で。よく池袋で集合してゲームセンターで遊んでいました。池袋って電車もいっぱい通っていて、交通の便がいいので。

区長 池袋駅の乗降客は、1日267万人いますが、今までは通過駅というか、乗り換えが多かった。それは街に魅力がなかったからですよね。やっぱり街に魅力がないと降りて街を楽しんでもらえないですから。今までは財政が厳しかったりなかなか条件が揃わなかったんですが、ここにきていろんなことが総合的に積み重なって、ようやく実現に向かって進み始めてます。

染谷 なるほど。知らなかったです。

──では最後に、染谷さん。この機会に区長に聞いてみたいことがあれば。

染谷俊之

染谷 いいんですか……? なんで西口に東武があって、東口に西武があるんでしょうか。

区長 ははは(笑)。確かに、西に東武、東に西武は不思議だよな(笑)。

染谷 ずっと疑問だったんですよ。なにかのハプニングで間違えたのかなって思って。

区長 僕もずっとこの池袋に暮らしているけど、なんででしょうね(笑)。

一同 (笑)。

区長 まあ西武鉄道と東武鉄道が池袋に入ってきて、本来なら西武が西に、東武が東に入ればいいんですけど、それが逆に入ってきたんですよ。でもどこで間違えちゃったのか、それはわかりません(笑)。

染谷 なるほど! そういう事情だったんですね。ちょっと謎が解けました。駅を出るとどっちにいっていいか一瞬わからなくなるので(笑)。

区長 そうだよね(笑)。じゃあ、染谷さんいろいろがんばって。池袋を売り出して!

染谷 はい。池袋には個人的にもお世話になってるので、恩返しをしていきたいです。

区長 大スターになればいいんだよ!

染谷 がんばります。そしていつか劇場に立たせていただけるように。

区長 豊島区には応援団いっぱいいますから。

染谷 ありがとうございます。

区長 今日はよかったな、染谷さんと対談できて。

染谷 僕もよかったです。池袋の魅力を、僕も身の回りから広めていきたいです。

左から高野区長、染谷俊之。

2019年11月11日更新