「オハナホロホロ」「違国日記」の梶川恵(シュークリーム編集取締役)
マンガ家が作品を発表するのに、経験豊富なマンガ編集者の存在は重要だ。しかし誰にでも“初めて”がある。ヒット作を輩出してきた優秀な編集者も、成功だけではない経験を経ているはず。名作を生み出す売れっ子編集者が、最初にどんな連載作品を手がけたのか──いわば「担当デビュー作」について当時を振り返りながら語ってもらい、マンガ家と編集者の関係や、編集者が作品に及ぼす影響などに迫る連載シリーズだ。さて、話すとやる気が湧いてくる人、というのがいる。今回登場する梶川恵氏はそんなタイプだ。新卒で角川出版販売に入社、幻冬舎コミックスを経て2007年にシュークリームにアルバイトとして入社し、社員に。フィール・ヤング(祥伝社)で「オハナホロホロ」(鳥野しの)、「アヤメくんののんびり肉食日記」(町麻衣)などを担当しヒット。2010年にBL誌on BLUEを創刊。これまでのBLコミックにはなかったスタイリッシュな装丁と、多種多様なストーリーに彩られた同誌は、BLの画期となった。ほかにも「中学聖日記」(かわかみじゅんこ)、「いいね!光源氏くん」(えすとえむ)、「違国日記」(ヤマシタトモコ)、「海辺のエトランゼ」(紀伊カンナ)、「25時、赤坂で」(夏野寛子)などの担当作も大きな話題を呼んでいる。いつ会ってもパワフルで、マンガはもちろん、この世の創作物への愛にあふれており、圧倒され、包みこまれる。一言で言うと、陽キャのオタク。自称“おしゃクソ野郎”の梶川氏の雄弁で肉厚なおしゃべりをそのままに、シリーズ最長の大ボリュームでお届け。作家たちからの信頼も厚い梶川氏のパーソナルヒストリーと仕事観に迫る。