ナタリー PowerPush - バニラビーンズ
トラック? 火ばさみ? ワキ丸出し!? ちょいワル社長と振り返るバニビ史
お母さんが泣かない程度に
◎バニラビーンズ、ワキ丸出しで痴漢撲滅&ゲリラ広報活動(2010.5.17)
レナ 渋谷とか原宿でフライヤーを配ったんですよ。このゲリラビーンズ活動で、女性ファンが結構いっぱいいてくれるのが実感できました。みんなTwitterとかで情報を見て、もらいにきてくれて。
──2人ともTwitterを有効活用してますよね。
リサ Twitterで「バニラビーンズが気になる」って言ってる人を見つけると、すぐフォローするんですよ。そうするとみんなびっくりしますよね。それで「ついCD買っちゃった」ってつぶやきを見ると「やったー!」ってなるんですよ。
レナ “もうひと押し”になってるかもね。親近感を持ってもらえるとうれしい。
──結構こまめにチェックしてますか?
リサ してますよー。ファンの方がどんなふうに思ってるのかわかるし、みんながどんな音楽に興味を持ってるかも気になりますから。
◎総勢40組以上!品川を熱く盛り上げたアイドルフェス大成功(2010.8.10)
──このイベントもすごかったですね。今を象徴するさまざまなアイドルが一堂に会して。この中でバニラビーンズはどういうポジションでしたか?
レナ いや、完全アウェイですよ。でも、他のアイドル目当てのファンも「ニコラ」で一緒に踊ってくれてたよね。
リサ この日限りのシャッフルユニットも楽しかったね。あんなに踊ったのは初めてだから(笑)、いつもとは違うバニビを見てもらえたのは良かったなと。
──アイドルばかりの中、バニビのステージにはなぜか掟ポルシェさんも(笑)。掟さんとの関係性は、時が経つにつれ変わってきたりしましたか?
リサ なんでも話すようになりましたね。最初はよくわかんないから多少距離を置いてた(笑)。でも一緒に何度もトークショーに出たりするうちに、「これでいいんだよ」「こうするともっといいよ」って私たちのキャラクターを引き出してくれたので、すごく感謝しています。掟さんがいなかったらね、私たちも今「規格外のアイドル」みたいな言われ方もしてなかったと思うし。完全にアニキですね。
レナ 掟さんのやってる音楽は理解できてないですけど(笑)。
──レナさんは共通のアイドル話とかで盛り上がれそうですけど、リサさんは掟さんとどんな話をするんですか?
リサ あまり共通項はないですけど、掟さんからサブカルの話を教わって好きになりました。豪さん(吉田豪)とかJさん(杉作J太郎)とかも大好きで。楽しくてしょうがない。あとは普通の会話してますね。掟さんってね、普通なんですよ。普段は説教とかしない(笑)。すごい優しい方なんですよ。
レナ イイ話だけど、ロマンポルシェ。にとってはとんだ営業妨害ですよね(笑)。
◎バニラビーンズ、ベスト盤記念しインストア行脚敢行(2010.9.14)
──駆け足で振り返ってきましたが、これはインタビュー前の段階で最新の記事です。こうやって約3年ほどをニュースで振り返って、どう思いましたか?
レナ 早かったですねー。あっという間。
──慌ただしかったですか?
リサ 1つ1つはゆっくりだけど、積み重なってこんないっぱいになったワーイって感じですね。
──2人ともすごくバニラビーンズの活動を楽しんでるんだなーと感じました。振り返っている間、2人とも一度も苦い顔をしなかったし(笑)。それってすごく幸せなことですよね。でも、日増しにどんどんハードルが上がっているというか、プロモーションではもうハードル下げられないから大変なんじゃないでしょうか。
リサ 裏切れないですからね、皆さんを。「これニュースになんねえ」って思われたらナタリーさんにも載せてもらえないですから(笑)。
──本来それを考えるのはアイドルの仕事じゃないですよ(笑)。
レナ 今メチャメチャ気にしますよ。「これやったら面白いと思われるかなあ」って。お母さんが泣かない程度に。
ALL WE WANT TO DO IS ROCK
──「VaniBest」は、ここまでブレることなく進んできたバニラビーンズの歴史が詰まったベスト盤としての要素もありながら、これから先への期待感も感じさせる新曲まで収められた、バニラビーンズとは何かを問う集大成と言える作品に仕上がっていますね。
社長 ブレがない、と改めて念を押されるとわからないけど……。
(全員爆笑)
──「LOVE & HATE」以降の変化が功を奏して、これまで以上にアイドルの枠だけに収めてしまうことができない、非常に間口の広いアルバムになっていると思います。この作品をどう広めていくべきだと考えますか?
社長 プロモーションは確かにいろんなムチャもやってますけど、音楽はちゃんと作り込んでやってきてますので、それをこのタイミングできちんと伝えたかったんですよね。それから、常に驚きも必要だと思っていて、前作「バニラビーンズ」でもオープニングとエンディングに曲をインサートして全体をコンセプチュアルにまとめましたけど、今回はド頭にMGMTのカバー「KIDS」を入れて、最後の「ガムラスタン」のロックなアレンジで締めくくっている。これからロックに移行するというわけじゃないですけど、音楽に対する真剣度をどう打ち出すべきかを考えた結果ですね。
──リサさんとレナさんそれぞれ「ここを聴いてほしい」というポイントはありますか?
リサ 私は「KIDS」と「東京は夜の七時」ですね。どっちもカバーですけど。「東京~」はずっとライブでしかやってなかったんですけど、ファンの方からよく「CD化してください!」って言われてたので、今回収録しました。ライブよりも長いバージョンになってます。
レナ 私は「a little crying(レナ&リサVer.)」ですね。これは前の相方と歌ったものしか今までなかったんですよ。今回は私が3年前に歌ったボーカルと、1カ月前のリサのボーカルがいい具合に時を超えてコラボレーションしているので。あえて私のほうは録り直ししなかったんですよ。あと最後の「ガムラスタン」は「LOVE & HATE」のカップリングで1年前の曲ですけど、アレンジも歌も新しく録り直しているので、これも聴きどころです。あれから1年経った私たちを聴いてほしいです。
──アイドルの魅力って、ルックスや歌などいろんな要素があると思うんですけど、バニラビーンズにとっての音楽とは、どのぐらいの重要度を占めていると思いますか?
社長 それは100%音楽だと思いますよ。音にこだわらないと意味がないですから。まずは音楽が面白くないと。それこそ「アイドル音楽はちょっと」と思っている人にも伝わるような音楽じゃないといけない。音楽とビジュアルのイメージだけはしっかり持っていたいし。だからヅラ……じゃなくて(笑)。髪型を変えたりもしないし、そこは記号として生き続けていくところですね。
──ロックの要素を取り入れたり、音楽的な変化はもちろんこれからもあると思いますが、根本的な部分が大きく変わるようなことはなさそうですね。
社長 「ガムラスタン」のサブタイトル「ALL WE WANT TO DO IS ROCK」は僕がギリギリで付けたんです。これは「我々はロックがやりたいんだ」という意味ですけど、これは文字どおり音楽としてのロックをやりたいというわけではなく、姿勢の問題ですね。僕はずっと広告の世界で生きてきて、いろんなアイドルとも接してきましたけど、アイドルだからこれはやらない、みたいな考え方ってずっとおかしいなと思っていて。アイドル事務所は普通こんなことやんないよ、ってのは重々承知なんですけど、アリかナシかの判断はこっちで考えながら行こうと思います。
──絶妙なバランスで成り立ってますよね。
社長 以前の駅張り広告にしても、ビジュアルは徹底的にカッコよく作るけど、コピーは「チカン・ゼッタイ・ダメ!!」とかね(笑)。カッコいいビジュアルにただ「北欧からやってきた~」とか入れても意味ないですから。
──まだまだ面白い戦略をあたためてるんじゃないですか?
社長 考えてますよ。ゲリラビーンズとしてね(笑)。
CD収録曲
- KIDS [オリジナル:MGMT]
- 100万回のSMK
- D&D
- 東京は夜の七時 [オリジナル:ピチカート・ファイヴ]
- LOVE&HATE
- 恋のセオリー
- サカサカサーカス
- ニコラ
- a little crying (レナ&リサVer.)
- U ♡ Me (レナ&リサVer.)
- ガムラスタン <ALL WE WANT TO DO IS ROCK>
<BONUS TRACK>
- 百人一首 君がため ver.
- 百人一首 今来むと ver.
- 百人一首 ひさかたの ver.
- 百人一首 有明の ver.
バニラビーンズ
庶民派でアイドル研究が趣味のレナ(キノコ頭担当)と、日本で正月を過ごしたことがないセレブのリサ(外はね頭担当)からなる実験型次世代アイドルユニット。北欧の風に乗ってやってきたという設定で2007年に「U ♡ Me」でデビューし、翌2008年に初期メンバー脱退後第2期メンバーとしてリサが加入。現在のメンバー構成となる。スウェディッシュポップを意識したサウンドとレトロなビジュアルで渋谷系ファンなどから高評価を得る一方で、近年では自由奔放なトークや「ガラス張りトラック生活」などの風変わりな活動でも注目を集めている。2010年にロート製薬「メンソレータム リフレア D&D」のCMに出演し、CMソングとして「Def & Def」を提供。同年9月に初のベストアルバム「VaniBest」をリリースした。