ナタリー PowerPush - →Pia-no-jaC←
「EAT A CLASSIC 4」リリース記念 バニビリサとピアノ対談&競演実現
→Pia-no-jaC←のニューアルバム「EAT A CLASSIC 4」がリリースされた。本作はクラシックの名曲カバーアルバム「EAT A CLASSIC」のシリーズ第4弾。ムソルグスキー「交響詩『禿山の一夜』」、ホルスト「組曲『惑星』から木星」、ブラームス「ハンガリー舞曲『第5番』」、ドビュッシー「2つのアラベスク 第1番」、ベートーベン「エリーゼのために」、サティ「ジムノペディ 第1番」といった誰もが一度は耳にしたことがある名曲が、→Pia-no-jaC←ならではのテイストで料理されている。
今回ナタリーではアルバム発売を記念して、幼少期からピアノを習っていたというバニラビーンズのリサとの対談を敢行。対談ではHAYATO(Piano)とリサによるピアノにまつわるトークや、両グループのPV撮影への臨み方など興味深い話題が繰り広げられた。さらに→Pia-no-jaC←とリサによるセッションも実現。この様子は動画で公開しているので、インタビューと併せて楽しんでほしい。
取材・文 / 西廣智一 撮影 / 佐藤類
クラシックでオイオイ声を上げてもいいと思う
──今回の「EAT A CLASSIC 4」は「え、まだ取り上げてなかったんだ?」っていうくらい有名なクラシックナンバーが並んでいて、正直びっくりしました。
HAYATO(Piano) クラシックって本当に名曲が多くて、今回取り上げた6曲も超有名曲ばかり。普段クラシックを聴かない方も全曲知ってるんじゃないですかね。
──誰もが知ってる「エリーゼのために」の物悲しいメロディが「え、こんなに明るくなっちゃうの?」ってくらいに生まれ変わってるし。
リサ 最初の数小節はそのままで、途中から「おおー!?」って驚きますよね。まっすぐ歩いてたら、急にクネクネ曲がる感じがして面白かったです。
HAYATO 狙いです。クスクスしてもらおうと思って。
──リサさん、このアルバムを聴いた率直な感想は?
リサ すごくポップで聴きやすいなと思いました。→Pia-no-jaC←のお2人が原曲になってるクラシックの名曲をこうやってアレンジしたことで、どの曲も親しみやすく生まれ変わってますし。クラシックに全然触れたことがない人でも聴きやすいんじゃないかと思います。
HAYATO 実際に僕らもクラシックは通ってないんですよ。なので僕ら流のクラシックというか、普段クラシックを聴かない人にも「クラシックって本当は楽しいんだよ」っていうことを伝えられたらいいなと。クラシックってどうしても敷居が高いイメージがあるけど、別に手拍子をしてもオイオイ声を上げてもいいと思うし。そういう→Pia-no-jaC←らしい、音楽の自由さを出していければと思ってます。
リサ 私も15年くらいピアノを習ってたんですけど、実はあんまり好きじゃなくて。習いごとでやらされてたんですけど、毎週ピアノを習いに行く前にお腹が痛くなっちゃって。
HAYATO あははは(笑)。
リサ 正直ピアノを習ってたときはピアノを楽しめてなかったんですよ。クラシックのことも全然わかってなかったし。渡された曲を適当に弾いてたみたいな感じだったんで、もっと早くに「EAT A CLASSIC」のことを知ってたらピアノを弾くことを純粋に楽しめたなって思っちゃいましたね。
HAYATO 僕も一緒でした。ピアノを習い始めて3年くらいで辞めたんですよ。だから楽譜も読めなくて。
リサ 楽譜を読むのが超絶遅いんですよ、私。
HAYATO 一緒です(笑)。
演技は「クセになっちゃう(笑)」
リサ 「エリーゼのために」はPVもすごくかわいかったです。
HAYATO パペットのやつですよね。ありがとうございます。
リサ ああいったアイデアもお2人が考えるんですか?
HAYATO あれはスタッフも含めて「こうやったら面白いんじゃないかな」って一緒に考えました。演奏も曲も含め、本当にみんなで作ってる感じです。
リサ 「エリーゼのために」のPVは明るくポップな感じで、今までの作品とちょっとイメージが違いますよね。そこは意識したんですか?
HAYATO こういう一面もあるというか、実はライブではこういう面のほうが多かったりするんですよ。単に演奏だけじゃなくてパントマイムとかいろいろ取り入れて、ライブというよりもショーにしたいっていう気持ちがあって。今回のPVでは僕ら、初めて演技に挑戦してるのでドキドキでしたけど。
HIRO(Cajon) なかなか演技はね……ちょっとハマりそうです。
リサ あはははは(笑)。
HIRO クセになっちゃう(笑)。
──葉加瀬太郎さんと共演した「Csardas」(※「a」にはアキュートアクセントが付く)のPVでもちょっとだけ演技してましたよね。
HAYATO そうですね。もしかしたらそこから火がついてるかもしれないですけど。
リサ 役者魂に(笑)。
HAYATO そこで褒められてしまって、ちょっと勘違いを……。
HIRO 「役者やればいいのに」って言われてたもんね。
HAYATO そのときのカメラマンの方が「今度ドラマの撮影があるんですけど」と言ったので、「呼んでください!」って返しましたけど(笑)。でもそのあと呼ばれてないってことは、そういうことじゃないですかね。
PVでもライブを観てるような感じを届けたい
──バニラビーンズもこれまでに数多くのPVを制作してますけど、撮影で意識するポイントって何かありますか?
リサ バニラビーンズのPVは歌ってるシーンがメインなので、2人で振り付けを合わせるところですね。
HIRO PVをいくつか拝見したんですけど、脚線美をすごく意識して作られてますよね。セクシーだなと思いました。
リサ あははは(笑)。足をテーマに。
HIRO すごくテーマがハッキリしてるなと。
HAYATO HIROには気を付けてくださいね!
リサ あははは(笑)。
──→Pia-no-jaC←の場合はどうでしょう? 演奏シーンで何か意識することとかありますか?
HAYATO 僕らの場合は動きを大事にしたいなって思ってます。ワンカット撮り終わったら1回チェックさせてもらって、自分がどういう動きしてるのか確認して。僕らはピアノとカホンだけで歌詞もないインストユニットなので、じっと弾いてるだけじゃ面白くない絵になっちゃうと思うんですよね。なので、2人の動きが合うポイントではしっかりシンクロさせたいなって。
HIRO 僕は実際のライブ演奏に基づいてやっていて、ライブで目が合うところではPVでもバシッと目を合わせてますね。
HAYATO 音源自体が全部一発録りでライブ感を大事にしてるので、PVでもライブを観てるような感じというか、そういう勢いは視覚でも届けたいですし。
- →Pia-no-jaC← ニューアルバム「EAT A CLASSIC 4」 / 2012年12月5日発売 / Peaceful Records
- ニューアルバム「EAT A CLASSIC 4」初回限定盤[CD+DVD] 3360円 / COZP-735/6
- 初回限定盤 [CD+DVD] 2300円 / XQIJ-91005
- 通常盤 [CD] 1800円 / XQIJ-1008
CD収録曲
- 交響詩 禿山の一夜 / ムソルグスキー
- 組曲「惑星」から木星 / ホルスト
- ハンガリー舞曲 第5番 / ブラームス
- 2つのアラベスク 第1番 / ドビュッシー
- エリーゼのために / ベートーヴェン
- ジムノペディ 第1番 / エリック・サティ
初回限定盤DVD収録内容
- エリーゼのために(Music Video)
- ジムノペディ 第1番(Music Video)
- バニラビーンズ ニューアルバム「バニラビーンズ III」 / 2012年11月7日発売 / T-Palette Records
- ニューアルバム「バニラビーンズ III」初回限定盤 [CD] / 2000円 / TPRC-0024
- ニューアルバム「バニラビーンズ III」通常盤 [CD] / 2500円 / TPRC-0025
→Pia-no-jaC←(ぴあのじゃっく)
HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)の2人で構成されるインストゥルメンタルユニット。名前の由来は左から読むとピアノ、右から読むとカホンとなる。鍵盤と打楽器という至ってシンプルな編成ながら、重厚かつ多彩な音を鳴らすのが特徴。その独自の音楽性が各方面から注目を受け、ディズニーやスクウェア・エニックス、ショパンなど多数のトリビュートアルバムに楽曲提供。2010年発売の嵐のアルバム「僕の見ている風景」では、二宮和也から熱いオファーを受けゲストミュージシャンとして参加した。さらに宝塚歌劇団への楽曲提供、ラジオのジングル制作など幅広い活動を展開。ライブではオリジナル楽曲やクラシックなどのカバーを武器に、迫力満点のパフォーマンスを披露し、国内外の幅広い層から絶大な支持を受けている。2012年3月にオリジナルアルバム「暁」、7月には葉加瀬太郎とのコラボレーションアルバム「BATTLE NOTES」を発表。同年12月にクラシックのカバーアルバム「EAT A CLASSIC 4」をリリースした。
バニラビーンズ
庶民派でアイドル研究が趣味のレナ(キノコ頭担当)と、日本で正月を過ごしたことがないセレブのリサ(外はね頭担当)からなる実験型次世代アイドルユニット。北欧の風に乗ってやってきたという設定で2007年に「U ♡ Me」でデビューし、翌2008年に初期メンバー脱退後第2期メンバーとしてリサが加入。現在のメンバー構成となる。スウェディッシュポップを意識したサウンドとレトロなビジュアルで渋谷系ファンなどから高評価を得る一方で、近年では自由奔放なトークや「ガラス張りトラック生活」などの風変わりな活動でも注目を集めている。2010年にロート製薬「メンソレータム リフレア D&D」のCMに出演し、CMソングとして「Def & Def」を提供。同年9月に初のベストアルバム「VaniBest」をリリースした。2011年にはタワーレコードのアイドル専門レーベル「T-Palette Records」にレンタル移籍。2012年11月にニューアルバム「バニラビーンズ III」をリリースした。