ナタリー PowerPush - 乃木坂46
生駒里奈が語る「センターの覚悟」
一番見られて、一番嫌われて
──パルコ劇場公演の期間中に握手会がありましたよね。
初日が終わったあと?(9月2日) あのときは生駒ちゃんの心が折れそうでヤバかったから、そりゃみんな励ましてくれるわけですよ。あれは本当にうれしかった。多分ほかのメンバーも同じように感じたと思いますよ。あそこで握手会がなかったら、あの舞台はぶっ壊れてた気がする。
──あと、ブログにも励ましのコメントが増えました。
そう! 今までみんなこんなに優しかったっけって(笑)。
──身に染みたわけですね。
うん。あのときはいつもとコメントの感じが違っていて。うちのことを推してない人もコメントを書いてくれたんです。握手会でも推しじゃないけど応援してるからっていう人が結構いるんですよ。うちはね、そんなに人気もないからねえ。
──そんなことはないでしょ(笑)。
ううん。(センターというポジションは)うち以外にまだ誰もやったことがない立場だから、比べることはできないけど……一番見られて、一番嫌われて。うちをきっかけに乃木坂を知る人もいるし、じいちゃんばあちゃんからも「あ、乃木坂の生駒ちゃん」って声をかけられるから、そういう面ではみんなよりは得してるのかな。だけどアイドルのファンの方からしてみると、一番ウザったい存在なんじゃないかなって。例えば、まいやんとかいくちゃんを推してる人は、その人がセンターになるべきだって思ってるわけで。
──ファンからすれば、自分が推してる子が一番になってほしいと思ってますし。
ですよね。自分が推してる子がなるべきだって。「なんでお前が?」っていう思いを一番ぶつけられるのはうちなので。
──それには慣れてきたんですか?
ふふふ(笑)。そりゃさ、かわいさもダンスのうまさも歌のうまさも、ほかの人のほうが上だってわかってるよ。
──本当にそう思ってる?
本当に。まあダンスはうち好きだからいいけど、歌とか顔とかは全然。
──それじゃあ選抜発表のときはどう思ってましたか? 今回もセンターだと思ってた? それとも変わるんじゃないかと考えてた?
……無。なんでここにいるんだろうと思ってるうちでも、ずっとここでやってきたわけだから責任とかプライドを徐々に感じるようになってきて。でも、そういう思いを付けすぎても良くないから、選抜発表のときは心を無にしました。何も考えず、ただひたすら壁だけを観てるだけ。名前を呼ばれたら気持ちを切り替えて、がんばるのみ。
AKBとはメンバーも、歴史も、雰囲気も違う
──改めて訊きたいんですけど、なんで自分はセンターにいるんだと思いますか?
それはまず……AKBさんと同じ色にしたくないから。
──ほかのメンバーだとAKB48と同じように見えてしまう?
うちはボーイッシュだからかな(笑)。女の子らしい子はいっぱいいるしね。
──生駒さんはよくブログに「AKBとは違う」っていうことを書いてますよね。そこについてもうちょっと詳しく訊きたいと思うんですが。
だって違うじゃないですか。まずメンバーも違う、歴史も違う、雰囲気も違う、衣装だって顔だって違う。(秋元)真夏が入ってきたことも全然違うじゃないですか。AKBさんだったら研究生の子が上がっていったりするけど、乃木坂は違う。「AKB48の公式ライバル」っていう言葉があるから同じように見ちゃうのかもしれないけど、もし乃木坂に興味があるのであれば、ちゃんと乃木坂のことを見てもらいたいなって思うんです。
──最初からライバルという立ち位置ですし、どうしても比較されてしまうけど。
マンガに出てくるライバルってさ、自分と互角でやり合うけどタイプは全然違うでしょ。性格も全然違うし。「NARUTO」で例えると……。
──やっぱりそこなんですね(笑)。
うん(笑)。ナルトとサスケなんですよ。ナルトとサスケって全然タイプが違うじゃん。そのサスケにナルトを重ね合わせてみるのはおかしいでしょ。それと一緒。そうやって見ていただければわかるんじゃないかなと。
──でもそれをちゃんと証明していかなきゃいけないわけで。
そうなの。で、なんでそう言われるかっていったら、やっぱり乃木坂ちゃんがまだまだちゃんとできてないから、そうやって見られちゃうんじゃないかな。今までの1年間は基礎を作る時期だったの。だからこれからは「あ、AKBとは違うんだな」って、初めてライバルとして見てもらえるときが来るのかなと。そういうコンセプトで作られたグループなので、やっぱり最終的には超えていかないとですね。
うちらが色を着けたらそれは乃木坂なんです
──いよいよ4thシングル「制服のマネキン」がリリースされます。これまでは上品なイメージの曲が続きましたが、今回はシリアスなダンスチューンでビックリしました。
でもね、「この曲ってなんかAKBの匂いがプンプンする」って言う人もいて。ちゃんと乃木坂を好きな人は「ああ、AKBとは違うね」と言ってくれるんです。作ってる人はAKBさんと一緒かもしれないけど、うちらが色を着けたらそれは乃木坂なんです。それをもっと一生懸命やっていかなきゃなって思う。難しいですね。
──新曲タイトルの「制服のマネキン」って乃木坂のことを指してるようにも取れますよね。
アイドルって一般的な目線で見ると、ただかわいくして踊ってるだけって思われてるじゃないですか。でも裏では笑っているだけじゃなくて、みんな悩んだりしていて、どれだけアイドルが心の葛藤と戦っているかがよくわかる歌なんじゃないかなと。
──アイドルでいる自分のことはどう思いますか?
アイドルのときは、考え方とかめっちゃアイドルなんですよ。でも家に帰ったらアイドルのことを一切考えない。
──でもアイドルになったことは嫌じゃない?
うん。嫌じゃない。なんかただの生駒に戻ったら、今日1日のこと考えて。そこでは「ああ、大変だったな」って思うけど、アイドルをやってるときの自分は全然大変じゃない。
──ライブのMCやブログでも「うちのことをアイドルにしてくれてありがとうございます」って何回か言ってましたが。
うち、本当にここに来なかったらね、一生うつむいたままの人生だったなって。ここに来たからちゃんと前を向いて歩けてる。よくこんな田舎者の女の子を合格させたよね、本当に。
- ニューシングル「制服のマネキン」/ 2012年12月19日発売 / Sony Music Records
- Type-A [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8201~2
- Type-B [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8203~4
- Type-C [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8205~6
- 通常盤 [CD] / 1000円 / SRCL-8207
- アニメ盤 [CD] / 1300円 / SRCL-8208
Type-A CD収録曲
- 制服のマネキン
- 指望遠鏡
- やさしさなら間に合ってる
- 制服のマネキン(off vocal ver.)
- 指望遠鏡(off vocal ver.)
- やさしさなら間に合ってる(off vocal ver.)
Type-B CD収録曲
- 制服のマネキン
- 指望遠鏡
- ここじゃないどこか
- 制服のマネキン(off vocal ver.)
- 指望遠鏡(off vocal ver.)
- ここじゃないどこか(off vocal ver.)
Type-C CD収録曲
- 制服のマネキン
- 指望遠鏡
- 春のメロディー
- 制服のマネキン(off vocal ver.)
- 指望遠鏡(off vocal ver.)
- 春のメロディー(off vocal ver.)
通常盤 CD収録曲
- 制服のマネキン
- 指望遠鏡
- 渋谷ブルース
- 制服のマネキン(off vocal ver.)
- 指望遠鏡(off vocal ver.)
- 渋谷ブルース(off vocal ver.)
アニメ盤 CD収録曲
- 制服のマネキン
- 指望遠鏡
- 指望遠鏡~アニメ版~
- 制服のマネキン(off vocal ver.)
- 指望遠鏡(off vocal ver.)
乃木坂46 (のぎざかふぉーてぃしっくす)
2011年8月に「AKB48の公式ライバル」として誕生したアイドルグループ。グループ名の「乃木坂」は最終オーディション会場の「SME乃木坂ビル」、「46」は「AKB48より人数が少なくても負けないという意気込み」に由来する。総合プロデュースはAKB48同様、秋元康が担当。全国規模のオーディションにより、3万8934人の応募の中からスターティングメンバーとして33人が選出された。2012年2月にシングル「ぐるぐるカーテン」で待望のメジャーデビュー。オリコンウィークリーチャートで初登場2位を記録し、20万枚を超えるセールスを記録した。同年5月には2ndシングル「おいでシャンプー」、8月には3rdシングル「走れ!Bicycle」を発売し、ともにオリコンウィークリーチャート1位を獲得。12月に待望の4thシングル「制服のマネキン」をリリースする。
2012年12月18日更新