ムック、結成15周年公演は全35曲演奏の壮絶5時間

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今年5月に結成15周年を迎えたムックが、「ムックの日」にあたる6月9日に千葉・幕張メッセ国際展示場ホール1~3にてアニバーサリーライブ「MUCC vs ムック vs MUCC」を開催した。

「MUCC vs ムック vs MUCC」の模様は、8月より3カ月連続でDVDとしてリリースされる。(撮影:三吉ツカサ[showcase])

「MUCC vs ムック vs MUCC」の模様は、8月より3カ月連続でDVDとしてリリースされる。(撮影:三吉ツカサ[showcase])

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逹瑯(Vo)(撮影:三吉ツカサ[showcase])

逹瑯(Vo)(撮影:三吉ツカサ[showcase])

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ミヤ(G)(撮影:三吉ツカサ[showcase])

ミヤ(G)(撮影:三吉ツカサ[showcase])

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YUKKE(B)(撮影:三吉ツカサ[showcase])

YUKKE(B)(撮影:三吉ツカサ[showcase])

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SATOち(Dr)(撮影:三吉ツカサ[showcase])

SATOち(Dr)(撮影:三吉ツカサ[showcase])

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幕間では多くの著名人からのお祝いコメントが紹介され、会場を大いに盛り上げた。(撮影:三吉ツカサ[showcase])

幕間では多くの著名人からのお祝いコメントが紹介され、会場を大いに盛り上げた。(撮影:三吉ツカサ[showcase])

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結成以来最大規模となる「ムックの日」企画に向けて、ライブレポーターを募集したり、出川哲朗との異色コラボ広告で都内を賑わせたりと、さまざまな施策を展開してきたムック。またライブ本編を「1997~2002 - 密室 -」「2002~2007 - 死生 -」「2007~2012 - 鼓動 -」という3つの時代に分けて行うことも事前に告知し、ファンの期待を煽っていた。

そしていよいよ迎えた「ムックの日」当日。バンド名にちなんで設定された開演時刻の16:09を迎え場内が暗転すると、ミヤ(G)の柔らかなギターが鳴り第1部の「2002~2007 - 死生 -」の幕開けを飾る「輝く世界」が始まった。広い会場は、逹瑯(Vo)の哀切がこもった声で、たちまちムックの世界に染め上げられる。続けて投下されたのはライブの定番「蘭鋳」で、楽器を抱えたYUKKE(B)とミヤがステージを縦横無尽に駆け回る。ほぼ同時にスクリーンに映し出された4人は、当時をほうふつとさせる目の周りを黒くしたメイクと白いペイントを施した黒のツナギ姿。そのビジュアルに観客からは悲鳴のような声が起きた。

その後4人は攻撃的なモードを加速させるように、デス声と重々しい音像を叩き付ける「茫然自失」、物憂いイントロから激しく展開していく「我、在ルベキ場所」、ノスタルジックな歌謡曲風のサウンドとスカのリズムにあわせて観客が踊る「商業思想狂時代考偲曲」を連続投下。時間が経つにつれて楽器帯のアンサンブルは安定していき、逹瑯はしなやかな動きでオーディエンスの視線を奪っていく。「おい元気だな!」という逹瑯の呼びかけとともに、速めのBPMが小気味良いギターから「最終列車」が奏でられた。ここまではスピーディな楽曲を連発していた4人だが、「はりぼてのおとな」で空気を一変。おどろおどろしいサウンドに、観客は飲み込まれるように呆然と立ち尽くす。バンドのダークサイドが全開になるような楽曲に、オーディエンスの熱気は上昇し続けた。

最初のMCで逹瑯は「ムックです。最近こんな頭振る曲ないのでむち打ちになりそうです」と笑わせる。続けて「生きるか死ぬかを賭けるライブをやってます」「1部、2部、3部の間では俺たち初めてのお色直しってのやるから。でもスペシャルな人たちから15周年のお祝いコメントが届いてますから、トイレに立つこともできませんよ!」とアピールすると「神の星」で攻撃的なモードに再突入。YUKKEの雷鳴のようなベースから始まる「モンスター」では、ハードな一面を観客に印象付けた。

「もたもたしてると1部終わっちまうぞ! 東京まで届けてくれよ」と観客を挑発した逹瑯。その言葉に続いたのは会場の一体感を作るアッパーな「名も無き夢」だ。拳を突き上げる観客1人ひとりに語りかけるように、ステージの端へと移動しながら歌う逹瑯、コールを呼びかけるようにシンバルを鳴らすSATOち(Dr)、「後半に体力残してんじゃねえぞ」と煽り観客をジャンプさせるミヤと、この時点でステージも客席もクライマックスのような盛り上がり。「大嫌い 2006」では、逹瑯とミヤの「嫌い」の応酬が会場に響きわたり、最後はSATOちの圧巻のドラムソロをもって第1部は終幕した。

後輩から先輩まで、親交のあるアーティストを中心とした著名人たちのコメントが上映されたあとは、第2部の「1997~2002 - 密室 -」へ。ステージ後方を覆う巨大な幕に「密室」の文字が映し出されると怒号のような歓声が起こった。

各部ごとにメイクも衣装だけでなく、演出も変えてライブに挑んだムック。第2部ではステージにスクリーンを設置し、さまざまな映像をバックにパフォーマンスを披露した。オープニングナンバー「アカ」では禍々しい照明にあわせて切迫感を漂わせる声が響き、序盤から壮絶な空気が会場を覆う。そこから続いた「絶望」「娼婦」という人気の高いナンバーに、オーディエンスの狂乱は加熱していくばかり。逹瑯は着物の裾と髪の毛を振り乱し絶唱し、楽器隊はタイトなアンサンブルで懐かしいナンバーを“今のムック”の形で提示した。さらにスクリーンとステージ後ろの幕に歌詞が投影され、狂気を帯びた世界観をダイレクトに表現した「イタイ手紙」、観覧車や街の情景を描いたノスタルジックな映像が逹瑯の狂おしいまでの声とマッチした「夜」など、切実な感情がほとばしるような楽曲が観客の心を奪っていく。

観客が体を揺らしながら曲の世界に酔いしれた「嘘で歪む心臓」を経て、第1部以上にゆるいMCコーナーに。「『ニルヴァーナ』とかで最近ムックを知った人はびっくりするかもしれんけど、これもムックかもしれんな」とニヤリと笑った逹瑯。「当時はこういう雰囲気で、こういう目をしてやってました」と白目を剥いたり、自らの格好を「今年33のバンドがやる格好じゃないですよね」と会場を和ませる。また当時MCで行っていた「ムック三カ条『おかし』」を再現してみせ、「お」では「推さない」、「か」では「書けない」の書をメンバーが掲げる。最後の「し」ではなぜか「真剣白刃取り」の文字が。それを受けて侍の格好をした男性が現れ、SATOちが「白刃取り」に挑戦。しかしあまりに速く振り下ろされた刃を受け止めきれず、会場に笑いを提供していた。

「昔は曲が少なくて、よくカバーをしてたんですよ」という言葉に続いて、トリビュートアルバムにも参加している大先輩BUCK-TICKの「JUPITER」を披露する一幕も。カバーで一息入れると、骨太なバンドアンサンブルが光る「九日」、逹瑯の軽やかなステップとオーディエンスの暴れっぷりが熱狂に拍車をかけたメジャーコード全開の「前へ」と、クライマックスに向けて突き進んでいった。

第2部も終盤に差し掛かった頃、ギャロップのようなYUKKEのベースと「もうひと暴れしようか?」という逹瑯の言葉から鳴らされたのは「スイミン」。絶叫さながらのボーカルと、怒濤のようなバンドサウンドにあわせて床が揺れる。さらに「いつか殺してやる……。ラスト……」と逹瑯がつぶやいたことを口火に、炎の映像が4人を包み込む中で「ズタズタ」がプレイされた。「アカ」同様、おどろおどろしいサウンドスケープが会場を圧倒し、しばらくの間、悲痛な叫びを思わせる逹瑯の声が残響のように漂い続けた。

第3部は近年のムックを凝縮した「2007~2012 - 鼓動 -」。オープニングでは鼓動を思わせるビートがスピーカーから流れ、次第にスピードを増し4つ打ちのリズムへと変わっていく。そして「フォーリングダウン」から本格的に第3部へと流れた。先程までライブハウスを思わせる雰囲気だった会場は一瞬でダンスフロアに。レーザー光線が会場を覆い、観客のジャンプが床を激しく揺らす。「踊れんのか、騒げんのか?」という煽りを受けて会場のパーティムードは加速。そこから続いたのは、どっしりしたビートの上でミヤのトリッキーなギターが炸裂した「オズ」、リバーブがかかった逹瑯の声が幽玄な世界を描き出した「梟の揺り篭」。4人のパフォーマンスにあわせて、レーザー光線やきらびやかな照明など、さまざまな演出が繰り広げられ、楽曲の持つ世界観が増幅してオーディエンスに届けられる。畳み掛けるような展開は第3部でも健在で、そのあともムックのダークサイドを重厚なサウンドで表現した「極彩」、朗らかなボーカルとリズミカルなギターの絡みが魅力の「バルス」が続けて披露された。

「『密室』と『鼓動』のこの素晴らしい落差!」という自虐気味な言葉かからMCを始めた逹瑯だったが、「声も意外と出るもんだね。まだまだいけるよ」と絶好調ぶりをアピール。軽妙なトークで、続くブロックの幕開けを飾る「ニルヴァーナ」へとつなげた。SATOちとミヤによるリズムセッションが展開され観客を魅了したパートを経て届けられたのは、巨大なミラーボールの輝きが曲の世界を盛り上げた「アルカディア」と「ファズ」。キャッチーなメロディと強烈なビートが融合したサウンドにあわせて、ステージの4人もオーディエンスも激しく動き回る。「ファズ」の間奏で逹瑯は「今日はほんとにいっぱい集まってくれてありがとう。でもまだまだ通過地点なんで、これからもよろしく!」と決意を新たにしてみせた。

ひとしきり観客を踊らせたあとは、暴れさせるブロックに。ステージも客席エリアも大暴れした「咆哮」、汗だくの4人の熱演に呼応するように合唱が高らかに響いた「謡声(ウタゴエ)」と会場の一体感は増し、きらびやかな銀テープが放たれた「フライト」で熱狂はピークに達する。そして、本編のラストナンバーとして届けられたのは「流星」。星空のようなレーザーが壮大なサウンドを際立たせる中、全てのエネルギーを注ぎ込むように4人は音を鳴らし、逹瑯が最後に客席に手を伸ばし掴むような仕草をみせる。その行為には、今後もファンとともに歩んでいく決意のようなものを感じさせた。

鳴り止まないアンコールの声に応え、メンバーはTシャツに着替えて再登場。ここでは1人ひとりがMCを行い、トップバッターの逹瑯は「始まってから4時間ちょい経ってるんですよ。いろんな人との関わりで今日があるんでございます」と感謝を口にしながら、セットリストを作っている際の苦労話を告白する。YUKKEは「こんなにいっぱい来てくれてうれしいですね。昨日リハーサルでここに来たんですけど、自分が思ってたより幕張メッセが大きくて。それがこんなにムッカーで埋まるとは。こっからの景色を観せたいもん」と感謝を述べ、ミヤは「この瞬間をどれだけ待ちわびたか。なんだかんだやって『優しい歌』の前のMCでこうやって話せて……」と思わず次の曲を明かしてしまうハプニングもありつつ、「この景色を見れた瞬間に、なんでもいいなって思いました」と感慨深そうに口にした。トリのSATOちは「いやあ、ありがとうございます。フロント3人よりも俺のほうが最高の景色なの!」と大声で自慢してみせた。

アニバーサリーライブの締めくくりの1曲は「優しい歌」。シンプルなアンサンブルと穏やかな歌声が会場を包み込み、クライマックスでは観客が携帯やライブグッズのサイリュームを掲げながら美しい「ラララ」の合唱を響かせた。「おかげさまで15周年迎えることができました。これから先一緒に年をとっていこうじゃないか。一緒にクソジジイ、クソババアになろうじゃないか」と彼らしい言葉でファンに感謝を告げた逹瑯。エンタテインメント要素を盛り込んだ5時間におよんだアニバーサリーライブは、ムックの歴史を総括するととともに、今後を示すような形でフィナーレを迎えた。

ムック「MUCC vs ムック vs MUCC」
2012年6月9日(土)@千葉県 幕張メッセ国際展示場ホール1~3 セットリスト

第1部「2002~2007 - 死生 -」

01. 輝く世界
02. 蘭鋳
03. 茫然自失
04. 我、在ルベキ場所
05. 商業思想狂時代考偲曲
06. 最終列車
07. はりぼてのおとな
08. 神の星
09. モンスター
10. 名も無き夢
11. 大嫌い 2006

第2部「1997~2002 - 密室 -」

01. アカ
02. 絶望
03. 娼婦
04. イタイ手紙
05. 夜
06. 嘘で歪む心臓
07. JUPITER
08. 九日
09. 前へ
10. スイミン
11. ズタズタ

第3部「2007~2012 - 鼓動 -」

01. フォーリングダウン
02. オズ
03. 梟の揺り篭
04. 極彩
05. バルス
06. ニルヴァーナ
07. アルカディア featuring DAISHI DANCE
08. ファズ
09. 咆哮
10. 謡声(ウタゴエ)
11. フライト
12. 流星

アンコール

01. 優しい歌

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読者の反応

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だーうー🌙🚙🍸 @Dau_chun

本日はのん誕であり、ロックの日であり、ムックの日でもあるのです!
僕の大好きだったバンドのムックのライブに参戦したのはいつだったかな?と調べたらもう5年前でしたか・・
https://t.co/DbQrMzyOtc

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