頂上決戦「サイバラvs浦沢」に酔っ払い乱入、現場は大荒れ

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2010年3月20日 9:59 175

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浦沢が描いた「ドラえもん」。線がしっかりしているので一見上手だが、明らかに「ドラえもん」ではない何かになっている。

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階段を下りてステージへ向かう西原。サンキュー、高須クリニック!

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お題「セーラームーン」。左が浦沢画、右が西原画。

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西原理恵子が有名マンガ家と画力対決を行う公開イベント「西原理恵子の人生画力対決」が、東京ミッドタウンのBillboard Live TOKYOで3月19日に開催された。ゲストは、かねてより西原が対決を切望していた浦沢直樹。「MONSTER」「20世紀少年」などの代表作で知られ、世界の浦沢とも評されるモンスター級のビッグネーム登場に六本木が揺れた。

会場となったBillboard Live TOKYOは、六本木の夜景を一望できる都内でも有数のアーバンなロケーションのライブハウス。行儀良く着席しながら料理を楽しむ観客たちの前に、映画「20世紀少年」のテーマソングとなっているT-REX「20th Century Boy」を流しながら西原と担当編集者・八巻和弘氏が現れると、場内は早くも大盛り上がり。

前説が終わると、待ちに待った浦沢の登場だ。自身のキャラクターをその場で描く冒頭恒例のナマ描きでは、「20世紀少年」のカンナと「YAWARA!」の猪熊柔がリクエストされた。顔の輪郭を最初に描かない浦沢を見て西原は「あとで輪郭描いて失敗したらどうすんの!?」と驚くが、浦沢は「あるんだよ、失敗すること」「ほら、今日も失敗~」とうそぶいてみせる。

出来上がったイラストは見事な完成度で、西原と八巻氏は「上手い!」「Billboardでライブしたいだけの人かと思ってた!」「浦沢の名を騙った偽者かと思ったけど、本物だ!」と絶賛。しかし浦沢は「上手いとか、そんなレベルの話してちゃダメでしょ。僕らマンガ家なんだから」と呆れ顔。さらには用意されたペンを眺め「画力対決なのに、ボロボロだよペン先。インクも切れてるし!」と不安をあらわに。

試合は八巻氏がお題を読み上げ、両者が記憶をたどりつつイラストを描くという形式で進行。柔道家の谷亮子、スノーボーダーの國母和宏、福山雅治演じる坂本龍馬など時事系のネタが続いた前半、浦沢はスラスラと余裕でイラストを描いていく。福山に至っては表情のポイントを解説しながら「あんちゃん!」と物真似まで披露。

さらに「あしたのジョー」の力石徹を初期と後期で描き分けるというお題では、「僕は『あしたのジョー』3巻を買う金がなくて、自分で描こうとした人間だよ?」「10ページ目まで下描きを描いたところで、自分のやってることはなんか間違ってる!と思ってやめたけど」と語ったとおり、見事な力石を描いてみせた。

しかし次なる萌え系マンガ路線では目を白黒。当初予定されていたお題「涼宮ハルヒ」は、浦沢があまりに作品に対する知識がなかったため「セーラームーン」に変更された。それでも浦沢は「本当にわからない……」と頭を抱えながら作画に入り、西原のイラストを見ると「絶対違うけど、ディテールはかなり近い気がする!」「セーラームーンだけど、どっかセーラームーンじゃない。コレジャナイロボならぬコレジャナイセーラームーン!」と評価。初めて西原が浦沢にリードを見せ、対決は一気に熱を帯びる。

イベントは観客と内容を入れ替えての2部構成となっており、第1部ではシークレットゲストとしてマンガ原作者の長崎尚志が登場。長崎は浦沢の絵を見て「まともな絵しか描かないんで、このイベントにはミスキャストでしたね」と、絵の達者すぎる浦沢を叱った。浦沢は「最初から言ってたんですよ。ちゃんと描いちゃうから笑いが起きないって」と不満気な顔。

長崎を画力対決メンバーに加えつつ、「BILLY BATのこうもり」「マツコ・デラックス」「『ゴルゴ13』のデューク東郷」などを描いていくも、浦沢がダントツの画力を見せ他を圧倒。ベテランが下手なイラストを描いて笑い者になるという「画力対決」の黄金パターンが通用しないまま、全てのお題を消化してしまった。ラストには浦沢がギター弾き語りのライブを披露し、まさに浦沢オンステージという展開で第1部は幕を下ろした。

1時間弱の休憩を挟み、観客を入れ替えて第2部がスタート。第1部では緊張気味だった出演者一同だが、第2部のシークレットゲストとして登場した江口寿史がベロベロに酔っ払った状態で現れ、場の空気を一気に和ませた。「今日は対決のためにシラフで来たから!」と千鳥足で見え透いた嘘を吐き、席に着くなりアルコールを注文する。自身のキャラクターを描くはずのナマ描きでも、NHKのマスコットキャラクター「どーもくん」を描くなどやりたい放題。さらに「いつもはドブねずみの巣みたいなところでやってるのに」「このアーバンな感じに馴染めないよ俺!」と会場のアウェー感を指摘する。

「浅田真央、安藤美姫、キム・ヨナ」というお題では、華麗にキム・ヨナを描いてみせた江口。しかし1人目を描いた時点で息切れを起こし、ペンを置いてくだを巻きはじめる。それを見た西原、「集英社の厳しい連載が、あの先ちゃんをここまでおかしくしてしまった」「いまジャンプで連載してる人も、こんな風になっちゃうのかな」と嘆きの声。

その後も江口は、「あしたのジョー」の矢吹ジョーがお題にも関らず、見事なマンモス西を描き上げてしまう。さらに浦沢の完璧な再現度を見るに至って「ジョーは無理!」と高らかに宣言。観客の存在を忘れたかのごとく、ジョーの素晴らしさを浦沢と延々語り合い、会場は江口カオスへと引きずり込まれていくのだった。

少女マンガからのお題「『ベルサイユのばら』のオスカル」では、出演者全員が苦戦。西原は「クラゲみたいなのが肩に乗っかってた」「バラをくわえて……た?」と謎のイメージを膨らませて馬に跨がったオスカルを描くも、「チンコみたいのが股から出てるよ」と馬を描いたことすら理解してもらえない。浦沢は悩みながらも上出来のオスカルを披露するが、「浦沢って通知表がオール4みたいなやつ」「顔も演奏もオール4」と、全員から小器用さを揶揄される結果に。

どのお題にも失敗らしい失敗を見せなかった浦沢だが、ラストのお題「ドラえもん」には本日初めて本気の困惑。造形が思い出せないとボヤく浦沢に向かって「描け過ぎて困っちゃうよ!」「日本人なら誰でも知ってる」「基本だよ基本!」と、西原と江口はここぞとばかりに野次を飛ばす。最後まで悩みに悩んだ浦沢、江口が描いたイラストを眺め「ヒゲがあったか!」と悔恨の表情。マンガ界のビッグモンスターにも弱点があったと会場中が和んだ瞬間だった。

イベントのラストでは第1部と同じく浦沢のライブが行われ、江口をゲストボーカルに迎えて吉田拓郎「春だったね」のカバーなどを披露。「楽しい皆さんとのひと時が、先ちゃんのおかげでもっと楽しくなりました」「西原さんは見るたびにキレイになります。サンキュー、高須クリニック!」と、ペンを交し合った強敵たちに感謝と賛辞を述べ、最後は自身の代表曲「bob lennon」を熱唱してイベントは幕を下ろした。

対決の一部始終は、後日ビッグコミックスペリオールの「人生画力対決」にて、数回にわたり掲載される予定。なお今後の画力対決はふたたび新宿ロフトプラスワンに場所を戻して、「風と木の詩」の竹宮惠子、「デトロイト・メタル・シティ」の若杉公徳を迎え撃つと発表された。チケットの前売りなど詳細な情報が判明し次第、コミックナタリーでもお伝えしていきたい。

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