観客に愛される、橋本じゅんの贋鉄斎
三宅弘城 僕、(「風」に出演した橋本)じゅんさんの贋鉄斎は観られてないんですよね。
市川しんぺー あっ、そうなんですね。
池田成志 ほかは観たの?
三宅 いや、全部は観られてないです。
中村まこと けっこうそういう人、多いんだよね。
池田 俺は全部観たよ。
市川 俺も全部観ました。
三宅 コンプリート!?
市川 じゅんさん、すごかったですよ。観客に好かれてるなあって感じがすごくして。
池田 じゅんさんもお客さん、大好きだから。
市川 もはやなんだろう、役と関係ないことしゃべってるじゃないですか(笑)。アドリブで歌舞伎の「ワンピース」の話とかしてたし。
池田 本番中に次の稽古が始まるから、「鳥」の本番中に「風」の稽古のことが漏れ聞こえてきたんだけど、じゅんちゃんは馬になるとか台を使うとか、いろいろ聞こえてきて。面白そうだけどキツいだろうなって思ってた(笑)。最後はミシン台を使って稽古してるって聞いて……。
市川 それが本番で蕎麦屋になったんだ?
中村 そうだった、蕎麦切ってた! 「そうするのか今回は」って思った。じゅんさんの贋鉄斎は男色が入るじゃん、あれが俺はたまらなく好き。足組んでコーヒー飲む姿とか、俺もやられたなあと思って。
三宅 じゅんさん、男色が入りがちですね(笑)。
市川 そうなんだ? お似合いでしたよね。
中村 実は「風」を観終わったあと、楽屋で「じゅんちゃんお疲れさま」って言ったら、「俺は、贋鉄斎は特に色を付けず、もう普通でいいんじゃないですかっていのうえ(ひでのり)さんに言ったんだよ、でもダメって言われて」と話してて。「『花』で古田(新太)があれだけやって、『鳥』で成志があれだけやったんだから、『風』でもそれ以上のものをやってくれと言われた」って。
一同 お疲れさまです!(笑)
古田新太はパイオニア
池田 「花」は皆さんご覧になりました?
市川・中村・三宅 観ました。
市川 観には行ったんですけど、楽屋挨拶には行かなかった。
池田 なんで?
市川 もうデカい劇場の楽屋とか、ドキドキしてダメなの。
池田 それはみんな嫌いですよ。
市川 そうですよね。しかも「あれをやるんだ」って思ったら「うわー」ってなって、もう何を話していいかわからないと思って。
池田 最初はそう思うよね。「えっ、こんなに面白すぎていいの?」ってさ。古田は「ワンピース」のフランキー(サイボーグの船大工のキャラクター)みたいな着ぐるみを着てて、すごい衝撃だったの。「きったねえこいつ! 出オチじゃん!」って(笑)。
三宅 声真似もしてた。あの……誰だっけ?
中村 藤岡弘、さん?
池田 中尾彬さんじゃなかった?
三宅 あ、どっちも入ってたかもしれませんね。
池田 そこからいろいろ思ってたことが変わってきて、俺は「髑髏城」だからまともにやろうと思ってたけど、贋鉄斎が変異してるからさ(笑)。百人斬りのシーンとか、もはや(捨之介役の)小栗(旬)くんの邪魔してたじゃん。
中村 邪魔だった(笑)。
市川 敵役の髑髏党にターンさせてもらってたり(笑)。
池田 もうこれどういうことなのって、そういうことをするわけなのね、古田は(笑)。やったもん勝ちだなって。
三宅 あはははは!(笑) でもやっぱり(ほかの人が演じる贋鉄斎役を)客観的には観られないですよね。
中村 俺は「髑髏城」シリーズをこれまで1回も観たことがなくて。
三宅 映像でも?
池田 じゃあ贋鉄斎のイメージがないんだ?
中村 うん。だから古チン(古田)のアレが出てきたときに、「あ、そうなんだ? 贋鉄斎ってふざける役なんだ」って理解して、とにかく贋鉄斎はふざけないといけないんだ、と。
三宅 いけないってことはないですけど(笑)。
中村 でも“それ命”みたいに思っちゃったよ、観たときは。
池田 2幕の最初に自転車に乗って出てくるシーンで替え歌唄ってたりとか、すごい印象に残ったんだよね。「鳥」は2番目だから、「あ、ここもふざけられるんだ。ここは何かしないといけない」って、「花」を観ながら心がざわついて落ち着いて観られなかった。三宅は観に行ったあと、古田の楽屋に行ったの?
三宅 行きました。一緒にビールを飲みましたよ。
市川 別にそこで役作りについては話してないの?
三宅 ああ、話さなかったですね。
池田 三宅は遠い先だもんな。(「花」から「極」までは)1年後ぐらいだもんね。
三宅 ちょうど1年後ですね。だから「花」のときはただ劇場に観客として観に行ったみたいなところがある。
池田 それに三宅は贋鉄斎じゃなくて、贋鉄斎の弟子のカンテツ役だからね。
三宅 そう。贋鉄斎だったら(気持ちが)違ったかもしれないですね。
池田 と言うわけで、古田さんがパイオニアとして贋鉄斎を広げたから我々はこうなった。古田さんはその元凶ということです(笑)。
WOWOW「12カ月連続放送!劇団☆新感線『花鳥風月極&名作選』」
- WOWOWライブ「劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season鳥」
2018年9月29日(土)19:45~23:00 -
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:阿部サダヲ、森山未來、早乙女太一 / 松雪泰子 / 粟根まこと、福田転球、少路勇介、清水葉月 / 梶原善 / 池田成志 ほか
- 劇団☆新感線『髑髏城の七人』 Season鳥劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season鳥|WOWOWオンライン
- ステージ(舞台) | WOWOWオンライン
- WOWOWステージ (@wowow_stage) | Twitter
- WOWOW「劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season風」
-
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:松山ケンイチ、向井理、田中麗奈 / 橋本じゅん、山内圭哉、岸井ゆきの / 生瀬勝久 ほか
- WOWOW「劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月“上弦の月”」
-
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:福士蒼汰、早乙女太一、三浦翔平、須賀健太、平間壮一 / 高田聖子 / 渡辺いっけい ほか
- WOWOW「劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月“下弦の月”」
-
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:宮野真守、鈴木拡樹、廣瀬智紀、木村了、松岡広大 / 羽野晶紀 / 千葉哲也 ほか
- WOWOW「劇団☆新感線『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』」
-
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:天海祐希 / 福士誠治、竜星涼、清水くるみ / 三宅弘城、山本亨、梶原善 / 古田新太 ほか
- WOWOW「劇団☆新感線 ゲキ×シネ『阿修羅城の瞳2003』」
-
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:市川染五郎(現:松本幸四郎)、天海祐希、夏木マリ、伊原剛志 ほか
- WOWOW「劇団☆新感線 ゲキ×シネ『蜉蝣峠』」
-
作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太、堤真一、高岡早紀、勝地涼、木村了、梶原善 ほか
- WOWOW「劇団☆新感線 ゲキ×シネ『蛮幽鬼』」
-
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:上川隆也、稲森いずみ、早乙女太一、堺雅人 ほか
- WOWOW「劇団☆新感線 ゲキ×シネ『シレンとラギ』」
-
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:藤原竜也、永作博美、高橋克実、三宅弘城、北村有起哉、石橋杏奈、古田新太 ほか
- WOWOW「劇団☆新感線 ゲキ×シネ『蒼の乱』」
-
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:天海祐希、松山ケンイチ、早乙女太一、平幹二朗 ほか
- 池田成志(イケダナルシ)
- 1962年福岡県出身。早稲田大学在学中、82年に第三舞台に参加し、俳優活動を開始。つかこうへい、三谷幸喜、デヴィッド・ルヴォー、宮藤官九郎、いのうえひでのり、長塚圭史、前川知大ら、さまざまな劇作家・演出家の作品に出演し、2013年に第48回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。現在、NODA・MAP 第22回公演「贋作 桜の森の満開の下」に出演中。
- 市川しんぺー(イチカワシンペー)
- 1964年千葉県出身。猫のホテル創設メンバー。劇団公演以外に、シス・カンパニー公演「怪談 牡丹燈籠」、G2演出の音楽劇「リタルダンド」、板垣恭一演出「二都物語」、こまつ座「十一ぴきのネコ」「てんぷくトリオのコント」、三谷版「桜の園」などに出演。2011年に村木仁、池谷のぶえと演劇ユニット・おにぎりを旗揚げし、いのうえひでのり演出「断食」、千葉哲也演出「トークトワミー!」を上演した。18年9・10月に「新感線☆RS『メタルマクベス』disc2」、11・12月に「2018 PARCO PRODUCE “三島×MISHIMA”『命売ります』」、19年2月にJ-WAVE開局30周年記念舞台「みみばしる」に出演予定。
- 中村まこと(ナカムラマコト)
- 1963年千葉県出身。猫のホテル創設メンバーで、看板役者として活躍する傍ら、劇団公演以外に、こまつ座「十一ぴきのネコ」、葛河思潮社「冒した者」、野村萬斎演出「神なき国の騎士―あるいは、何がドン・キホーテにそうさせたのか?」、行定勲演出「ブエノスアイレス午前零時」などに出演。2017年には阿佐ヶ谷スパイダースに入団し、18年の「MAKOTO」で主演を務める。11・12月には谷賢一演出「光より前に~夜明けの走者たち~」に出演予定。
- 三宅弘城(ミヤケヒロキ)
- 1968年神奈川県出身。88年、劇団健康(現:ナイロン100℃)で初舞台を踏み、その後ナイロン100℃に所属。パンクコントバンド・グループ魂の石鹸(Dr)としても活動しているほか、近年は「大パルコ人3 ステキロックオペラ『サンバイザー兄弟』」、M&Oplaysプロデュース「鎌塚氏、腹におさめる」、ナイロン100℃「ちょっと、まってください」「睾丸」などに出演。11・12月にはM&Oplaysプロデュース「ロミオとジュリエット」の公演が控える。