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少年社中20周年 毛利亘宏×生駒里奈×松田凌 座談会 / 毛利亘宏×細川展裕 対談|「演劇で世界を変える」2つのインタビューから紐解く、毛利亘宏と少年社中の20年間

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ステージナタリーでは、1年にわたり、少年社中の結成20周年記念特集を展開してきた。第1弾ではゆかりの48人からの“祝電”で20年を振り返り、第2弾では劇団員12人による座談会で劇団の軌跡を追った。そのラストを飾る第3弾では、主宰として旗揚げから劇団を牽引する毛利亘宏を中心とした2つのインタビューを実施。1つ目は、少年社中20周年記念公演を締めくくる「トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~」でW主演を務める生駒里奈と松田凌との座談会、2つ目は毛利が師と仰ぐ演劇プロデューサー・細川展裕との対談だ。演劇で世界を変える──。毛利が語った、少年社中の“来し方行く末”とは?

[毛利亘宏×生駒里奈×松田凌 座談会]取材・文 / 興野汐里 撮影 / 川野結李歌
[毛利亘宏×細川展裕 対談]取材・文・撮影 / 興野汐里

少年社中20周年記念ファイナル「トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~」毛利亘宏×生駒里奈×松田凌 座談会

左から生駒里奈、毛利亘宏、松田凌。

「トゥーランドット」でW主演を務めるのは、「モマの火星探検記」(2017年)に出演した生駒里奈と、「パラノイア★サーカス」(16年)に出演した松田凌。自身の俳優人生に影響を与えた毛利を“演劇の父”と慕う2人に、「少年社中が少年社中であるゆえん」について話を聞いた。

演劇で世界を変える。世界は変わる

毛利亘宏

──2018年1月にスタートした少年社中の20周年記念公演のフィナーレを飾る「トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~」が間もなく開幕します。脚本を拝読して、毛利さんの演劇に対する熱い思いが込められた作品だと感じました。

毛利亘宏 オペラの名作「トゥーランドット」を自分なりに解釈して、愛の形を表現したいなと思っていて。「トゥーランドット」は音楽ありきの作品なんですが、今回は名曲に負けないエネルギーをしっかり届けたいですね。

──生駒さんと松田さんの役は、お二人をイメージしながら当て書きされたそうですね。

毛利 以前から“純粋さ”の波長が合う2人だなと思っていたんですが、彼らになら「演劇で世界を変える。世界は変わる」というキャッチコピーを真っ直ぐにぶつけられるなと思ったんです。望んだ2人を真ん中に据えることができたので、せっかくなら彼らの魅力を引き出して楽しみ尽くしたい。この作品を通して、僕が思う彼らのいいところが皆さんに伝わればいいなって思います。

生駒里奈

──毛利さんがおっしゃったように、今作では「演劇で世界を変える」というテーマが掲げられていますが、ご自身の経験の中で「演劇が持つ力によって何かを変えられてしまった」と感じた出来事はありますか?

生駒里奈 私、すぐ答えられますよ! 「モマの火星探検記」(17年)です。「モマ」に出ていなかったら、きっと今俳優の道を選んでなかった。

毛利 えっ、うれしい!

生駒 ほかの作品の取材でも「『モマ』です!」って答えてしまうから、いつも申し訳ないなと思ってて(笑)。

一同 ははは!

生駒 それくらい大きい出来事でしたね。毎日悔しかったけどそれすら楽しかったから、あのときに私の世界は演劇によって変わったんだなって思いました。

松田凌

松田凌 僕は高校の頃、杏子さんと深沢敦さんがプロデュースされている「URASUJI」を観てこの世界に入ったんですが、あの瞬間に自分の道が決まったなと。演劇も映画も音楽も絵画も好きだったけど、その中でも自分の将来を変えてしまうくらい衝撃的だったのが演劇だったんです。振り返ってみると、自分の人生にとって転機が訪れるのはいつも、演劇に携わっていた時期なんですよね。高校のときに俳優を目指して東京に出てきて、そのあと毛利さん演出の「ミュージカル『薄桜鬼』~斎藤一 篇~」(12年)で舞台初主演を務めて……今も昔も自分は演劇に救われて、演劇によって生かされてるなあと改めて思います。

毛利 自分にとっては、東日本大震災のあとに上演した「天守物語」(11年)がすごく大きな出来事でしたね。エンタメに関わる人間として無力さを感じていた時期だったので、被災地から観に来た方がアンケートに「力をもらいました」と書いてくださったことで、「演劇を必要としてくれてる人がいるんだ」と思えたし、「自分はとても大事な仕事をしているんだな、真っ直ぐ向き合っていかなきゃ」と、その公演を経て思うようになりました。

少年社中の“少年”は毛利さん

──ステージナタリーでは、少年社中20周年記念特集の第1弾として、総勢48人の関係者の皆さんから祝電をいただきました(参照:少年社中 ゆかりの48人からの“祝電”で振り返る20周年)。その際に生駒さんと松田さんからもコメントをいただきましたが、今回「トゥーランドット」に参加して、改めてお二人にとって少年社中はどんな“場所”だと感じましたか?

生駒 少年社中さんは私にとってのホームですね。どの作品も好きなんですけど、中でも「MAPS」(18年)がすごく好きなんです。乃木坂46を辞めてすぐの頃に拝見したんですが、当時自分に必要だった言葉を全部もらって……感動して泣くっていうよりも心が洗われた感じでした。

──「MAPS」を観劇したあと、楽屋でご飯を食べて行かれたんですよね。

生駒 そうなんですよ。社中の皆さんは、泣きじゃくる私に“社中飯”を分けてくださる優しい方々です(笑)。

毛利 「ご飯食べてく?」って聞いたら、泣きながら「食べてく」って答えたのがかわいかったなー(笑)。

松田 ははは(笑)。少年社中さんは常に挑戦を繰り返していて、さらなる飛躍を遂げていらっしゃるなという印象があります。そんなカンパニーの中に実際に入ってみると、皆さんがこの20年の間に築き上げてきた絆の強さをより感じることができるんです。小劇場の作品から商業演劇までいろいろな形の演劇がありますが、熱い言葉を心の奥に語りかけてくれるのが社中さんの作品だと思っていて、その中でも一番好きなのが、生駒ちゃんが出演していた「モマ」ですね。自分の心の中で混沌としているものを、悪い形ではなくいい形で外に出す後押しをしてくれた気がします。職業柄、どうしても役者としての目線で観てしまうところがあるんですけど、「モマ」はいち観客として作品に没入することができて、気付いたら涙してて……。(矢崎)広くんにそれを話したら「嘘でしょ、凌が泣くわけない」って言われましたけど(笑)。

毛利 ははは!

松田 少年社中の“少年”っていろいろな意味があると思うんですが、毛利さんご自身もその由来の1つなんじゃないかなと思っていて。毛利さん、少年のときに抱いていた夢を今でも瞳の中に宿して演出しますから、そりゃあみんな「この人と芝居作りたい!」って思いますよね。僕も、これから何十年先もずっとご一緒させていただけたらうれしいです。

1から少年社中を始めよう

──「演劇で世界を変える」というキャッチコピーの通り、「トゥーランドット」という作品からは、これからも演劇の可能性を信じて突き進んでいくという毛利さんの強い決意を感じました。「トゥーランドット」は20周年記念公演を締めくくる作品でありながら、少年社中の行く末を予感させる作品になっていますね。

左から生駒里奈、毛利亘宏、松田凌。

毛利 「モマ」がいい作品に仕上がり過ぎてしまったことで、それを超える作品を作らなきゃという思いで20周年記念公演はスタートしました。振り返ってみると、20年分の楽しさと苦しさをまとめて味わった1年だったな、と。苦しみながら「ピカレスク◆セブン」(18年)を生み出して、「少年社中って一体何だろう?」ということを1から考え直して、「MAPS」(18年)で「少年社中をどう思っているか」という思いをさらけ出しました。そして「機械城奇譚」(18年)のとき、「少年社中ってこうだよね」という答えが僕とメンバーの中で合致したんです。「トゥーランドット」は次の20年に向けての序章というか、「また1から少年社中を始めよう」という気持ちを噛み締めながら作っていて、劇団を旗揚げしたときのような「俺たち無敵だ!」とか、「俺たち絶対面白い!」っていう感覚が今すごくあって。ファイナルという真逆の言葉が銘打たれてはいるけど、同時にスタートでもあるんです。皆さん、楽しみにしていてください。

「少年社中20周年記念ファイナル 第36回公演『トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~』」
2019年1月10日(木)~20日(日)東京都 サンシャイン劇場
2019年1月24日(木)~27日(日)大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2019年1月30日(水)・31日(木)福岡県 ももちパレス 大ホール
「少年社中20周年記念ファイナル 第36回公演『トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~』」

脚本・演出:毛利亘宏

キャスト
  • トゥーランドット / ケツァール:生駒里奈
  • カラス:松田凌
  • インコ:赤澤燈
  • モズ:井俣太良
  • ガン:馬場良馬
  • ハゲタカ:山川ありそ
  • トンビ:廿浦裕介
  • アジサシ:加藤良子
  • キュウカンチョウ:ザンヨウコ
  • ダチョウ:内山智絵
  • サイチョウ:大竹えり
  • ペンギン:堀池直毅
  • 謎の男:鈴木勝吾
  • ティムール:岩田有民
  • 高貴な女:杉山未央
  • アルトゥム:藤木孝
  • 大将軍ローラン:有澤樟太郎
  • ピン:川本裕之
  • ポン:竹内尚文
  • パン:長谷川太郎
生駒里奈(イコマリナ)
1995年生まれ、秋田県出身。2011年8月、乃木坂46第1期生オーディションに合格してメンバー入り。12年に1stシングル「ぐるぐるカーテン」でデビューし、6作のシングルでセンターを務めた。13年にテレビドラマ「BAD BOYS J」で女優デビューを果たしたのち、15年の「すべての犬は天国へ行く」にて初舞台を踏む。18年4月に発売された20thシングル「シンクロニシティ」をもって乃木坂46を卒業。少年社中作品には、少年社中・東映プロデュース「モマの火星探検記」(17年)に出演した。
松田凌(マツダリョウ)
1991年生まれ、兵庫県出身。2011年に俳優デビューし、12年の「ミュージカル『薄桜鬼』~斎藤一 篇~」で舞台初主演を務める。13 年には、特撮ドラマ「仮面ライダー鎧武 / ガイム」に城乃内秀保 / 仮面ライダーグリドン役で出演。近年では、テレビドラマ&舞台「男水!」(17年)、「舞台『東京喰種トーキョーグール』~或いは、超越的美食学をめぐる瞑想録~」(17年)などで主演を務め、19年5月には舞台「+GOLD FISH」に出演予定。少年社中作品には、少年社中×東映 舞台プロジェクト「パラノイア★サーカス」(16年)に出演した。