「蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~」 PR

「蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~」藤山扇治郎×北翔海莉×荒木宏文×佐藤永典×上田堪大 座談会|異なるフィールドで活躍する5人が生み出すシナジー

2009年にNHKでテレビドラマ化もされた築山桂の人気小説「禁書売り」「北前船始末」を、錦織一清が痛快娯楽時代劇として立ち上げる「蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~」。出演には、松竹新喜劇の藤山扇治郎、元宝塚歌劇団星組トップスターの北翔海莉をはじめ、さまざまなジャンルの第一線で活躍するキャストが集った。

ステージナタリーでは、2月に行われた製作発表記者会見後、扇治郎、北翔、荒木宏文、佐藤永典、上田堪大の座談会を実施。この日初対面を果たした5人は、舞台上でどのようなシナジーを生み出すのか。また本特集には、原作者の築山がキャスト5人に寄せたメッセージも掲載。こちらも併せて楽しんでほしい。

取材・文 / 興野汐里 撮影 / 沼田学

カラフルなポップコーンが1つの箱にぎゅっと詰まった感じ(北翔)

──製作発表記者会見、お疲れさまでした(参照:若き日の緒方洪庵は二枚目?三枚目?藤山扇治郎「2.5枚目くらいかも」)。会見を終えて、現在どんな心境ですか?

藤山扇治郎

藤山扇治郎 実は皆さんとお会いするのは今日が初めてだったので、すごく緊張しました。素晴らしいスタッフ・キャストの方々と会見をさせていただいて、身が引き締まる思いです。

──本日お集まりいただいた皆さんに加え、映像で広く活躍されている石倉三郎さんや神保悟志さん、WAHAHA本舗の久本雅美さん、扇治郎さんと同じく松竹新喜劇の渋谷天笑さん、舞台を中心に活動する丹羽貞仁さん、そして劇団若獅子の笠原章さんが出演します。さらに演出には錦織一清さんと、あらゆるフィールドの方が集結しました。

北翔海莉 カラフルなポップコーンが1つの箱にぎゅっと詰まっているような感じで、どういうふうに弾けていくのか楽しみです(笑)。自分が持っていないものをたくさん持っている方々ばかりなので、「たくさん吸収して引き出しを増やすぞ」という気持ちでいます。

荒木宏文 お芝居のジャンルというのは、観に来てくださるお客さんのために振り分けられているだけであって、作品単位で見ると全部個性の違うものだと思っているんです。なので、出演作のフィールドの違いに関しては何も気にしてなくて。初めてご一緒する共演者の皆さんと、目と目を合わせてお芝居できるということと、大阪松竹座・新橋演舞場の舞台に初めて立たせていただくことがすごく楽しみで、今はワクワクしかないです。早く稽古始まらないかな?(笑)

──初共演の方々が多い中、荒木さんと佐藤さんは2012年のドラマ「ハイスクール歌劇団☆男組」でも共演されていらっしゃいます。

荒木 そうなんですよ。ほかにも「テニスの王子様」の財前光という役を2人共演じたことがあって、彼はミュージカル版、僕はアニメ版で声優をやったんです。そこでつながりを感じていたのでまた会えてうれしいですね。

──佐藤さんが「ミュージカル『テニスの王子様』」で演じられた役どころも大阪出身のキャラクターでしたが、今回の「蘭」も大阪が舞台ですね。

佐藤永典 埼玉出身なので言葉に関して少し不安があったんですけど、僕が演じる瓦版屋三吉実は隠密同心 桂木一郎という役は、大阪弁で話すキャラクターではなかったのでホッとしました(笑)。荒木さんもおっしゃっていましたが、いろいろな楽しみが詰まっている作品なので、稽古開始までにしっかり準備しておきたいなと思っています。

──上田さんはこれまで男気あふれる役や妖艶な魅力を持った役をやられることが多かったですが、今回は天游の息子・耕介という爽やかな青年の役を演じられます。

上田堪大

上田堪大 こういった役に挑戦させていただけるのはすごく楽しみです。両親役の石倉三郎さんと久本雅美さんが個性的な方々なので、その血を引いてるということを見せられるように演じていきたいですね。あと僕、あまり手に汗をかかないタイプなんですけど、さっきの会見のときにすごく汗をかいてしまって(笑)。楽しみより緊張が先行してしまっていますが、今はだいぶ緊張もほぐれたので、これまでにやってきたことを生かしてがんばっていけたらと思います。

──1987年生まれ、31歳の扇治郎さんをはじめ、荒木さん、佐藤さん、上田さんと同世代の方々がそろいました。

扇治郎 上田さんは僕の2歳下の29歳で、しかも同じ学校だったっていうのがさっきわかったんです!

上田 2人共同じ京都の出身で、同じ中学・高校だったんです。

一同 えー!

扇治郎 荒木さんはおいくつですか?

荒木 僕、今年35です。

扇治郎 いやあ! すごくお若く見えるから、もしかしたら二十代かもと思ってました……! 佐藤さんは?

佐藤 28です。

扇治郎 ということは、この中では荒木さんが一番のお兄さんや(笑)。松竹新喜劇は年上の先輩方が多いものですから、年齢が近いのは天笑さんくらいなんです。こうやって同世代の方とお芝居できる機会がなかなかないので、すごくうれしいですね。

──今回のように初共演の方々が多い現場では、共演経験のある方がいらっしゃるカンパニーの作品に参加するときと、臨み方は変わるのでしょうか?

北翔海莉

北翔 いつも同じ一座だったらそれぞれの俳優が持っている癖やカラーがどんなものかわかっているけど、初めての方と共演するときは、「この人はこんな間でお芝居をするんだな。そうしたら自分はこっちのパターンでいこうかな? それとも別のパターンでやってみようかな?」と試行錯誤することができるので、自分を磨くためのいい機会になりますよね。

荒木 こちらが一方的に知っている俳優さんと初共演するとき、その方が役を完成させていく過程を稽古場で見られるのは、すごく贅沢なことだなって思うんです。あと、自分の役というのは共演者の皆さんが作ってくれるものだと思っていて。周りの人が自分をどう見てくれているかで、自分が演じるキャラクターの色が変わってくるし、「蘭」ではどんな刺激を受けられるのか楽しみです。

佐藤 僕は屈折してる部分があるのか、初めましての方に対して身構えてしまったり、知ってる俳優さんが現場にいるとその方に頼ってしまったりしていたんです。昨年「危険な関係」という作品に出演させていただいたとき、初共演の方ばかりで緊張しっぱなしだったんですが、演出のリチャード・トワイマンさんが「緊張という感情を持つことすらラッキーだよ」と言ってくださって。それがあってからは背伸びせず、ありのままの自分を見てもらおうという気持ちで挑むことができるようになりました。

上田 僕と荒木さん、佐藤さんは2.5次元作品に出演しているイメージがあると思うのですが、お二人とは今回が初共演なんです。共通の知り合いから「彼はこういう人だよ」「彼のお芝居のこういうところが魅力的だよ」ということを聞くことはできると思うのですが、実際稽古に入って自分が生で感じたものを、いかに吸収していくかが大事だと思っています。

「蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~」
「蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~」
2018年5月6日(日)~13日(日)
大阪府 大阪松竹座
2018年5月16日(水)~20日(日)
東京都 新橋演舞場
  • 原作:築山桂「禁書売り」「北前船始末」(双葉文庫)より
  • 脚本:松田健次
  • 演出:錦織一清
  • 音楽:岸田敏志
キャスト
  • 緒方章:藤山扇治郎
  • 楽人の姫 東儀左近:北翔海莉
  • 楽人 若狭:荒木宏文
    天游息子 耕介:上田堪大
    瓦版屋三吉実は隠密同心 桂木一郎:佐藤永典
  • 神道者の娘 おあき:宮嶋麻衣
    思々斎塾手伝い トラ:高倉百合子
    本屋 加島屋:ゆーとぴあ・ピース
  • 手先の半治:渋谷天笑
    同心 新井幸次郎:丹羽貞仁
    北前船の船頭頭 卯之助:笠原章
  • 本屋仲間行司衆 山城屋忠兵衛:神保悟志
  • 天游の妻・町医 お定:久本雅美
  • 思々斎塾主宰 中天游:石倉三郎
あらすじ

天下の台所として栄える商人の町・大坂。若かりし頃の緒方洪庵こと緒方章は(藤山扇治郎)は、蘭学医・中天游(石倉三郎)が主宰する思々斎塾で医学研究の学才を伸ばしていた。その塾では天游の息子・耕介(上田堪大)も学んでいるが、耕介はおあきという女に恋焦がれ親に金の無心をする始末。これには天游と妻のお定(久本雅美)も呆れ顔である。

ある日、幕府が刊行を禁止している禁書を入手するように天游から言いつけられた章は、本屋の加島屋(ゆーとぴあ・ピース)から目的の禁書を入手しようとするが、待ち合わせをしていた天満宮で加島屋が殺されてしまう。同心の新井幸次郎(丹羽貞仁)、手先の半治(渋谷天笑)らも加わって騒ぎとなる中、謎の見目麗しい若侍に心を奪われる章。なんとその若侍は、宮廷の舞楽を担う在天楽所(ざいてんがくそ)の女流楽人・東儀左近(北翔海莉)だった。しかし左近には、千年にわたり大坂の町を守ってきた闇の組織・在天別流(ざいてんべつりゅう)の総領娘という別の顔があった。

謎の瓦版屋三吉(佐藤永典)によって、恋人のおあきが加賀屋殺しの犯人にされ困っている耕介の相談に乗っていた章は、北前船船頭の卯之助(笠原章)が襲われ、その娘・おゆきがさらわれる場面に出くわす。実は卯之助は、天然痘の薬で大儲けを企んでおり、松前からの積荷にそれが含まれていた。そして老舗山城屋(神保悟志)は、その儲けを1人占めしようと画策する。一方、出回るはずのない禁書が市中に出回る事件を追っていた左近は、章と事件解決に乗り出すことに。そんな左近という謎めいた存在に異性としても惹かれていく章。しかし、左近のそばにはいつも楽人仲間の若狭(荒木宏文)がいて……。

藤山扇治郎(フジヤマセンジロウ)
1987年京都府出身。昭和の喜劇王と称され、松竹新喜劇を牽引した藤山寛美の孫。父親は小唄・白扇流の家元で、女優・藤山直美は伯母。93年、東京・歌舞伎座「怪談乳房榎」にて十八世中村勘三郎(当時 勘九郎)の息子役として初舞台を踏む。96年、祖父の追善供養公演に出演するなど、名子役として活躍し、大学卒業後本格的に俳優デビュー。劇団青年座研究所を経て、2013年に松竹新喜劇に正式入団。祖父の当たり役に次々と挑戦してきた。近年では自身が主宰する若藤会で新劇の名作を上演するなど意欲的に活動。昨年17年には大阪・大阪松竹座で上演された「銀二貫」で自身初となる外部作品の主演を務めた。昨年に引き続き、今年18年も山田洋次監督作品・映画「家族はつらいよ」シリーズの最新作に出演。
北翔海莉(ホクショウカイリ)
千葉県出身。1998年、宝塚歌劇団に入団後「シトラスの風」で初舞台を踏む。翌99年、月組に配属。2003年「シニョール ドン・ファン」で新人公演初主演、06年「想夫恋」でバウホール公演単独初主演を果たす。同年、宙組へ組替え。12年に専科へ異動後は、各組の公演に出演し、主要な役を次々と務めた。15年星組へ異動し、全国ツアー公演「大海賊」「Amour それは…」にてトップスターに就任。以降、充実の舞台で客席を魅了したが、16年「桜華に舞え」「ロマンス!!(Romance)」で惜しまれつつ退団。昨年17年9月にはミュージカル・コメディ「パジャマゲーム」で女優活動をスタートさせた。
荒木宏文(アラキヒロフミ)
1983年兵庫県出身。2004年、第1回「D-BOYSオーディション」で最終選考に残り、俳優集団D-BOYSに加入。05年1月「ミュージカル『テニスの王子様』」で2代目乾貞治役を務め、注目される。08年「夏休みのような1ヶ月」で山崎育三郎と共に映画初主演、10年には音楽ユニット・D☆DATEのメンバーとしての活動を開始。15年にはソロデビューを果たす。近年の出演作は「もののふシリーズ最終章『駆けはやぶさ ひと大和』」「御茶ノ水ロック-THE LIVE STAGE-」ほか。
佐藤永典(サトウヒサノリ)
1990年埼玉県出身。2008年「ミュージカル『テニスの王子様』」で俳優デビュー。その後、「冒険者たち」「少年探偵団」「ロミオとジュリエットのハムレット」「かげろう」「孤島の鬼」で主演を務める。出演映画「Sea Opening」が現在公開されているほか、今年18年には主演映画「やっさだるマン」も公開予定。近年の出演作は、シアターコクーン・オンレパートリー2017 DISCOVER WORLD THEATRE vol.2「危険な関係」「『GANTZ:L』-ACT&ACTION STAGE-」「座・ALISA Reading Concert 喜歌劇『天国と地獄』オッフェンバック原作より『12月25日、雪』~天国と地獄~」など。
上田堪大(ウエダカンダイ)
1988年京都府出身。2013年「霜月の星の下~果たして龍馬は命日に暗殺されたのか~」で初舞台。以降、「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」の鬼龍紅郎役、「ダイヤのA The LIVE Ⅲ」の真田俊平役、音楽劇「金色のコルダ Blue♪Sky」の土岐蓬生役をはじめとする舞台、ミュージカル、映画などで活躍。また昨年17年には「『漫劇!! 手塚治虫 第四巻』The Fusion of Comics & Theater」で初主演を務めた。近年の出演作は、音楽劇「チンチン電車と女学生」「舞台『K -MISSING KINGS-』」など。