岡本健一と研修生・修了者が「ロミオとジュリエット」軸に新国立劇場演劇研修所を語る&研修生たちの日々 (3/3)

現役研修生が教える“研修生のある1日”

ここでは現在、新国立劇場演劇研修所に通っている研修生たちに、ある1日の過ごし方を紹介してもらう。

DAY 1

1年次生は俳優としての基礎固めの授業が中心となっている。今日はトレーニングとマイズナーの授業があった。トレーニングではゆっくりとした動作で筋肉を鍛えるスロートレーニングをした。自分が辛いと思うと逃げてしまう所があることに気づきとても悔しかった。逃げずに自分で自分を追い込めるようになりたいと思った。マイズナーでは、自分にとっての大切な物や、大切な人など、自分についてこれからより考えて行く必要があるのだと感じた。帰りながら自分について考えてみようと思った。授業後に同期と三味線の練習をした後に帰宅した。

自主練の様子。

自主練の様子。

増満尚子

増満尚子

プロフィール

増満尚子(マスミツナオコ)

2006年、東京都生まれ。2024年に新国立劇場演劇研修所に入所、第20期生。

DAY 2

2年次に進級すると、通常授業と並行して、演出家などの講師と共に一つの戯曲に対して取り組む「シーンスタディ」が始まる。通常授業で得た知識や体験を「シーンスタディ」で即活用できるのがよい。
今日は、「声」の授業で得た、セリフの速度について意識しながら、「シーンスタディ」に臨んだ。しかし甲斐なくセリフが一定のテンポであるとの指摘を受ける。研修所はトライアンドエラーの連続だ。終了後、「歌唱」の授業の課題曲を歌い発散して、同期とラーメンを食べた。
英気を養った後、1日の振り返りを行い、課題戯曲をもう一度読み直して整理した上で就寝した。

授業の様子。

授業の様子。

﨑山新大

﨑山新大

プロフィール

﨑山新大(サキヤマシンタ)

1993年、静岡県生まれ。2023年に新国立劇場演劇研修所に入所、第19期生。

DAY 3

今日は稽古も授業もアルバイトもない。稽古があると生活がおざなりになるので、まず掃除や洗濯をし、生活しやすい空間を作る。
その後、図書館で「ロミオとジュリエット」の資料を読んだ。役のヒントをなんとか得ようと思考を巡らせる。
夕方、新国立劇場のオペラパレスでバレエ「眠れる森の美女」を観劇。バレエダンサーの身体表現の繊細さ、奥深さからその奥の意思や感情が伝わり、身体のみでも多くのことを深く強く伝えられるのだと感動した。
家に帰り、ご飯を作る合間に筋トレを行う。ティボルト役に必要な、ある種の圧を得るために、体を大きくするトレーニングや食事を意識して継続するようにしている。

齋藤大雅の「ロミオとジュリエット」の稽古ノート。

齋藤大雅の「ロミオとジュリエット」の稽古ノート。

齋藤大雅

齋藤大雅

プロフィール

齋藤大雅(サイトウタイガ)

1998年、福島県生まれ。2022年に新国立劇場演劇研修所に入所、第18期生。2024年8月朗読劇「風が吹くとき」に出演。「ロミオとジュリエット」ではティボルト役を演じる。

DAY 4

朝早くに家を出て、数時間のアルバイトを終え、その足で稽古場に向かう。早朝に働いているので、稽古開始まで余裕を持って稽古場に入ることができる。
稽古場に入ったら、研修所で学んだ声のウォーミングアップやストレッチや筋トレで体を起こす。演じる役やその日の自分の状態に合わせたメニューで今日の自分と対話する。
「ロミオとジュリエット」の稽古は進行スピードがとんでもなく早く、毎回通し稽古をするのでいろいろなプランを試せるけれど、その分常に更新できるようにたくさん考えなければ。
稽古後は出されたノートを受けて、相手役との話し合いや自主稽古をしてから退館。整体でボディーメンテナンスをしてから帰宅した。

飯田梨夏子の「ロミオとジュリエット」稽古の様子。

飯田梨夏子の「ロミオとジュリエット」稽古の様子。

飯田梨夏子

飯田梨夏子

プロフィール

飯田梨夏子(イイダリカコ)

1998年、滋賀県生まれ。2022年に新国立劇場演劇研修所に入所、第18期生。2024年8月朗読劇「風が吹くとき」に出演。「ロミオとジュリエット」ではモンタギュー夫人と薬屋役を演じる。

宮田慶子 新国立劇場演劇研所長からメッセージ
宮田慶子

宮田慶子

「俳優になりたい」……。その想いの元はどこにあるのでしょうか。
「大好きな俳優さんがいるから」「物語の主人公になってみたいから」「自分自身を変えてみたいから」「舞台に立って表現をしてみたいから」「熱い仲間とものづくりをしたいから」などなど……。
そのどれもが「俳優になる道」の第一歩に間違いありません。未来はすべて「未知」なのですから、今はなんの手掛かりもなく、ただ純粋に「想い」だけがあれば良いのです。
その想いを大切に、具体的で実践的にプログラムされたトレーニングによって、実感と手がかりを重ねて進んでいくことが、夢をステップアップするためにはとても重要です。一人一人と丁寧に向き合う研修を受けることによって、もしかしたら自分自身でも気づけていなかった個性を活かし、それぞれの魅力を持った実力のある「俳優」の道を歩き出すことができます。
その道の先に、プロとしての充実した舞台での活躍がひらけます。
今こそ自分の夢に、思い切って飛び込んでみてください。

演劇研修所 第21期生(2025年度入所)募集

願書受付:2024年11月25日(月)~12月23日(月)

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※演劇研修所のオンライン説明会が12月14日にZoomにて行われます。申込は12月11日まで受け付けられます。