ウエンツ瑛士と甲斐翔真が“ハマる”に導く!「ウエンツ瑛士×甲斐翔真の妄想ミュージカル研究所」番組収録レポート&古田新太コメントも (2/2)

「ウエンツ瑛士×甲斐翔真の妄想ミュージカル研究所」番組収録レポート
左から古田新太、ウエンツ瑛士、甲斐翔真。

左から古田新太、ウエンツ瑛士、甲斐翔真。

2月初旬、NHK-FMのスタジオで「妄想ミュー研」の収録が行われていた。スタジオを訪れると、いきなり問題が。予期せぬ機材トラブルの影響で、約15分遅れで古田新太のソロ曲「スイート・トランスヴェスタイト」(ミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」より)の歌収録がスタートした。

妄想ミュー研バンドの生演奏に合わせて、まず試しで歌い始めると、古田は「忘れてるね(笑)」と一言。ミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」は、リチャード・オブライエン脚本・作詞・作曲による、カルト的人気を博したミュージカルで、古田新太は古城の主であるフランク・フルターを2011年、2017年、さらに2022年に当時56歳にして世界最高齢で演じ、同役を卒業した(参照:フランク・古田が東京ラストラン!「ロッキー・ホラー・ショー」PARCO劇場で開幕)。そのため、この歌収録は古田にとって約3年ぶりのフランク・フルターとなる。その後、バンドとの音調整を含め、歌収録のテイクが繰り返されると、そのたびに古田の歌に艶と声量が増し、歌唱中のセリフには怪しさがあふれ、ついには観客を熱狂させてきたカリスマティックな“フランク・古田ー”が姿を現した。

古田新太

古田新太

そんな古田の歌収録を、ウエンツ瑛士と甲斐翔真は興奮の面持ちで見学。やがて3人で歌う「タイムワープ」収録のためにスタジオ内に入り、マイク前に立った2人は、真剣な表情を見せていた。しかし、いざ歌い始めると、音合わせの段階から3人の息はぴったり。古田が安堵した様子を見せながら、「あまりこの番組でかかる曲じゃないよね?」と言うと、ウエンツは「『スイート・トランスヴェスタイト』のときから、そう思っていました」と笑顔になる。その後の歌収録では、3人の歌唱がさらに勢いを増し、ノリノリで一発録りを決めた。

古田新太

古田新太

ウエンツ瑛士

ウエンツ瑛士

甲斐翔真

甲斐翔真

続く「ミュージカル・ジャーニー・トゥ・ザ・パスト」では、ミュージカル「コーラスライン」の振付家として知られるマイケル・ベネットの創作の背景がドラマ仕立てで語られた。と、ベネット役の古田がしたり顔でアドリブを放ち、笑いが絶えない収録に。ウエンツと甲斐は互いに目配せをしながら、古田の芝居に食いついていった。手振り身振りで演技をする甲斐と、テンポ良くボケとツッコミを繰り出し、テンションを上げていくウエンツ。2人は“俳優・古田新太”の存在の大きさに引っ張られるかのように、自由な演技を披露した。途中でドラマ部のスタッフから、甲斐研究員が未来人であることを示すセリフに対し“名言っぽさ”が求められたり、古田のセリフの調子に“遊び心”の演出が付けられたりすると、彼らはすぐさま演技を変え、収録は柔軟かつ丁寧に進んでいった。ミュージカルに人生を懸けるアンサンブルダンサーたちのオーディションの裏側を描いた「コーラスライン」のドラマがつづられる今回の「ミュージカル・ジャーニー・トゥ・ザ・パスト」。ぜひ収録の裏側も想像して楽しんでみてほしい。

左から古田新太、ウエンツ瑛士、甲斐翔真。

左から古田新太、ウエンツ瑛士、甲斐翔真。

古田新太(写真中央)、ウエンツ瑛士(写真中央左)、甲斐翔真(写真中央右)と妄想ミュー研バンド。

古田新太(写真中央)、ウエンツ瑛士(写真中央左)、甲斐翔真(写真中央右)と妄想ミュー研バンド。

古田新太コメント

ラフで変態なミュージカルの曲を歌える番組

──「スイート・トランスヴェスタイト」(ミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」より)を久しぶりに歌ってみていかがでしたか?

前回の「ロッキー・ホラー・ショー」(2022年)が終わってからだから、本当に久しぶり。この曲はキャッチーだけど、最初の入りがカウントではなかったり、セリフがあったりするから、相変わらず難しいね。これまで、相手役がまじめなやつらばかりだったので、それを崩すのがおいらは楽しくて、邪魔ばかりしていたらまともに歌うことができなくなった(笑)。でも、ミュージカルでは、こういうポップスチックなロックがあまりないから、歌っていて楽しいです。

──「タイムワープ」でウエンツさん、甲斐さんとご一緒された感想は?

ウエンツくんも甲斐くんも、ちゃんと譜割り通りに歌うから、面白かったですね。「そこ、ちゃんと守って歌うんだ?」「もっと良い加減で良いのに」と思いながら収録していました(笑)。2人共きちんとハモリの音を取ってくるのは、ラフなミュージカルをやってきていないからなんだろうなと。ほかの俳優さんがゲストだと、名作ミュージカルの名曲を歌うだろうけど、「ロッキー・ホラー・ショー」は作品自体が変態なので、ああいう楽曲を特に甲斐くんのような子が歌うのは、この番組ならではだと思います。「ミュージカル・ジャーニー・トゥ・ザ・パスト」は、まくら部分のウエンツと甲斐くんのシーンのカロリーがものすごい高かったから、「おいらは力まないよ?」というつもりでやっていました(笑)。

古田新太

古田新太

古いものを探ってみる面白さ

──「妄想ミュー研」にゲスト出演して、番組の魅力をどこに感じましたか?

おいらは昔、番組でハードロックやヘヴィメタルを流していたんだけど、その頃も、リスナーの人たちが好きな作品、好きなバンドを追いかけるのは当たり前で。違うのは、今の人たちは、作り手側が誰に影響を受けたかというところまで探らないんですよね。X(X JAPAN)がジャーマンメタルっぽい音を出しているけど、実はアメリカのハードロックバンド・KISSのファンだったということを知ると、もう一度聴き直したりして、面白い発見がいろいろとできるはず。そういった点でも、例えばこういうラジオ番組でジュディ・ガーランドについて掘り下げることで、ジュディ・ガーランドの出演作をDVDで見返したり、CDや配信で聴いたりする楽しみ方もできると思うし、「コーラスライン」の「ワン」という曲に実は深い意味があるということを知れば、作品の新たな楽しみ方ができるかもしれない。古いものを探ってみるというか。ウエンツにしても甲斐くんにしても、やったことがない曲を練習して歌って、しかもオンエアに乗せちゃうというのは、非常に良いことだと思う。「ロッキー・ホラー・ショー」のようなアクの強いロックミュージカルにはまだ出ていないはずだから、彼らの引き出しにもつながるし、そういう作品をかじったことで、いつオファーが来ても恐れなくて良いじゃない。2人のためにもなっているんじゃないかと思います。おいらがまた番組に出演することがあれば、今度はおいらがプロデュースしているオリジナルのミュージカルの曲を提案したいですね。おいらと六角(精児)さんが歌っている曲のデュエットなんか良いんじゃないかな(笑)。

プロフィール

ウエンツ瑛士(ウエンツエイジ)

1985年、東京都生まれ。4歳より子役、モデルとして活動。10歳のときに劇団四季ミュージカル「美女と野獣」に半年間出演した。2002年に小池徹平との音楽デュオ・WaTを結成し、2016年の解散まで、作詞作曲を手がけるなどシンガーソングライターとしても活躍。近年の舞台出演作に、パルコ・プロデュース2022「てなもんや三文オペラ」、シス・カンパニー「ショウ・マスト・ゴー・オン」、ミュージカル「太平洋序曲」、ミュージカル「アンドレ・デジール 最後の作品」、「PARCO PRODUCE 2024 舞台『オーランド』」など。

甲斐翔真(カイショウマ)

1997年、東京都生まれ。特撮ドラマ「仮面ライダーエグゼイド」のパラド / 仮面ライダーパラドクス役でテレビドラマ初出演。2020年に「デスノート THE MUSICAL」で初舞台を踏み、近年はミュージカル「ロミオ&ジュリエット」「ネクスト・トゥ・ノーマル」「エリザベート」「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」「MOJOプロジェクト -Musicals of Japan Origin project- ミュージカル『イザボー』」などに出演。東京・帝国劇場の一時休館前のラスト公演となるCONCERT「THE BEST New HISTORY COMING」に出演中。4・5月に「ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』」、10・11月に「ミュージカル『マタ・ハリ』」が控える。

古田新太(フルタアラタ)

1965年、兵庫県出身。大阪芸術大学在学中に劇団☆新感線の公演「宇宙防衛軍ヒデマロ」に出演し、同劇団の看板役者となる。映像、舞台で活躍し、近年の舞台出演作にCOCOON PRODUCTION 2023「パラサイト」、「2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎『バサラオ』」など。第45回松尾芸能賞優秀賞受賞。5・6月にケムリ研究室 no.4「ベイジルタウンの女神」、9月から12月にかけて2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演いのうえ歌舞伎に出演する。