ようこそ歌舞伎座へ!中村虎之介と歌舞伎座ツアーへGO 11月は歌舞伎座で会いましょう

目まぐるしく変化していく日々、ふと非日常的な時間や空間に浸りたくなったら、“ゆるりと歌舞伎座で会いましょう”。11月の歌舞伎座は特別公演として、歌舞伎座を裏側までご案内する企画「ようこそ歌舞伎座へ」のほか、河竹黙阿弥作「三人吉三巴白浪」、舞踊「石橋」が上演される。

公演に先駆け、ステージナタリーでは「ようこそ歌舞伎座へ」の案内人を務める中村虎之介と歌舞伎座ツアーを展開。歌舞伎座タワー5階の屋上庭園から、歌舞伎座劇場内、そしてお土産売り場や地下の木挽町広場まで、たっぷりと巡った。さらにツアーのあとは、虎之介にインタビュー。ツアーの感想に加え、「三人吉三巴白浪」、そして自身も出演する「石橋」についても語ってもらった。

取材・文 / 川添史子撮影 / 須田卓馬

中村虎之介と歌舞伎座ツアー

中村虎之介、颯爽と東銀座に登場!

この日、歌舞伎座を巡ってくれたのは、溌剌とした舞台が人気の若手花形、中村虎之介。待ってました、成駒家っ! フロリダで充実の夏休みを過ごした小麦色の肌、まぶしい笑顔で、颯爽と東銀座に登場した虎之介が、株式会社歌舞伎座の横山さんの案内のもと、いざツアースタート。

出発点は歌舞伎座タワー5階、木々を通り抜ける風が気持ちいい「屋上庭園」。ここは、河竹黙阿弥の旧邸から移した「黙阿弥の石燈籠と蹲踞つくばい」など、歌舞伎にまつわるものが配されたくつろぎ空間だ。しだれ桜「阿国桜」はシンボルツリー。この都会のオアシスからは、近くでタワー部分全体を見上げられる。横山さんいわく「ライトアップした劇場が引き立つように、ビル正面部分は窓を極力排した、すっきりしたデザインになっています」とのこと。虎之介からは「プロジェクションマッピングもできますね」という提案も。ぜひ見たい!

日本庭園と4階をつなぐ「五右衛門階段」は、歌舞伎座の大屋根が間近に見られるポイント。1枚だけ反転した“逆さ鳳凰”の瓦も探すのもお楽しみ。「建物が完成してしまうと、それで終わってしまう。あえて伸びしろを残す意味で不完全な部分をつくる、職人さんのゲン担ぎのような意味合いもあるそうです」とは横山さん談。

虎之介お気に入りの“歌舞伎座”は…

「四階回廊」には、歌舞伎座第一期から第四期までの建物模型などが展示されている。「これ、カッコいいですね! すごくいいなあ」と目を輝かせる虎之介は、洋風三層の煉瓦造り、内観は純和風の、和洋折衷の第一期歌舞伎座が気に入った模様。

地下鉄改札フロアから歌舞伎座正面玄関につながるエスカレーターを上がり、すぐ目の前にある「お稲荷さん」は、すでにご存知の方も多いだろう。以前は劇場の敷地内にあったが、現在は誰もが参拝できる神社に。役者や劇場関係者はもちろん、ご近所さんや観客も、気軽にお参りできる親しみあふれるお稲荷さんだ。2月は初午祭にあわせて、味のある絵が描かれた「地口行灯じくちあんどん」が飾られるのも楽しい。

ついに歌舞伎座場内へ

さていよいよ、メインである劇場へ。正面玄関左右にある絵看板は、いずれも大判の肉筆画。その月の演目や登場人物を眺めれば、観劇のワクワク感が高まる。場内に入ってすぐの数段拵えられた階段は、「1段上がるたびに非日常空間への高揚感を大切にしてほしい」という創業者の願いが込められているとか。

大間(メインロビー)は、重厚な絨毯が印象的。柄は第四期歌舞伎座竣工時の図案を再現した、京都・平等院鳳凰堂中堂母屋の、方立の菱形文様がモチーフだとか。長年の歌舞伎ファンにとっては、懐かしさも感じるロビー風景である。前の歌舞伎座でタテだった柄を横にしたのは新しい趣向。さまざまな場所で、第四期歌舞伎座で使われた意匠や材質をこの第五期でも受け継いでいる。

虎之介、ソフトクリームをおいしそうにペロリ

お土産を買ったり、美味しいものを食べたり。それも芝居見物の醍醐味。劇場客席およびロビー内は飲食可能で、各階にはさまざまなお店が並び、幕間も飽きない。歌舞伎座1階お土産処「木挽町」では、その月ごとにセレクトされる演目ゆかりのお菓子が購入可能。さまざまなお食事どころもあり、11月の「花篭」(3階)では季節に合わせたアフタヌーンティーがいただけるそう。芝居を堪能して、お茶とお菓子を味わう……優雅な時間になりそうだ。

大提灯が目をひく歌舞伎座地下「木挽町広場」は、さまざまなお店がひしめく楽しいスポットだ。虎之介は「歌舞伎座わらび餅本舗」でちょっとブレイク。ここのソフトクリームは、美瑛牛乳を使ったミルキーなソフトクリームに、わらび餅本舗特製のわらび餅、黒蜜、隈取り入りのモナカをトッピングしたパフェスタイル。あっという間にペロリ完食のおいしさ!

虎之介×歌舞伎ツアーこぼれ話

「四階回廊」には、「想い出の歌舞伎俳優」コーナーや、現在の歌舞伎座ロビーに使われている絨毯の一部も展示。ここなら触ることも可能。「わあ、ふかふかですね」(虎之介)とその触り心地を堪能!

エントランスには、先の月の演目も掲げられている。

絨毯から手すり、扉に至るまで、劇場内のいたるところに朱色を配し統一感がある空間に。踏段が朱のエスカレーターは珍しく、対応してくれる業者を見つけるまでにひと苦労があったとか。

各階では名画鑑賞も可能。季節ごとに変化する日本画や洋画を幕間に楽しもう。

1階お土産処「木挽町」にやってきた虎之介。手ぬぐいに興味津々。地下「木挽町広場」の「お土産処かおみせ」では、歌舞伎関連のグッズやブロマイド、書籍やDVDも購入可能。虎之介レコメンドは「野田版 研辰の討たれ」DVD。