憧れは江戸時代、侍になって刀を振ってみたい
──大薮さんは平成7年生まれですが、“平成生まれあるある”はあったりしますか?
あるあると言えるのかわかりませんが、良くも悪くも“ゆとり世代”と呼ばれてはいますよね。僕は中学・高校と陸上競技に打ち込んできたのですが、父や母から「昭和の時代は『水分を摂るな』と言われていた」と聞いて、それがカルチャーショックでした。僕たち世代は逆に「水分をたくさん摂れ」と言われてきたので。
──例えばタイムスリップできるとしたら、行ってみたい憧れの時代はありますか?
原始時代が気になりますね。人類がどのように誕生して、どうやって進化していったのか、サバイバルな環境を体験してみたいです。あと憧れるのはやっぱり江戸時代で、侍になって刀を振ってみたいです!
──男子はみんな一度は侍に憧れますよね(笑)。ほかに気になる時代はありますか?
大正時代も気になります。祖父母の家にひいじいちゃん、ひいばあちゃんの威厳たっぷりな白黒写真が飾ってあるんですよ。その時代の人たちに会って話してみたいです。でも多分僕はご先祖様にすごく怒られると思います……「お前、何にも考えてないな」って(笑)。
──立派に俳優をされていて、ご先祖様も誇らしいと思いますよ!
どうなんですかね(笑)。でも、本当にタイムスリップしていろんな時代のさまざまな価値観の人たちと直接話せたら、役者の勉強になるだろうなと思います。
新しい時代、“新しい感覚”に出会いたい
──平成生まれの大薮さんにとっての“平成最大の思い出”はなんですか?
昔からアクティブでやんちゃな子供だったので、とにかくケガをした思い出がたくさんあります。12歳で走馬灯を経験しましたし(笑)。でも、一番思い出深いのは役者を目指そうと思った瞬間ですね。二十歳のとき、海外ドラマのとあるシーンを観ていて「自分はこれがしたいんだ!」と強く思ったんです。漠然と芸能界に憧れを持っていただけの自分が、役者の道に進もうと決意したあの瞬間は忘れられません。それから初舞台で立たせていただいた劇場の匂いや、初めて板の上に立った感触も1つひとつが一生の思い出ですね。
──では、令和になった今、改めてチャレンジしたいことを教えてください。
“新しい感覚”に出会ってみたいですね。コロナ禍になってから、常にマスクをして、外出を控えてと、大変なことばかりではありますが、新しい時代を迎えたんだなとも思っていて。生活環境が目まぐるしく変化していく時代に突入して、自分が時代の変わり目に生きているんだということをポジティブに捉えたいんです。俳優にとっても時代の変化に敏感になることって大事だと思うので、この時代だからこそ体験できる感覚を味わいたいです。
──舞台「元号男子」も大薮さんにとって新たなチャレンジになりそうですね。
そうですね。初舞台化作品なので、原作ファンの方々も、舞台で初めて「元号男子」に触れる方にも観て良かったなと思っていただけるものにしたいです。「昭和や平成ってこうだったな」と振り返ったり、「江戸や幕末、明治、大正ってこうだったんだ」というのを一気に味わえる作品にしたい。そして「自分が令和という時代を生きているんだ、令和をどういう時代にしていこうか」と考えるきっかけになれたらうれしいですね。令和役として劇場に新鮮な風を吹かせたいです。
- 大薮丘(オオヤブタカ)
- 1995年8月8日、石川県生まれ。俳優活動開始直後の2016年、テトラクロマット「風は垂てに吹く」の主演オーディションに合格。その後、「ミュージカル『テニスの王子様』」3rdシーズンの丸井ブン太役をオーディションで射止め、2017年から2020年の間、同役を務める。そのほかの主な出演作に、ウォーキング・スタッフ プロデュース「D51-651」、Nana Produce「真空家族」、タクフェス「あいあい傘」、ミュージカル「ハル」、「『舞台版 誰ガ為のアルケミスト』~聖ガ剣、十ノ戒~」、三ツ星キッチン「Beats~クマネズミの未来ミッション~」(主演)、「その男、ピッグテイル」「チャオ!明治座祭10周年記念特別公演『忠臣蔵 討入・る祭』」、「よみがえる明治座東京喜劇-ニッポン放送『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』全力応援!!-」などがある。2月配信開始のYouTube連続ドラマ「THE BAD LOSERS(ザ・バッドルーザーズ)」に主要キャストの季楽里役で出演。6月には「いつか~one fine day」に出演する。
2021年3月8日更新
大正役・和合真一
元号ごとの時代背景を落とし込んだキャラクターの個性や原作を大切にしながら、舞台ならではの面白さ、熱量を通じて、物語を深みのあるものにしていきたいと思っています。デザイナーとして働いていた時期がある僕ですが、日本ならではのデザインを紐解いていくと、“大正”“大正ロマン”というワードが出てくるし、和洋折衷、和と洋の要素が融合して多くの美しいものが生まれていますよね。時代自体は短かったけれど、日本が大きく変わった印象です。大正さんは、美しさ、華やかさを意識しながら、マイペースで面倒見も良く、優しい、でもどこかはずしている、みんなのまとめ役。ワチャワチャは他3人にお任せしながら、癒しどころになれたらうれしいです。
昭和役・校條拳太朗
平成生まれですが、「昭和顔だね」「昭和生まれっぽいね」と言われてきました。いまこそこの昭和感を生かして、作品作りをしたいと思います。昭和というキャラクターは、堅物で生真面目、漢であり、“漢でいよう”としているイメージですね。しっかりしていますが、不器用で可愛く見えるところも魅力に感じます。昭和という時代は、さまざまなことやものが大きく変化し、大変なこともあったと思いますが、楽しそうで生きてみたいと思う時代。今回の舞台を通じて、それぞれのキャラクターの個性やその元号の魅力を舞台上でお届けしたいですし、関係性から生まれるあたたかさで、お客様の心を少しでもあたためられたらと思います。
平成役・平賀勇成
キャストの中で最年少なので、先輩方から良いところをたくさん吸収して生かしつつ、僕が演じる平成くんというキャラクターにも何かを追加できて、「平成くんがいた!」と思ってもらえるようにがんばりたいです。平成くんは、クールに見えるんですけど、可愛いイメージもあって。ネコやゲームが好きなところが自分と似ています。ゲームやスマートフォン、インターネットが普及した平成は、BoAさんや小室哲哉さんといった好きなミュージシャンが活躍した時代。僕は平成初期~昭和の楽曲もよく聴いていて、最年長の和合さんと音楽の話が合うなと思います。今回の舞台では、平成くんとしてより良いものを作っていけるように精進いたしますので、楽しみにしていてください。よろしくお願いします!
江戸役・前田剛史
アニメ化などがされていない作品なので、お客さんの期待を裏切らず、初めて「元号男子」のキャラクターが動いているところを見るのが「舞台で良かったな」と思ってもらえたらうれしいです。華やかで粋なことに重きを置く、そんな江戸時代をイメージした江戸というキャラクターは、情に厚くて粋なみんなのお兄さん。先輩3人の中でバランスが取れるポジションで、イケイケな幕末寄りではありつつ(笑)、明治に迷惑をかけることもある、でも後輩に慕われています。舞台「元号男子」を通じて、明日からの活力を届けられたらいいなと思っています。
幕末役・星璃
志島とひろさんの描く世界観を大事しつつ、本来は出会うことのない“元号”をモチーフにしたキャラクターのやり取りがエモくなればいいな、お客さんがハッとしてくれればいいなと。幕末は、“喧嘩っ早いでっかいわんこ”という印象です。人懐っこくて、面倒見が良くて、懐に入るのがうまいですよね。時代としての幕末は、現代を作るきっかけであり、侍たちが生きた時期で、僕自身も好きなので、演じられて光栄です。舞台「元号男子」はとても面白くなると思いますし、気軽に笑っていただける、そして新たな僕自身を見せられるようにできたらと思っています。お楽しみに。
明治役・大原海輝
演じるにあたって、好きなドラマを見て勉強しつつ、僕の中の明治を表現して、皆さんに楽しんでいただくのが一番なのかなと思っています。幕末と江戸が活発なイメージなので、コントラストとして、明治はクールでありつつも感情的な部分を表現できたらと。文明が開化し、西洋の文化が入り、さまざまな変化のあった明治は激動の時代。だけど、当時の文学を読んでいると、思っていることはいまとある意味変わらないなって感じることもあります。キャスト、スタッフで作っていく「元号男子」の世界観が楽しみですし、日常+αのエンタメをお届けできる作品にしたいです。