中村玉太郎
3役すべて別人が演じているのでは?と思わせたい
──これまでの「新春浅草歌舞伎」へのイメージ、過去に上演された「新春浅草歌舞伎」で、ご自身もやりたいと思った演目や、実際にご覧になられて記憶に残っている演目があれば教えてください。
昨年の「魚屋宗五郎」が印象的でした。(尾上)松也兄さんをはじめ、皆さんお芝居をしながら生き生きとしていて、客席から観ていてワクワクしました。その中でも"女房おはま"や"召使おなぎ"はいつか演じてみたいです。
──今回勤められる「絵本太功記」より「尼ヶ崎閑居の場」の初菊、「落人」での鷺坂伴内、「春調娘七種」での曽我十郎のお役の印象と、それぞれのお役に挑むにあたっての気持ちを教えてください。
どの役も、赤姫、三枚目の敵役、端正な二枚目、と役柄の方向性がまったく異なるので、全部私がやっていいのかな、ある意味すごい贅沢をさせていただいてるな、という印象でした(笑)。3役すべて別人が演じているのでは?と思わせられるくらい振り切って演じるつもりです。
その中でも初菊は感情が一番揺れ動くので、観ている方も思わず泣いてしまうくらい、気持ちをしっかりと作りあげていきたいです。
──今回上演される「絵本太功記」は、時代物の名作です。歌舞伎初心者に向けて、その魅力を教えていただけますか。
家族愛だと思います。このお話で展開されるすれ違いや怒り、悲しみなどの大半は家族間でのものです。愛する人が死んでほしくないと思ったり、家族の死を悲しむというのは、現代の人達にも同じ認識でご覧いただけるのではないでしょうか。
──玉太郎さんにとって、お正月に欠かせないモノ・コトを1つ教えてください。
お餅です! 食べるのも飾るのも欠かせません。私は痩せ型で、日頃からもっと太ったほうが良いと言われがちなので、そういった意味でもお餅は助かっています。正月太りは寧ろウェルカムです(笑)。
市川染五郎へのメッセージ
同世代の仲間だと思っているけど、同時に私にとっては"推し"です!! これからの活躍も楽しみにしてます。
舞台でも、これからよろしくお願いします。
またマイケル・ジャクソンの話もしよう!
市川染五郎
“高麗屋らしい”武智光秀を目指す
──「新春浅草歌舞伎」へのイメージや、思いがあれば教えてください。
正直、今まで一月は歌舞伎座に出演していたこともあり、浅草歌舞伎を拝見したことがありませんでしたが、若手の登竜門とも言われる公演ですので、いつかは出させていただけたらと思っていました。
──今回勤められる「絵本太功記」より「尼ヶ崎閑居の場」の武智光秀と真柴久吉、そして「棒しばり」での太郎冠者のお役の印象と、それぞれのお役に挑むにあたっての気持ちを教えてください。
第一部の「絵本太功記」で勤める武智光秀は、高麗屋らしい線の太い役で、まさに僕が憧れとするタイプの役柄です。祖父や父に教わり高麗屋らしい光秀を目指します。
第二部の「絵本太功記」では、真柴久吉を勤めます。キリッと爽やかで、陰翳のある光秀に対して光の存在として華やかに勤めたいです。
「棒しばり」で勤める太郎冠者は、とにかく鷹之資のお兄さんと息を合わせ、狂言舞踊らしく軽やかに勤められればと思っています。
──今回上演される「絵本太功記」は、時代物の名作です。歌舞伎初心者に向けて、その魅力を教えていただけますか。
通称「太十(たいじゅう)」とも呼ばれるこの作品は、光秀が主人公ではありますが、登場人物1人ひとりにドラマがある作品ですので、全員に見せ場があるところが魅力だと思います。初めての方は、プログラムであらすじを追いながら見ていただくと、確実に物語を理解できると思います。
──染五郎さんにとって、お正月に欠かせないモノ・コトを1つ教えてください。
毎年元日は、愛犬に浅草で買った紋付風の服を着せ、頭に獅子舞を乗っけて癒されています。
尾上左近へのメッセージ
公演中に誕生日を迎えると思うので、欲しいモノ教えてください!
尾上左近
祖父・初代辰之助の面影を感じていただけるように
──「新春浅草歌舞伎」へのイメージを教えてください。
今年高校を卒業しまして、ようやく歌舞伎役者として1年間通して舞台に立たせていただけるようになったところで、若手にとって憧れである新春浅草歌舞伎に出演させていただけるということは、その責任をもって舞台を勤めないといけないと思っております。
僕にとって浅草歌舞伎は、先輩方が切磋琢磨をすることでそれがお客様にも伝わり、劇場全体が盛り上がっていたというイメージです。
今回もその雰囲気を出せるよう、行儀良くというのは当然のことですが、自分の殻を破ることも目標としています。
──今回勤められる「絵本太功記」より「尼ヶ崎閑居の場」の佐藤正清と初菊、そして「春調娘七種」での曽我五郎のお役の印象と、それぞれのお役に挑むにあたっての気持ちを教えてください。
今年はありがたいことに女方のお役をさせていただく機会が多くありました。
その経験を初菊という役に生かしていきたいです。
家にある芸を辿るということは大事ですが、自分にしか出来ないものをやって家の芸に還元することが役者に生まれた者の使命だとも思っているので、今後もさまざまな役に挑戦していきたいです。
また反対に佐藤正清、曽我五郎という荒事の役は曽祖父(二世尾上松緑)、祖父(初代尾上辰之助、のちに三世松緑追贈)、そして父(四代目松緑)と代々家に受け継がれてきたものをしっかり出さなければならないです。
特に自分の中で憧れである祖父がやってきた役をさせていただく機会が今まであまりなかったので、祖父の面影を感じていただけるよう、少しでも近づけるよう、初代辰之助を意識して勤めます。
──今回上演される「絵本太功記」は、時代物の名作です。歌舞伎初心者に向けて、その魅力を教えていただけますか。
なかなか難しい話ですが、史実の人物とリンクさせられれば少しわかりやすくなると思います。例えば武智光秀は明智光秀、真柴久吉は豊臣秀吉。
そしてこのお芝居は歌舞伎の教科書と言っていいほどさまざまな役が登場します。
二枚目、荒々しい隈取、老け役、そこを楽しんでいただけたらと思います。
──左近さんにとって、お正月に欠かせないモノ・コトを1つ教えてください。
毎年お正月は家で関係者、藤間流(日本舞踊)の集まりがありそれで1年がスタートしていました。
それからごあいさつ回りがあり、なかなか忙しない一日だったのですが、コロナ以降、集まりがなくなってしまったので1日はボーッとしています。
ただ国立劇場は3日、歌舞伎座は2日初日なのでゆっくりできたお正月はないですね。
中村鶴松へのメッセージ
鶴松さんとは舞台をしっかりご一緒させていただくのは初めてです。初めてで恋人役なので、とても楽しみです。
またプライベートではサウナがとてもお好きだということで、ぜひいろいろ教えてもらいたいです。
中村鶴松
僕らの信じる芝居をぶつけて浅草を席巻しましょう!
──これまでの「新春浅草歌舞伎」のイメージや、実際にご覧になられて記憶に残っている演目があれば教えてください。
名だたる諸先輩方が作り上げてきた浅草歌舞伎。さまざまな素晴らしい舞台がありますが、特に印象に残っているのは、2009年の(中村)勘九郎の兄の「一本刀土俵入」。そして2006年の「蜘蛛絲梓弦」です。昔の新春浅草歌舞伎は、それぞれのお家の得意とする演目を出し合って誰が1番お客様を喜ばせられるか競い合っていたように思います。
──今回勤められる「絵本太功記」より「尼ヶ崎閑居の場」の武智十次郎と操、そして「春調娘七種」での静御前のお役の印象と、それぞれのお役に挑むにあたっての気持ちを教えてください。
十次郎はこのお芝居の核となるお役。綺麗な格好で出てきて甲冑に着替えて、そして最後は花道から手負いで出るという、歌舞伎のカッコいい所をすべて詰め込んだような、誰もが憧れる役だと思います。
操は片外しという歌舞伎の役柄の1つで、この歳で勤めさせていただけるとは思っていませんでした。役の心と型を学んできっちり勉強したいです。
娘七種はお正月らしい華やかな踊りです。役者の大きさで魅せるような難しい踊りではありますが、左近くん玉太郎くんと共に美しく舞いたいです。
──今回上演される「絵本太功記」は、時代物の名作です。歌舞伎初心者に向けて、その魅力を教えていただけますか。
本能寺の変で主人である織田信長を討った明智光秀のお話です。クーデターを起こした主人公光秀とその家族を取り巻く物語で、カッコよさと哀しさと愛あふれる素敵な演目です! 登場人物もそれぞれ人物色が異なっていて、ディズニーの主人公を集めたような歌舞伎らしいものになっています!
──鶴松さんにとって、お正月に欠かせないモノ・コトを1つ教えてください。
初詣。家でトイプードルを飼っているので、いつも犬を連れていけるところに行って、抱っこしながらお参りしています。
年々1年が早くなって、気がつくとお正月を迎えていて歳とるのが怖いです。。
中村橋之助へのメッセージ
チーム中村座で子供の頃から共に育った国ちゃん! 僕らの信じる芝居をぶつけて浅草を席巻しましょう!
プロフィール
中村橋之助(ナカムラハシノスケ)
1995年生まれ。成駒屋。中村芝翫の長男。2016年に四代目中村橋之助を襲名。
中村橋之助 (@hashinosuke_4) | Instagram
中村鷹之資(ナカムラタカノスケ)
1999年生まれ。天王寺屋。五世中村富十郎の長男。2001年、中村大を名乗り初舞台。2005年、初代中村鷹之資を襲名。
プロフィール - 中村鷹之資 【天王寺屋 友の會】公式サイト
中村鷹之資 (@tennoujiya_official) | Instagram
中村莟玉(ナカムラカンギョク)
1996年生まれ。高砂屋。2006年に中村梅玉の部屋子となり、中村梅丸を名乗る。2019年に梅玉の養子となり初代中村莟玉に改名。
中村莟玉 (@kangyoku.maruru_official) | Instagram
中村玉太郎(ナカムラタマタロウ)
2000年生まれ。加賀屋。中村松江の長男。2006年に五代目中村玉太郎を名乗り初舞台。
中村 玉太郎 (@tamatarounakamura_official) | Instagram
市川染五郎(イチカワソメゴロウ)
2005年生まれ。高麗屋。松本幸四郎の長男。2009年に四代目松本金太郎を名乗り初舞台。2018年に八代目市川染五郎を襲名。
市川染五郎 (@somegoro_official) | Instagram
尾上左近(オノエサコン)
2006年生まれ。音羽屋。尾上松緑の長男。2014年に三代目尾上左近を名乗り初舞台。
中村鶴松(ナカムラツルマツ)
1995年生まれ。中村屋。2000年、清水大希の名で初舞台。2005年に十八世中村勘三郎の部屋子になり、二代目中村鶴松として部屋子披露。