昨年2013年に「E★エブリスタ 電子書籍大賞」で双葉社賞を受賞した同書。主人公は、とある女性のストーカーをしている男性だが、そこに同じ女性をストーカーする存在が。ある日、女性のゴミ袋の中から自分に向けたメッセージが出てくる。支配しているつもりがいつのまにか追い詰められていく主人公。終始戦慄が走るストーカーサスペンス小説となっている。
高校の時代に村上龍「限りなく透明に近いブルー」を読んでから本を読むのが好きになったという滝沢。作家を職業とまでは考えないまでも、趣味として毎年1本ほど、これまでに7、8本の小説を書いてきた。それが何年かに1回審査で好評を受け、もう少しやってみようかと続けていたところ、昨年見事受賞。出版の運びとなった。
ストーカーの話を書いたきっかけは、自身がゴミ回収のアルバイトをしているところから。「何回か同じところに行くと、ここのゴミの出し方汚いなとか、ここは男の人が多いんだなってわかってくるんです。僕も請求書とかそのまま捨ててたので考えたら怖いなと」と着想。「書いてるときはただ辛かった(笑)。人の執着って怖いんですよ。恋愛で『どうしてもこの人じゃないとダメだ』とか思いこんでることの怖さとか。そこを面白がってるので、その表現はいっぱい出てきました。そういう女の子にバッタリ会うこともあったり、今になればそんな経験もヒントになってますね」と執筆中のことを思い返した。
エンディングは決めずに書き進めたそうで、「終わらないなと思いました(笑)。こっちも手を出さなきゃいけない、あっちも手を出さなきゃいけないってなってて、ここまでやったらどこでケツを拭いてどうするのか、どこで回収するかとか」と苦労も。しかしそのおかげで同書には特別な仕掛けもあり、「あれも使えるこれも使えるってなったときに、あとから思い付いたんです。仕掛けようと思ってたらそれはできなかったかも」と語った。
周囲からの評判は「面白い」という感想に加えて、「怖い!」という声も多数聞くそうで、「ダチョウ倶楽部の肥後さんが読んでくれたんですが、『もう気持ち悪くてしゃべりたくない』って言われました。でもその本人はパーカーを深くかぶってて放火魔みたいでしたけど」と不思議顔。また、「賞をとったら売らなきゃいけないなっていうプレッシャーができました。申し訳ないじゃないですか」と小説家としての自覚も芽生えていた。
そんな相方について西堀は「こんなに才能あるとは思いませんでした」と素直に賞賛し、小説の世界観については「ネタ作るときも、驚かせたいとかビビらせたいっていうのをよく口にしますね。ネタでは、怖い部分を俺が却下してるんですよ。ネタ合わせのときこいつゲラゲラ笑ってるから、面白いんだろうなって思ってやってみると、お客さんぜんっぜん笑わない(笑)。僕もしばらくして、滝沢が笑うからって客が笑うわけじゃないという教訓を得ました。一生、磁石にはなれません」と語った。
しかし、これをチャンスに「これだけ小説が面白いと言ってもらえるんだから、ネタでも面白いと言ってほしい」という意気込みも。「すでにスベることにタフになってて、『大声を出せばなんとかなる』とか『このくらいの暴言で』とか、テクニックで乗り切ってるところもある」という現状に対して、「ネタも小説みたいにブラッシュアップしていけば」「これを機にコントをやってみるのはどうか。掘れば金が出るかもしれない」「いっそ直木賞を獲って、これで笑わないほうがおかしいっていう空気にする」などの案を出し合っていた。
ネタでは西堀が抑えている、滝沢の頭の中を覗いてみたい人は、ぜひ手にとってみよう。また、このチャンスをマシンガンズがどう生かしていくのかにも注目を。
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