ナタリー PowerPush - TRF
祝20周年!今明かされる革新的ユニットの歩み
常にTRFのセンターに立ち、変わらぬ歌声を響かせてきたYU-KI。80年代後半からディスコでDJ活動を行い、小室哲哉の右腕となってTRFのサウンドを支えてきたDJ KOO。ここではTRFの音楽を誰よりもよく知る2人が、個人として、ユニットとしての軌跡をたどる。
そのままフェードアウトしていくんだろうなぐらいに思ってましたよ
──YU-KIさんがTRFに入るきっかけとなったのは、小室さんがディスコで主催したダンスコンテスト「TKトラックスナイト」に出たことだそうですね。
YU-KI はい。大阪に住んでたんですけど、ストリート文化というか音楽が好きで、クラブに通って見よう見まねでダンスをやっていたんですね。で、当時の先輩に「ダンスコンテストがあるからちょっとセンターで踊らない?」「優勝したら温泉のクーポン券をもらえるよ」みたいなことを言われて。大阪大会が終わっていて岐阜大会が残ってるっていうことで岐阜に行って、3人でチャカ・カーンの曲を踊りました。おかげさまで優勝したんですけど……実は私、あんまり乗り気じゃなかったんですよ。尊敬している先輩に誘われたから「ああ、わかりました」っていう感じで出ましたけど。
──でもそれが人生の転機になったわけですね。
YU-KI 審査員をしていた小室さんは、そのとき既にレイブユニットを作ろうと考えてらっしゃったみたいで「ちょっといいですか?」っていうふうに言われて、スカウトですね。それがTRFのボーカルになるきっかけです。だからそれまでは全く歌ってなかったし、ボーカルのオーディションとか受けたこともないです。
──ダンスのコンテストに出たYU-KIさんをなぜボーカルとして任命したんでしょうね?
YU-KI そのとき小室さんと一緒にいた人は今のエイベックスの副社長・千葉さんなんですけど、彼が「あの子がいいんじゃないの?」っていうことで。歌を歌ってないので、多分優勝したからっていう理由ではないと思うんですけど。彼らが描くボーカルのイメージに合ったんじゃないかと思います。
──その後、具体的な説明を聞いてどう思われました?
YU-KI 「はあ……」みたいな感じの漠然とした想像でしかないですよね。そんなグループいなかったから「じゃあ○○のような感じなんだな」っていうイメージもなく。それに、そのとき私はまだ歌をお聴かせしたこともなかったし、洋楽ばかり聴いてたので日本の歌もそんなに知らなくて、大丈夫なのかなって思いましたよ。
──そこに飛び込んでいくっていうのもすごいですね。
YU-KI いや、本当にそのままフェードアウトしていくんだろうなぐらいに思ってましたよ。連絡先を訊かれて、千葉さんから電話が来て、いついつ上京って話をされたときも「本当にかかってきた」って思ってたし(笑)。よくよく考えると私も怖いもの知らずのチャレンジャーだったかもしれないですね。
もしヒップホップだけのDJだったら違ってた
──一方、KOOさんはTRF結成前にどんな活動を?
DJ KOO ずっとディスコでDJをやっていて、そこでかけるのに盛り上がりやすいバージョンのエディットを仲間と作っていました。それが高じてレーベルの人から声をかけられて、DJ HONDAとかとTHE JG'sっていうリミックスチームを作ったんです。そのユニットで、メジャーのアーティストのアルバムに入るダンスミックスを制作する仕事をしてましたね。Winkとか早見優ちゃんとか荻野目洋子さんとか、歌謡界でもダンスミックスにしたいっていう人が結構出てきて。あと久保田利伸さんの最初のアルバムのダンスミックスもやったし、郷ひろみさんも……いろんなのやってましたね。
──今のようには機材環境が整っていなかったと思いますが、曲のリミックスやエディットってどのようにやっていたんですか?
KOO 手法はサンプリングですよ。今だったら当たり前に何時間も録れるサンプリングだけど、一番長いので2秒ぐらいしか録れなかったのかな。
──えー。当時使っていたサンプラーは?
KOO CASIOのFZ-1(※国産初の16bitサンプラー)とかでしたね。そこに音を入れて鍵盤で叩く。当時フロッピーディスクに入るのは本当に2秒くらいでした。で、それをまだたくさん録れるマルチ(トラックレコーダー)とかもなかったので、FOSTEXの8トラックのテープに入れて作ってましたね。ノンストップミックスっていうのができたのもその頃かな。
──小室さんと知り合ったのもその時期ですか?
KOO 僕の場合は、小室さんがレイブのイベントをやるから、そこでDJが欲しいっていうことで人づてに紹介されました。で、元々はイベントのDJとしてのオファーだったんだけど、そういうリミックスの仕事をしてたっていうことでレコーディングのアシスタント的な感じでアルバムの制作に参加して、っていう流れですね。
YU-KI それがTRFの1stアルバムです。
KOO 小室さんに会ったときはもうユーロビートよりテクノが主流になってきていて、小室さんとそういう音楽的な話をする中で一致するところがあったので、スタジオでの制作を続けていけたんだなって思いますね。もし僕がヒップホップだけのDJだったらきっと違ってたかなと。
自分たちでも一体何人なんだろうって
──小室さんはTRFの構想についてどう話していたんですか?
YU-KI 簡単に言うと、ボーカル、ダンサー、DJがいる今までにないダンスユニットを作りたいんだっていうことでしたね。最初はメンバーが流動的で、今日はこの人がいたりいなかったり……私は歌だから絶対いましたけど、自分たちでも一体何人なんだろうっていう気はしていました。で、「EZ DO DANCE」を出したあとくらいに今の5人になったのかな?
──この5人になったっていうのはどういう理由で?
YU-KI ……知ってる?
KOO 知らない。
──あはは(笑)。
YU-KI 多分小室さんの意向だと思いますよ。
──特に理由を聞いたことはないし、考えたことも特にない?
YU-KI そういえばないですね。私たちはわかんないですよ。わかるわけがないくらいな感じで。小室さんの頭の中にはいろいろあるんでしょうけど、彼のプロデュースでデビューしたのでやっぱり言われたことには忠実にというか、私の立場だとそう思ってましたね。
- 4カ月連続リリース第1弾 ベストアルバム「TRF 20TH Anniversary COMPLETE SINGLE BEST」 / 2012年11月21日発売 / avex trax
- ベストアルバム「TRF 20TH Anniversary COMPLETE SINGLE BEST」CD+DVD盤[CD3枚組+DVD] 3000円 AVCD-38635~7/B
- ベストアルバム「TRF 20TH Anniversary COMPLETE SINGLE BEST」CD盤[CD3枚組] 2500円 AVCD-38638~40
- 4カ月連続リリース第2弾 トリビュートアルバム「TRF リスペクトアイドルトリビュート」2012年12月19日発売 avex trax
- トリビュートアルバム「TRF リスペクトアイドルトリビュート」CD+DVD盤[CD+DVD] 2940円 AVCD-38660/B
- トリビュートアルバム「TRF リスペクトアイドルトリビュート」CD盤[CD] 2310円 AVCD-38661
収録曲
- BOY MEETS GIRL / IRF
- EZ DO DANCE / アイドリング!!!
- 寒い夜だから… / Dream5
- Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~ / 東京女子流
- survival dAnce ~no no cry more~ / BiS
- Love & Peace Forever / iDOL Street(SUPER☆GiRLS、Cheeky Parade、ストリート生)
- BOY MEETS GIRL -DJ KOO PARTY MIX-
DVD収録内容
- IRF~BOY MEETSしたいGIRLS達~
TRF(てぃーあーるえふ)
YU-KI(Vo)、DJ KOO(DJ、サウンドクリエイター)、SAM(ダンサー)、CHIHARU(ダンサー)、ETSU(ダンサー)の5人からなる音楽ユニット。1993年に小室哲哉のプロデュースにより、trf名義でシングル「GOING 2 DANCE」、アルバム「trf ~THIS IS THE TRUTH~」にてデビューを果たす。90年代中盤には「survival dAnce ~no no cry more~」「BOY MEETS GIRL」「CRAZY GONNA CRAZY」「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」など、数々のミリオンヒットを生み出す。1996年からユニット名を現在のTRFに変更。また1998年より小室プロデュースを離れ、独自のスタンスで活動。各メンバーはソロ活動や、他アーティストの振り付けなども行っている。2012年11月にはベストアルバム「TRF 20TH Anniversary COMPLETE SINGLE BEST」をリリース。これを皮切りに4カ月連続リリース企画をスタートさせ、2013年2月にデビュー20周年を迎える。
2013年2月25日更新