「DOGMATIC」を振り返って

──2月28日に東京・国立代々木競技場第一体育館にて開催されたワンマン「LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL『漆黒』」も無事成功し、「DOGMATIC」ツアーの全日程を終えたところですが、今回のツアーの手応えはいかがだったでしょうか？

RUKI（Vo）　ツアー第1弾の「DOGMATIC -UN-」はわりと探り探りだったというか……もう20本近く探ってたような（笑）。そのぐらいシビアにやっていました。そのおかげで、第2弾の「DOGMATIC -DUE-」は楽しめたかな。

葵（G）　「DOGMATIC -DUE-」は「DOGMATIC -UN-」よりも余分なものを省いて、ソリッドにしていこうという意識でやっていましたね。なので、ツアーファイナルの「漆黒」は逆にショーっぽくしようということで、ツアーを回りながらミーティングを重ねました。ファイナルはいろいろと演出要素があるしセットリストも変わってくるわけで、そのへんはしっかりと話し合いました。

麗（G）　ツアー中に見えた課題をそのツアーの中ですべて消化することってなかなか難しいんですよね。でも、「DOGMATIC -DUE-」でブラッシュアップできたかなとは思いますね。

戒（Dr）　あと、当初「DOGMATIC -DUE-」はライブハウスツアーにしようかという話も出てたんですよ。結局ホールのほうがコンセプトを表現しやすいんじゃないかという話に落ち着いたのですが。「DOGMATIC -DUE-」はホールでライブハウスっぽさをどれだけ出せるのかを模索したツアーで、双方のいいとこ取りみたいなライブができたと思いますね。

長く「DOGMA」の世界観を見せていきたかった

──そして代々木公演では、ニューシングル表題曲「UNDYING」が披露されました。こちらはいつ頃制作されたのでしょうか？

戒　「DOGMATIC -DUE-」が始まる前ですね。このシングルが出ることは「DOGMA」を発表する時点ですでに決まってたんですけど、11月に1カ月、活動の空きがあったので、レコーディングもボーカル以外はその期間で全部終わらせて。

──前作のシングル「UGLY」と同様に、今作は「DOGMA」の世界観を踏襲しつつ、アルバムからのカットではないまったくの新曲が収録されています。こういったスタイルはなかなかイレギュラーなものだと思うのですが。

戒　以前からアルバムリリース直近にシングルをリリースするという考え方に疑問があったんですよ。「ほかに見せ方ってないのかなあ」って思っていて。だからアルバムの世界観を広げる手段としてのシングルリリースって面白いんじゃないか、新しいかなと思ったんです。

葵　ツアーが終わったあとも、長く「DOGMA」の世界観を見せていきたいという思いがあったんですよね。さっき麗が言ったように、1本のツアーですべてを完璧に仕上げることってなかなか難しいんですよ。そのアルバムの楽曲達と全国を回って見えてくるものもありますし。そういった思いを作品にして、きれいに形にしていこうっていう気持ちもありました。

──本当に休む間もなく絶えず動かれてますよね。

葵　いやいや！ 僕ら夢追い人なんで、休みなんていらないっす！

REITA（B）　こないだ「めっちゃ休み欲しい」って言ってたじゃん（笑）。

「DOGMA」の最後を飾る曲

──表題曲の「UNDYING」ですが、ダークで激しさと切なさのある曲ですね。

RUKI　「UNDYING」は本当に「DOGMA」ありきの曲ですね。「DOGMA」シリーズが1枚のアルバムだとするなら、最後を飾る曲はこれだろうな、といった感覚です。このシングルも 「DOGMA」の一部なので、もし「DOGMA」を聴かずに「UNDYING」から聴いた人には「DOGMA」を聴いてほしいというか。

──タイトルの「UNDYING」は「不死の・不滅の」という意味ですが、「大変な状況でもバンドは死なない」といったような意図なのでしょうか？

RUKI　どちらかというと、バンドの活動というよりも「迫ってくる困難は終わることがない、不滅だ」という意味で付けています。でも、バンドのことを思って付けているタイトルのようにも感じられますよね。どちらとも取れる、含みのあるタイトルになったかな。

──例えば歌詞の中に「暴虎馮河」という言葉が出てきますね。「虎に素手で立ち向かって河を徒歩で渡るくらい無謀な行為」という意味で、現在のバンドの状態を表しているのかな、と受け取りました。

RUKI　まあそんな感じのことも含みつつ（笑）。そういう状況のほうがいい歌詞が書けたりもするんですよね。何も障害がないと、書きたいことがないんですよ。もうコンビニに行ったことぐらいしか書くことなくなっちゃう……（笑）。

──今、戒さん深くうなずいていらっしゃいましたけど（笑）。

戒　そうだろうなって思いますね（笑）。自分の中でエネルギーになるものがあってこそ、表現が生きるのかなって気がしますね。特にボーカルはそうじゃないのかなあ？ 障害がないと、我々の出すものは明るい曲か、想像の世界を描いたものでしかなくなってしまう。それはそれでよさがあるのかもしれないけどね。