圧倒的に後味の悪い終わり方

──カップリング曲の「MALUM」はライブ向きの激しい曲ですね。

RUKI　タイトルはラテン語だと「悪」みたいな意味です。

麗　激しい曲ですが、「DOGMA」にはありそうでなかった曲だと思います。

──「こういう曲が欲しい」という話し合いがあって生まれたのでしょうか？

REITA　そういうのはなかったかな。

──歌詞はかなり凄惨な内容になっています。

RUKI　実体験ではありませんよ。「悪魔を見た」という映画からインスパイアされて書きました。

──「悪魔を見た」は婚約者を殺された主人公が復讐鬼となり、殺人犯を追う韓国映画ですね。確かに暴力的な中にじめっとした悲しさがある雰囲気が共通していますね。

RUKI　そうですね。なんとも韓国映画っぽいと思います（笑）。一切救いがない感じというか。

──映画はよくご覧になられるのでしょうか？

RUKI　めっちゃ観ます。韓国映画好きなんですよ。

──ちなみに、好きな映画監督は？

RUKI　好きな映画監督はいないのですが、RHYMESTERの宇多丸さんが薦める映画には絶対的な信頼を置いています（笑）。

──そうなんですね（笑）。昔から映画に影響を受けて歌詞を書くことは多かったのでしょうか？

RUKI　ハッピーな映画にはあまりインスパイアされませんが、妙な終わり方をする作品は好きですね。韓国映画は圧倒的に後味の悪い終わり方をするじゃないですか。

REITA　彼がお薦めしてくる映画はどれも面白いですよ。ツアー中は空き時間があるんで、比較的観ることが多いです。でも、リーダーが薦めてくる映画はどれも……（笑）。

戒　そういうことココで言うのやめてくれる？（笑）

REITA　ははは（笑）。いや、メンバー間でこういう話を共有することって、バンドの中で同じ世界観を持つことにつながっていくし、いいと思うんですよ。

真価が問われた「VACANT」

──そして「VACANT」はミドルテンポの物悲しい曲です。

葵　最初はもっときれいな感じの曲になるかなと思って作っていたんで、同期も入れたりしようかなと考えていたんですけど、ギターを入れるときにほの暗いイメージが湧いてきたので、同期は省きました。そうしたらあとから付けた歌詞に「桜」なんて言葉が出てきちゃって……あれ？ どうしようかなって（笑）。

RUKI　あはは（笑）。

葵　とにかくほの暗い感じは意識しました。僕みたいな“空っぽ（VACANT）”な人間が語るのもアレですけども（笑）。

麗　原曲があって、アレンジをしているときが一番曲と向き合ってるときなんですけど、そのときはまだ歌詞の世界観もできあがっていなかったので、フレーズの感じから曲のイメージを汲み取るんですね。葵さんが言ったように僕もほの暗い感じを受けたので、それをどういったニュアンスで見せようかと試行錯誤しました。わりと難しい曲ではあったと思います。

REITA　うちらの曲ってけっこう音が詰まっているんですけど、この曲はわりとゆとりがあるじゃないですか。そういう曲は個々の弾くフレーズが際立って真価が問われるので（笑）、レコーディングはかなりシビアにやりました。微妙なタッチの違いでニュアンスも変わるので、何回もやり直したりして。苦労しました。

戒　葵くんの曲って間の取り方が独特なんです。面白いですよね。この曲は僕の中には比較的すんなり入ってきたので、ジョイントの部分のアレンジとか、任せてもらった部分は葵くんのやりたいことを想像してうまく表現できたかなと思います。