音楽ナタリー Power Push - Swimy
変わらないようで実は変わった4人の関係性
Swimyがテレビアニメ「NARUTO-ナルト- 疾風伝」のエンディングテーマとして書き下ろした「絶絶」を含む新作CD「絶絶ep」を2月22日にリリースする。
2016年6月発売の前作「おひとりさま」は「ひとり」がテーマの作品だったが、「絶絶ep」は「人とのつながり」がテーマ。音楽ナタリーでは今作の発売を記念して、10年来の仲のTakumi(Vo, G)とタイキロイド(G, Cho)、20年来の仲の平成のまお(Vo, B)とみっけ(Vo, Dr)という組み合わせで2本のインタビューを実施し、「絶絶ep」制作時のエピソードや4人の関係性、メジャーデビューから1年を迎える今の心境について語ってもらった。
取材・文 / 清本千尋 撮影 / 後藤壮太郎
Takumi(Vo, G)&タイキロイド(G, Cho)インタビュー
「NARUTO」に寄せることなく作れた
──お二人には「絶絶ep」の制作について詳しくお話を聞きたいと思っています。前作「おひとりさま」は「ひとり」をテーマにした作品でしたが、今回の「絶絶ep」は「人とのつながり」がテーマになったそうで。
Takumi(Vo, G) 自分と向き合う「おひとりさま」を完成させたら、次は「人とのつながり」を描こうって、「おひとりさま」の制作を始める前にもう決めていたんです。「おひとりさま」が「ひとり」の歌なら、次はほかの誰かと対面したときに生まれる感情を描きたかった。
──タイトルトラックの「絶絶」はテレビアニメ「NARUTO-ナルト- 疾風伝」のエンディングテーマとして書き下ろしたナンバーですね。
Takumi タイアップ曲だし、シングルとしてリリースするか迷ったんです。でもタイアップが決まる前から、次の作品は「おひとりさま」と同じ6曲入りの作品にしようと決めていたので今回はこういう形態でのリリースになりました。それに「NARUTO」の曲ならもともとのコンセプトからブレずに作品を作れるなと思ったんですよね。
──主人公のうずまきナルトも最初はひとりぼっちで、そこから仲間との絆を知っていきますもんね。
タイキロイド(G, Cho) タイミングガバッチリダッタンデス。
Takumi それに僕は「NARUTO」の大ファンだったのでタイアップが決まってうれしかったですね。ただただ戦いがカッコいいとか、キャラクターが魅力的とかそれだけじゃなくて、僕自身と重ね合わせて見られる部分もあるんですよ。ナルトが不器用ながら一生懸命仲間のためにがんばるところがいいんですよね。いやー、語り始めると止まらないです(笑)。
──今回もいつも通りTakumiさんがデモを作ってきて、それをメンバーに聴かせて制作を進めていったんですか?
Takumi そうですね。「おひとりさま」の制作で「ひとり」の世界観を描きたかったから閉じこもって曲を書いてたんですけど、なんかそれが定着しちゃって今回も1人で仕上げてメンバーに聴かせることが多かったです。だからなのか今回はいわゆるバンドアレンジ以外の曲も多いですね。竿物以外の楽器のフレーズを考えるのにずっと部屋に1人でこもって何回もプリプロして。
タイキロイド ゼンカイヨリモヘヤノトビラガシマッテルジカンガナガカッタキガスル。ズットヘヤデカチカチヤッテタヨネ。
Takumi 僕が1人で作りきることのメリットはメンバーに客観的な意見をもらえることだと思っているので。作り手の気持ちを持ちながらも半分お客さんの立場で僕の曲を聴いて意見ができるのはメンバーならではだと思うんです。
「共感してほしい」から「かけてあげたい言葉」へ
──「絶絶ep」には書き下ろしではないもともとあった楽曲もあるんですか?
タイキロイド 「isogi」ハデビューマエ……2ネングライマエカラアルヨネ。
Takumi そうだね。「isogi」ってタイトルの通り、急いで作った曲です(笑)。夜中の2時くらいから1時間くらいで曲を書いて、歌詞も1、2時間で書いて朝の7時には完成していた曲。深夜にパパッとできた曲なので、自分が今まで書いた曲の中ではかなりメロディや言葉がストレートなものになったと思います。音楽を作ることを楽しめなくなったらイヤだな、そうはなりたくないなっていう気持ちを歌っています。「忙」は心を亡くすって書くじゃないですか。それにこの曲は急いで書いたから「いそぎ」って響きがぴったりだなと思って、最初は「忙」ってタイトルだったんです。でも読みにくいから響きだけ残して「isogi」というタイトルになりました。
──タイトルトラックの「絶絶」は今までのSwimyらしい四つ打ちのリズムが特徴のナンバーです。ストレートな歌詞と見せかけて、歌詞カードを見ると言葉遊びが面白い1曲ですよね。
Takumi 歌詞はかなりこだわって書きましたね。一聴しただけで意味がストレートに伝わるように心がけました。前作では自分の中の感情を書けば自分と同じ境遇の人が共感してくれると思って言葉を紡いでいたんです。今回は僕らを応援してくれているファンや家族、友達とかそういった人にどういう言葉をかけてあげたいかっていうことを考えながら歌詞を書いたら、ストレートな表現が増えたような気がしています。
──歌詞に出てくる「縷縷」(るる)にはつながるっていう意味があるんですね。
Takumi そうなんです。歌いやすい響きだしいいなと思って取り入れました。今となってはみんな「ルールルルルルル♪」って歌ってますけど、最初メンバーは「縷縷」の意味はもとより読み方も知らなかったんですよ(笑)。
タイキロイド ムズカシクテヨメナカッタデス。ギターパートハTakumiトナンドモネリナオシテ、イイフレーズガデキタトオモッテイマス。
Takumi ギターのパートは僕とタイキロイドの2人で考えるんです。僕らは根っからのギターキッズなんで、カッコいいことやトリッキーなことをやりたいんですよ。デモではもっと複雑なパートを弾いてたんですけど、「これギター遊び過ぎで歌潰してるから」って女子メンバーやチームの人に指摘されて、だいぶ削られて(笑)。僕たちの音楽には歌のハーモニーがあるので、ギターはトリッキーなことをやってみたり、リズムを出して存在感を出すくらいがちょうどいいと思ってるんですね。このアルバムは特に竿物以外の楽器の音が多く入っているので、ギターはより遊んでいたほうが存在感が残るんじゃないかなって複雑なフレーズをけっこう鳴らしてますね。
次のページ » Swimyを歌う「僕の言葉で」小悪魔感のある「ナンカイ」
収録曲
- 絶絶
- 僕の言葉で
- アナタキミ
- ナンカイ
- どうして
- isogi
Swimy「L.O.L page-1~縷々るル~」
- 2017年4月28日(金)東京都 shibuya eggman
- 2017年5月2日(火)京都府 KYOTO MUSE
Swimy(スイミー)
2011年に滋賀県で結成されたTakumi(Vo, G)、平成のまお(Vo, B)、みっけ(Vo, Dr)、タイキロイド(G, Cho)からなる男女混声トリプルボーカルの4人組ロックバンド。テレビアニメ「銀魂°」のエンディングテーマとして書き下ろした楽曲「あっちむいて」をシングルリリースし、2016年3月にアリオラジャパンからメジャーデビューした。6月にミニアルバム「おひとりさま」を発表。テレビアニメ「NARUTO-ナルト- 疾風伝」の2017年1月クールのエンディングテーマに提供した「絶絶」を含む新作CD「絶絶ep」を2月にリリースする。4月には東京、5月には京都で自主企画「L.O.L page-1~縷々るル~」を開催することが決定している。