普通に歌い上げるのは“夢”じゃない
──ボーカルチームが歌入れをするにあたって意識したことも教えてください。
古川 この曲の神秘的な感じ、つかみどころのない感じはちゃんと表現したいなと思いました。なので僕はそこに注力して……低温な感じ。温度感を特に意識したかもしれないです。聴いたとき、すっと耳に入るように。レコーディングで何度も試しながら、曲の世界観に忠実な歌声になるように作り上げていきました。
田中洸希 私は……もはや眠りながら歌っていたというか。
ジャン 世界観すごいな?
田中 不思議な雰囲気の曲じゃないですか。普通に歌い上げるのは“夢”じゃないなと思って。
古川 発言がアーティストすぎない?(笑)
伊藤 寝言で歌ってたということ?
田中 そうそう。寝言を言う感じで。
志村玲於 本当かよ~。
古川 夢で見たメロディを起きてすぐ録音する、とかは聞いたことあるけど。その延長線上ってこと? あんま聞いたことないぞ(笑)。
田中 ちょっと大袈裟に言いましたけど(笑)、でも僕はもともとドリームコアの世界観が好きで。TikTokでもよくこのジャンルの動画を観てたんですよ。
伊藤 へえー。
田中 だから、自分の好きなように歌わせてもらった感覚でしたね。気持ちよく、安眠しているかのような気分で歌っていました(笑)。
──洸希さんの「僕のために 全て捧げ」というパートは、歌い方を含め印象的ですね。
田中 ここ、めっちゃ真似されるんですよ、メンバーに!
松村 田中洸希ウィスパーシリーズね。
田中 でもすぐ録れました。得意分野なんだと思います(笑)。
おもちゃ箱のようなダンス構成
──「Dreamland」のダンスパフォーマンスについても聞かせてください。
池田 振付に関しても僕から「こういうテーマで曲を作ったから、振りに落とし込むならこういう感じがいい。このパートはこういうふうにしたい」というイメージを一旦玲於くんと颯くんに相談しました。そこから誰にコレオを頼む?という話をして、今回お願いしたKANUさんに細かな文章でイメージをお伝えした感じですね。
志村 曲の序盤はポップさを感じるきれいなサウンドなので、コレオに関してもきれいだったりちょっとかわいらしい振りなんですが、曲の雰囲気がガラッとかわるところはゴリゴリのヒップホップでダークさを出したり。振付に関しても急な切り替えがポイントになっていますね。
飯島 この曲は特に、構成で世界観を表現することが大事だなと思っていたんです。その中でKANUさんは今までのスパドラの振付にないような振付の構成だったり見せ方だったりを提示してくださったので「ここをこういう表現するんだ」とか、すごく勉強になりました。あと、この「Dreamland」は、踊っていても9人で1つの世界観を作り上げてる感覚がすごく強いです。「おもちゃ箱」というワードも歌詞にありますけど、本当におもちゃ箱のような雰囲気で1人が動いたらそれに連動してほかの8人も動くみたいな、そういう1つひとつの構成が楽しめるものになっていると思います。
──楽さん、パフォーマンス面での注目ポイントを1つ挙げるなら?
柴崎楽 それはもう、壮吾ですね。壮吾の見せ場があります。
ジャン 「遊び続け Forever」の直前ね。8bit音が入るんですけど、その音に合わせて壮吾のキメがあるんですよ。
柴崎 どセンターで決めてくれます。
──壮吾さん、このパートに関してはいかがですか?
伊藤 そうですね。ちょっと皆さんに見てほしいですね!
一同 (口々に)いや、意気込みショボッ!(笑)
柴崎 (笑)。あと全体を通して、ダンサーがセンターに来てほかのメンバーを操るような動きだったり、そういう構成がいろいろと細かく入っているんです。常に動きがあるので、見ていて楽しいと思いますよ。
予定調和じゃない感じがいい
──では続いて、この曲のMVに関しても聞かせてください。
池田 MVに関しては毅くんと監督さんに、ゴリゴリに相談しながら……。
ジャン・松村 ゴリゴリに相談(笑)。
池田 まず最初にビジュアルを撮る作業があったので、衣装を担当してくれる毅くんに「MVをこういう感じにしたいから、衣装もこういう感じで」と伝えて。そうやってすべてのつながりをしっかりと持たせながら作っていった感じなんです。MVに関しては、例えば意味のないシーンが連続で続くとか、うまく解釈できない雰囲気があるんだけど、決してごちゃごちゃはしないように。“夢”というテーマを表現するにあたって、不思議さときれいさのバランスをすごく意識していましたね。カット数がものすごく多かったので撮影当日はとても大変だったんですが、編集でCGや効果がいろいろと入ってまとまっていくと思うので、完成が楽しみです。
古川 衣装に関しては彪馬の中のテーマが明確なものだったので、僕はそれをサポートできたらという思いでした。メインビジュアルのフォーマルな衣装は“ラグジュアリーさ”と“モノトーン”は全員統一なんですが、スパドラはおのおののキャラが立っているので個性は出したいな、予定調和じゃない感じがいいなと思って。意外性も感じさせたかったので、バランスが取れてるんだか取れてないんだかわからないスタイリングを目指しました。彪馬が1人だけガッツリ白のジャケットを着たりしてる、そういうアンバランスさですね。で、MVにはもう1パターンの衣装が出てくるんですが、これに関しては「Dreamland」で表現している“怖さ”の側面が出せたかなと思ってます。ただただ僕らのカッコいい顔を見たいという人は残念かもしれないですけど、それはメイン衣装のほうでしっかり堪能していただいて(笑)。作品としての最善を選択し、ちゃんとストイックに向き合えた実感はあるので、ブレずにできてよかったなと思ってます。
9人の中の“あの場所”
──「どこか懐かしい」「あの場所で」といったフレーズも登場する「Dreamland」の歌詞にちなんで……結成から9年分の思い出を9人で重ねてきた皆さんですが、全員が共通して思い出せるような“遠い思い出”を挙げるなら、それはどんな景色なんでしょう?
池田 初めて9人でごはんに行ったときかな? 颯くんの兄ちゃんがたまたま来た。
松村 懐かしい~!(笑)
飯島 その日のことで覚えてるのが、玲於が頑なに上着を脱がなかった。
一同 そうそう!
松村 ずっとダウン着てたよね。
古川 渋谷のお店だったっけ。イタリアンみたいな。
──それはいつ頃の思い出ですか?
松村 それこそ9年前だと思います。1stワンマンをやった頃じゃない?
──颯さんのお兄さんも合流したんですね。
飯島 そうなんです(笑)。お兄ちゃんが近くにいたから来てもらって、9人の集合写真を撮ってもらいました。
古川 そうか。あの写真、颯の兄ちゃんが撮ってくれたのか。
ジャン 懐かしいな(笑)。
古川 で、玲於はなんであのとき上着脱がなかったの? みんなが「脱いだら?」と言っても、なんか意地になってて。
志村 なぜかわかんないけど、そのとき嫌だったんだと思う(笑)。
松村 「脱げ」って言うと脱がないんだよね。
古川 意外と天邪鬼なところあるからね。
志村 脱ぐのが面倒くさかったのかも(笑)。
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そこは「待て」と……犬だけに