SUPER BEAVER|10年の時を経て、再びメジャーシーンへ その覚悟と新たな可能性

今、この曲を歌うことに意味がある

──さらにこのシングルには「まわる、まわる」も収録されています。2010年にリリースされたアルバム「SUPER BEAVER」収録曲のセルフカバーですね。

柳沢 最初はライブでやろうという話だったんです。でも、リハーサルでやってみたらいい感じで、そのまま自然に「シングルに入れるのはどう?」ということになりました。

渋谷 「まわる、まわる」は、個人的には時間と密接な曲だと思ってるんですよね。過去を思うこと、未来に思いを馳せることがわかりやすく表に出ているというのかな。10年前にこの曲を歌ったときは、10年後の自分たちを具体的に思い浮かべることはできなかった。でも、今は10年前に抱えていた感情も生々しく思い出せるし、この先の未来もちゃんと見えていて。そういう意味でも、今、この曲を歌うことに意味があるなと。

上杉 同じ歌詞であっても、この10年間の中で感じ方が変わってますからね。それがバンドをやり続けることの意味だし、10年前と同じ思いでやっていることの証明だと思うんですよ。原曲とほぼ変わらないアレンジで再録しているのも、バンドとしてはすごく意義があるなと。ライブでもやり続けたいですね。

藤原 この10年間も相当ライブでやってましたからね。ライブで演奏する中で、「ここは、ぶーやん(渋谷)が感情をグッと入れるから、(リズムを)走らせよう」とか、「ここはちょっと遅らせる」みたいなことが体に入ってるんですよ。レコーディングでは作品として整えることも必要なので、そこはちょっと大変でしたね。頭ではわかっていても、身体が付いていかないというか。

柳沢 ははは(笑)。

SUPER BEAVER「ハイライト / ひとりで生きていたならば」初回限定盤ジャケット

自分たちのスタンスのまま、やりたいことを

──2020年は結成15周年のアニバーサリーイヤーです。このあとの展開については、どんなビジョンを持っていますか?

渋谷 それほど具体的な目標を掲げてきたバンドではないんですよ、SUPER BEAVERは。ただ、無作為に進んでいるわけでもなくて。ここで言えるのは、今後も変わらず、楽しいことをやっていきたいということかな。まずは自分たち4人やチームが楽しいと感じることをやって、聴いてくれる方も楽しいと思ってもらえたらなと。それをメジャーのフィールドを生かしながら続けていきたいと思っています。これまでの自分たちのスタンスのまま、やりたいことをやるということですね。

柳沢 うん。今は水面下で進めていた計画を実行できない状況ですけど、「仕方ない」とは言いたくなくて。この中でできることを探し続けたいですね。ただ待っていても何も変わらないし、自分たちが提示できるものを必死で探していきたくて。意地みたいなものもあるんですけどね、そこは。

上杉 そうだね。今日のリモート取材もそうですけど、こういう状況になるとは思ってなかったので。僕たちはこれまでの活動の中で、残念なこと、ネガティブなことも経験してきましたけど、“すべてを踏まえたうえでバンドが成り立っている”という強さを持って乗り越えてきて。このままSUPER BEAVERや音楽が終わることはないし、これまでと同じように進むしかないですからね。そこはポジティブに変換できたらなと。

藤原 よく渋谷が言ってるんですけど、「こんなときだからこそ努力しないとダメ」とか「〇〇さんががんばっているんだから、自分もがんばらないと」みたいな空気になり過ぎるのはよくないと思っていて。ただ、楽器の練習や曲作りは自分たちがずっとやっていることだし、それを続けようとは思っています。「メジャーに戻ったんだから、いろいろやるんでしょ?」と期待してもらえてるだろうし、そのための準備をしっかりやって、次のリリースやライブにつなげたいですね。