SUPER BEAVER|10年の時を経て、再びメジャーシーンへ その覚悟と新たな可能性

SUPER BEAVERが6月10日にニューシングル「ハイライト / ひとりで生きていたならば」をリリースする。

2018年11月に前作「予感」をリリースして以降、ライブに重点を置いた活動を続けてきたSUPER BEAVER。彼らにとって約1年7カ月ぶりとなるシングルには、Sony Music Recordsとの“メジャー再契約”を経て、さらなる飛躍を果たそうとするバンドの現状が生々しく反映されている。音楽ナタリーではメンバー4人にリモートでインタビューを行い、2019年の活動やメジャー再契約の経緯、ニューシングルの制作について語ってもらった。

取材・文 / 森朋之

純粋に「大きい会場も楽しい」と思えた

──まずは前作シングル「予感」(2018年11月発売)以降の活動を振り返ってみたいと思います。2019年はSUPER BEAVERにとって、どんな時期だったと思いますか?

渋谷龍太(Vo) 2019年ですか。年で区切るとちょっとわからなくなるんですけど、1つ言えるのは、ひさしぶりに新作をリリースしなかった1年でしたね。毎年コンスタントにアルバムを出して、プロモーション期間を通して表に出ることを続けてきたんですけど……ライブ以外で知ってもらう方法はそれしかないので。でも去年はそうじゃなくて、これまでにリリースしてきた盤をじっくり聴いてもらって、より深く感じ取ってほしかったし、それを計画的にやった年だったんですよ。ライブに関しては、新作のリリースという枠に捉われずにセットリストを組んだツアーもあって。それも自分たちにとっては新鮮でしたね。

柳沢亮太(G) うん。リリースしないことは先に決めていたし、リリースツアーではない形で全国を回るのもひさびさだったので。ライブハウスとホール公演を同じ土地でやったのも面白かったですね。ホールでの単独ライブは初めてだったんです。ホールでしかやれない演出をメンバー、チームと一緒に考えたり、新しいことも多かった1年でした。

上杉研太(B) ライブにウエイトを置いた1年だったし、リリースがなかったからこそ、過去の曲も演奏できて。これまで歩んできた道のりを踏まえたうえで、ライブの見せ方を総合的に考えられたのもよかったですね。

藤原“32才”広明(Dr) ワンマンライブも多かったし、イベントやフェス、対バン、学園祭もあって。バンドとしてやることを、ほぼ全部やったという感じかなと。ステージに立っている時間も長かったし、ライブの経験値もさらに増えました。

──そして年末から年初にかけて、兵庫・ワールド記念ホールと東京・国立代々木競技場第一体育館で初のアリーナライブも行われました。計3公演で約2万5000人を動員する大規模なライブでしたが、手応えはどうでしたか?

渋谷 楽しかったよね。

上杉 うん、楽しかった。

渋谷 そう言えることがよかったなと思いますね。もちろん特別感のあるライブだったし、大きいところでやってるという感覚もあったんですけど、思ったほどは浮足立たなくて。ライブハウスやホールでやるときと、そんなに印象が変わらなかったんですよ。その日のライブの出来というよりも、それ以前の活動の仕方のおかげというのかな。それを実感できたこともよかったし、純粋に「大きい会場も楽しい」と思えたので。

柳沢 アリーナ公演は、各時代の代表曲というか、広く知っていただいている曲も演奏したんですよ。自分たちの今の気分やモード、会場の雰囲気に合った選曲だったと思うし、「ここでこの曲をやったら素敵だよね」という純粋な選び方ができて。自分たちがコツコツ積み重ねてきたことを提示できたし、デカい会場でもしっかり届けられることを実感できたのも大きいですね。

上杉 フェスやイベントでデカい会場の経験はあるけど、ああいう規模感のワンマンは初めてで。「いつも通りにやろう」という気持ちで臨んだんですが、ふたを開けてみると、すごく特別なライブになりました。「これからも、こういう場所でどんどんやりたい」と思えたし、アリーナだからこそ届けられるものがあるなと感じて。未来に対して、さらに希望や期待が持てるライブになりましたね。

藤原 アリーナならではの演出もみんなで考えて、試してみて。すごく楽しかったし自分たちも納得できるライブだったんですが、「もっといろんなことができるな」と今後の可能性も感じました。

SUPER BEAVER

マイナスをプラスに変えてきた10年間

──そして今年の4月8日に、メジャーレーベルとの再契約が発表されました。SUPER BEAVERは2009年にメジャーデビューしましたよね。2011年にレーベルを離れてからは自主レーベルを設立し、インディーズで活動を続けてきましたが、「いつかはメジャーレーベルと仕事をすることもあるだろう」という気持ちもあったのでしょうか?

渋谷 まさに、今おっしゃってくれた感覚に近かったかもれないですね。「何がなんでもメジャーに戻りたい」とも思ってなかったし、逆に「絶対にメジャーではやらない」という気持ちもなくて。いろんなタイミングの中で、またいつかメジャーにいくこともあるかなという感じだったので。僕らは一度メジャーから離れているので、次に戻るときはそれなりの理由や覚悟が必要だと思っていて。人と人との結び付きや信頼関係もそうだし、“仕事をする”という観点からもいろいろと考えて……それが全部合わさったのが、このタイミングだったんだと思います。

──2010年にメジャーデビューしたときは、20代になったばかり。年齢、バンドとしてのキャリアを含めて、今とはまったく違いますからね。

渋谷 そうですね。ただ、一度メジャーを経験したことは、けっこう武器になっていると思っていて。自分たちは“メジャー落ち”と言ってるんですけど、メジャーレーベルを離れたことは、当初はマイナス要素でしかなかったんです。もちろん「このまま終わるのは面白くない」と思っていたし、その後の10年を通して、自分たちの活動をより楽しく、より充実させることで、マイナスをプラスに変えることができた。それを踏まえたうえで、2度目のメジャーということですね。

──楽曲の制作、ツアーを含めて、バンドの活動を自らのチームで動かせる状態だからこそ、メジャーレーベルとタッグを組むことで、より大きな効果を生み出せると。

柳沢 はい。今回はメジャーデビューではなく、再契約というのがポイントなのかなと。年齢的にもメンバー全員が30代になったし、この10年間面白いことを続けてきた一方で、バンドがバンドであるための実務的なこと……知らざるを得なかった、見ざるを得なかったこともいろいろと経験してきて。それを知ったうえでのメジャー再契約なので、10年前とは全然違いますよね。今渋谷も言いましたけど、マイナスをプラスに変えてきた10年間だったし、SUPER BEAVERの音楽を届けたい、伝えたいという一心で活動してきて。メジャーレーベルと一緒にやることで、「自分たちだけでは届かない場所に届けられるんじゃないか」と感じられたし、そこに行き着くまでの道筋を理解できている自負もありますからね。

上杉 メンバー4人、チームのスタッフを含めて、「メジャーとやる可能性もあるよね」という話はずっとしていたんですよ。やりたいことを続ける中で、メジャー再契約にたどり着いたわけですけど、「やっと決まった」ではなく、「自分たちで決めた」という実感があるんですよね。1人でも多くの人に届けたいという根底は変わっていないし、さらにストイックにがんばろうと思ってます。

──新たな可能性も広がりそうですよね。

藤原 めちゃくちゃ感じてますね、それは。メジャーをクビになって、自主レーベルを作って、インディーズで10年やってきて。自分たちがやりたいこと、表現したいことを続けてきて、それを応援してくれる人がいるうえで、メジャーレーベルの力が加わるということなので。