STU48「息をする心」インタビュー|ロングヒットを記録した前作から1年、新曲で歌う“自分らしく生きることの大切さ” (2/2)

キラキラじゃなく、のほほん

──曲が世間に届くようになったことに伴い、“STU48らしさ”というものを自分たちで再確認できたのでは?

中村 それはありますね。STU48らしさを語るときに欠かせないのは、やっぱり地元愛だと思います。メンバーみんな瀬戸内7県が大好きなので。私たちの存在がきっかけになって「瀬戸内に行ってみたい」と言ってもらえると、本当にやりがいを感じます。7つの県をまたいでの地元密着型のグループというのは、活動がスタートしたときから変わらないSTU48の特徴だし、強みだと思います。

石田 あとはやっぱり先ほども話が出ましたけど、曲のクオリティには自分たちでも自信を持っています。「息をする心」や「花は誰のもの?」だけじゃなく、ほかにもメッセージ性が強くて背中を押してくれるような素敵な曲がそろっています。最近STU48を知ったという方も、どんどんいろんな曲を深掘りして聴いていただけたらうれしいです。

高雄 親しみやすさや距離の近さというのもSTU48の特徴じゃないですかね。飾らない雰囲気のメンバーが多いですし。ほかのアイドルさんって、私から見るとキラキラ輝いているようなイメージがあるんですよ。だけどSTU48はキラキラというよりも、のほほんというイメージが近いのかなって(笑)。

石田 確かに(笑)。暖色系の温かい感じかも。

高雄 あ! でも、ステージに立って曲の世界観を伝えるときは全然のほほんとしていないですよ。目に力が入って生まれ変わったようになるから、そういうギャップも魅力じゃないかと思います。

上から高雄さやか、中村舞、石田千穂。

上から高雄さやか、中村舞、石田千穂。

──「おっとりしている」「柔らかい雰囲気がある」というのは初期から言われているSTU48のチームカラーだと思います。これは偶然そういう性格のメンバーが集まったということなんですかね。

中村 いやー、たぶん瀬戸内とその周辺の時間の流れが遅いからだと思いますよ。

高雄 せっかちな人も当然いるんでしょうけど、全体的にのんびりした雰囲気なのは私も感じます。だって家に帰ってくるとき、知り合いじゃないおばあちゃんから「おかえり」とか声をかけられますし。

石田 そのパターン、私が住んでいたところでも毎日のようにあった! あれ、なんなんですかね(笑)。東京じゃ考えられないですけど。

──それは高雄さんと石田さんが地元出身のタレントだから、テンションが上がって声をかけたのではなくて?

高雄 いや、それは全然関係ないと思います。私がアイドルをやっていることも知らないはずですし。

石田 もちろん同じ瀬戸内でも、市内のほうに近付けば違うとは思うんですよ。だけど瀬戸内の場合、市街地から車で少し走っただけで海とか山とか川に囲まれるので。東京って車で走っていても、高いビルがずっと続いたままじゃないですか。別にこれは東京の悪口ではないので、そこは誤解しないでいただきたいんですけど(笑)。

──大丈夫です(笑)。

石田 瀬戸内は景色も解放感があるから、気持ち的にもゆったりしているという面はあるんじゃないですかね。

高雄 あとは野生の動物が圧倒的に多いですよね。普段から学校に鹿がやってきたりとか……。

石田 鹿はさすがに見たことないですけど(笑)、猪はよく見かけます。あとはクジャクも目撃しますね。

中村 クジャクはさすがに千穂さんが住んでいた地域だけだと思う(笑)。でもそんな調子で自然と野生動物に囲まれていたら、どうしてものんびりタイプの人が多くなりますよね。

私のアイドル人生はここから

──本日このあと、約3年半ぶりのオープンスペースでのリリースイベントが開催されるそうですね(取材はイベント開演前に実施。参照:STU48、ラゾーナ川崎でリリイベ大復活!瀬戸内の風とリコーダーの音色届けた新シングル発売日)。この数年間はSTU48に限らずエンタメ業界全体が立ち止まることを余儀なくされていましたが、コロナ禍前と同じように活動ができるようになったのは感慨深いのでは?

中村 コロナ禍に入ってからは「この状況がいつまで続くんだろう……?」と思っていて。しばらくはファンの方の前に立つことができなかったわけで、「もうもとの状態に戻ることは永遠にないのかな?」と不安にもなりました。今日こうやってひさびさにリリイベができるということで、もう本当に心からうれしいです!

中村舞

中村舞

石田 うん。それはメンバー全員感じていることだと思います。

中村 コロナ禍に入ってから、アイドルにとって苦しい状況が続いていましたけど、それはファンの皆さんも同じだったと思うんです。その苦しい時間を乗り越えてきたからこそ、ステージ上では喜びの感情が爆発しちゃいますね。もちろんコロナなんてなければないに越したことはないんですけど、この3年を無駄な時間だったと振り返りたくなくて。すべてが戻ったとき、「コロナの期間にSTU48のメンバーとして過ごせたのも、あとから振り返ると思い出の1つだったね」と笑い合えるようになりたいです。

石田 当たり前のことが急に当たり前ではなくなったということで、やっぱり立ち止まって考えることは多かったです。

中村 そう。ファンの皆さんのありがたみをより深く感じられるようになったというか、今まで気付けかなかったことに気付けたのはプラスかもしれません。皆さんに対する感謝の気持ちが大きくなったことは間違いないので。

石田 アイドルを応援してくださる方って、会場で声を出して盛り上がったり、直接メンバーと会えたりすることが楽しいと思うんです。だけど、この3年間はそれがほとんどできなかったわけじゃないですか。それにもかかわらず応援し続けてくれるというのは、本当にもう言葉には言い表せないくらいありがたいことで……。もちろんその間もオンラインサイン会とか自分たちでできる限りのことはしたつもりですけど、直接会えるっていうのはやっぱりそれとは違うものですから。

──実際、無観客ライブとかオンライン系のイベントっていうのは、メンバーとしてはやりづらいものなんですか?

中村 やりづらいというか、難しいですよね。無観客ライブとかは正直やっていても寂しかったですし。

高雄 私たち2期生は、コロナ禍の最中の2021年2月に加入したので、ずっと“普通じゃない状態”で活動していたんですよ。だから今日はリリイベという初めてのステージに上がって自分の感情がどう動くのか、想像もつかなくて(笑)。いかんせん初めてのことなので、ワクワクとドキドキが止まりません。「2期生を生で見るのは初めて」という方も多いでしょうし。

高雄さやか

高雄さやか

──AKBグループは昔からシングルの握手会イベントが目玉となっていましたし、コロナ禍前の日常が戻ってくるのは大きいことですよね。

高雄 生活していても少しずつ日常の光景が戻っていることを感じますし、私のアイドル人生も本当にここからだなと思っています。

石田 3年前のSTU48と何が違うかというと、やっぱり新メンバーが入ったことだと思うんですよ。2期生も入ったし、「New Wave Project」(STU48とアクターズスクール広島によるコラボオーディション企画)も去年行われましたし、今度は3期生も入りますから。グループとして確実にパワーアップしてるんじゃないかな。

──3期生が入ってきたら、2期生の高雄さんも、先輩として厳しく後輩の指導に当たるんですか?

高雄 いやいや(笑)。「New Wave Project」で加入した研究生4人は全員すごくしっかりしていて、あまり後輩という感じがしないし、確かに今度入る3期生が初めての後輩みたいな感覚になるとは思います。でも私、あまり自分の言葉で伝えるのが得意じゃないんですよね……。何かあったら助けてあげたいとは思うので、行動で示していくしかないかも。

中村 どういう子が3期生として入ってくるかはわからないけど、アイドル活動を始めるにあたって夢や希望を抱えているのは確かだと思うんですよね。でもそれと同時に、入ったばかりの頃って慣れない環境で戸惑いも多いだろうから、メンタルのケアとかもしっかりできたらと思っています。困ったときに寄り添ってあげる先輩になりたいですね。

石田 今回のオーディションは年齢が20歳までなんです。私は今21歳だから、全員が年下ということになるんですよ。今までは“年上の後輩”というパターンも多かったから、個人的には少し不思議な感覚もあります。そしてやっぱり私たちは岡田奈々さんの背中を見て成長できた部分が大きいので、今度は1期生が3期生にとって見本となるような存在になりたいですね。

石田千穂

石田千穂

──岡田さんは4月2日にアイドルを卒業しますが、岡田奈々イズムは今後も継承していきたい?

石田 私たちが引き継いでいきます。パフォーマンス面もそうなんですけど、普段の挨拶や礼儀、それに着替えを誰よりも先に済ませるところとか、奈々さんのお仕事に対する取り組み方を後輩メンバーには伝えていきたいんですよ。言葉にできないくらい、たくさんのことを学んだので。

──ところでSTU48って先輩が後輩をビシバシ鍛えるような文化はないんですか? 弁当を選ぶ順番や、エレベーターに乗る順番が決まってたり。

高雄 一切ないですね、そういうのは。お弁当も早い者勝ちですし。

中村 ごはんはごはんなので(笑)。ごはんに関することに、お仕事上の先輩後輩関係を持ち出すのはズルいと思います!

石田 チームワークのよさがSTU48の強みなので、お弁当くらいで揉めたくないです(笑)。

──わかりました(笑)。4月9日には広島・広島国際会議場で結成6周年コンサートが開催されます。最後に、このコンサートへの意気込みをお願いします。

石田 まずは6周年を無事に迎えられることが、すごくうれしいです。コロナの影響もあって、活動を続けるのが当たり前のことではなかったですから。4月8日には、個人的にずっとやりたかったSTU48の「リクエストアワー」(楽曲のリクエストを募り、上位にランクインした楽曲を披露するイベント)も開催されるので、それも本当に楽しみです。結成から6年が経って、STU48には素敵な曲が増えたんだぞということを大勢の方にアピールしたいです。

高雄 STU48のメンバー全員がそろうコンサートってなかなかないので、グループ全体の空気感や雰囲気を楽しんでいただけたらなと思います。自分もメンバーの1人として全力を出し切りたいと思います!

中村 6周年コンサートでは、普段の劇場公演ではなかなか披露しない曲もやることになると思います。最近STU48を知った人がまだ聴いたことのない曲もあるかもしれないし、STU48の歴史が感じられるエモい内容になるんじゃないかと。楽しみにしていてください!

左から高雄さやか、石田千穂、中村舞。

左から高雄さやか、石田千穂、中村舞。

ライブ情報

STU48 リクエストアワー セットリストベスト 20

  • 2023年4月8日(土)広島県 広島国際会議場 フェニックスホール
    OPEN 17:00 / START 18:00 / END 20:00(予定)

STU48 6周年コンサート

  • 2023年4月9日(日)広島県 広島国際会議場 フェニックスホール
    [第1部]OPEN 13:00 / START 14:00 / END 16:00(予定)
    [第2部]OPEN 17:00 / START 18:00 / END 20:00(予定)

プロフィール

STU48(エスティーユーフォーティーエイト)

国内6番目のAKB48の姉妹グループとして2017年3月に誕生。瀬戸内地方を本拠地とし、1つの海と7つの県を拠点に活動している。2018年1月にメジャーデビューシングル「暗闇」を発表した。同年7月には平成30年7月豪雨の被災地への支援プロジェクト「がんばろう!瀬戸内」を立ち上げ、公演に合わせて街頭募金などを行ったほか、9月からチャリティコンサートツアーを実施。2019年4月には瀬戸内海を舞台にした船上劇場「STU48号」がオープンし、同年11月より初の全国ツアーを行った。2021年1月に東京・日本武道館で単独コンサート「新春STU48コンサート2021~瀬戸内からGO TO 武道館~」を開催。同年5月にSTU48号での公演が終了したが、その後は瀬戸内エリアを中心に会場を固定せずに各地を巡る形で公演が行われている。2022年4月に8thシングル「花は誰のもの?」をリリースし、ロングヒットを記録。2023年3月に9thシングル「息をする心」を発表した。