STU48「息をする心」インタビュー|ロングヒットを記録した前作から1年、新曲で歌う“自分らしく生きることの大切さ”

STU48が通算9枚目のシングル「息をする心」をリリースした。

STU48のシングルリリースは2022年4月以来、約1年ぶり。平和への力強いメッセージを込めた前作「花は誰のもの?」は、USENを中心にロングヒットを記録し、YouTubeではこの曲のダンスリリックビデオが560万回再生を突破している。この勢いに乗り、STU48は初登場となった「ミュージックステーション」を筆頭に数々の音楽番組へ出演。活動の制限があるコロナ禍の中で、グループの認知度を上げることに成功した。

そんな中で待望のリリースを迎えたニューシングル「息をする心」。この曲もメッセージ性の強い歌詞が特徴で、息もできないような悩みを抱えている人たちに向けて「好きな人やモノができれば変われる、息ができるんだよ」と語りかけるナンバーとなっている。音楽ナタリーでは「息をする心」で単独センターを務める1期生・石田千穂、2期生の高雄さやか、ドラフト3期生の中村舞の3人にインタビュー。新曲の聴きどころや、「花は誰のもの?」がヒットしたことで感じた手応えなどを語ってもらった。

取材・文 / 小野田衛撮影 / はぎひさこ

「STU48は曲に恵まれている」

──新曲「息をする心」はYouTubeでのミュージックビデオの再生回数が、公開後12日で100万回を突破。前作「花は誰のもの?」に引き続き、今のSTU48の勢いが感じられます。

石田千穂 本当にありがたいです。この曲のMVは、私たちの変化していく表情に注目していただきたいんですよ。最初はみんな悩んでいて、息のしづらい環境の中で苦しんでいる。だけどいろんな人物や出来事に救われ、そして自分でも悩みを解決し、最後は笑顔になっていく……そんな様子が描かれているんです。それはパフォーマンスでもはっきりと表現されていて、曲が後半に進むにつれてどんどん笑顔になっていくんですよね。その表現の変化を意識しながら撮影に臨みました。

高雄さやか 誰しも口に出せないような悩みがいっぱいあると思うんです。学校でも会社でも家族の前でも、素直には言えない自分だけの気持ちが。今回の「息をする心」は、そんなときでも「思い切って声にしてみようかな」「素直な気持ちを口に出してみようかな」と勇気をもらえる曲になっているはずです。

──高雄さん自身も、活動を続ける中で口には出せないような悩みを抱えることがありますか?

高雄 やっぱり少しあります。この歌詞に出てくるように、真夜中になると悩みって急に出てきませんか? あれ、なんなんでしょうね……。どういうことで悩んでいるかについては、「口には出せない悩み」なのでここでは言えません(笑)。

中村舞 今回のMVでは、いろんなシチュエーションのシーンを撮影したんです。共通しているのは、どのシチュエーションも息ができないような窮屈な世界を表しているということ。閉じ込められたような状況で始まって、最後は心が救われていくわけですけど、曲全体に「ありのままの自分でいていいんだよ」というメッセージが込められていると私は受け止めました。そういう励ましのメッセージが1人でも多くの人に届いたらうれしいです。

左から高雄さやか、石田千穂、中村舞。

左から高雄さやか、石田千穂、中村舞。

──実際、YouTubeのコメント欄では「泣ける」「沁みる」と共感する声が続々と挙がっています。

石田 皆さんのコメントを読んでみると、前作「花は誰のもの?」でSTU48を知ったという方がすごく多いんですよ。あとは「今回の曲もめっちゃ神曲」とか「STU48は曲に恵まれている」というコメントも多くて、それは実際に私もその通りだなと思います。単純に褒めていただけることがうれしいですし、もっともっとSTU48のよさが広がっていけばいいなと考えています。

──STU48の楽曲はメッセージ性の強い歌詞も大きな特徴になっていますが、今回はどんな思いが込められているのでしょうか?

高雄 私自身もグループへの加入前、歌詞に共感してSTU48のファンになった人間なので、「歌詞がいいよね」って言われるとすごくうれしいんです。それで「息をする心」の歌詞で共感ポイントはどこかと聞かれたら、もう全部だと答えたいくらいなんですけど、中でも“時系列に沿った気持ちの揺れ”が描かれてるところですかね。

高雄さやか

高雄さやか

石田 確かに、それは大きな共感ポイントかも。

高雄 「真夜中は僕だけの時間だ」「太陽が昇った大地」「星空をずっと眺めてる」……歌詞で描かれている時間帯もさまざまですし、実際にこの曲を聴く時間帯によっても受ける印象が違ってくる気がするんです。

中村 深いね。

高雄 あとはやっぱり「自分らしく生きる」「自由に振る舞う」というのも曲のテーマとしては外せないと思います。「僕は僕のままで 変わらなくていいんだ」というフレーズもありますし。私、恐怖心から自分の素を表に出せない時期があったんですよ。最近は加入3年目にしてようやく自分の出し方がわかりかけてきてはいるんですけど。そういったことがあるから「息をする心」は私自身と重なる部分がすごく多くて、パフォーマンスするときも心を込めて歌詞の世界を表現しています。

中村 私はこの曲の中で特に好きなパートがありまして。それはBメロの「生きることは 呼吸すること 急がないで ゆっくりでいい 他の人と比べないで 吸って吐いて 自分のペースで」という部分なんですけど、最初に歌詞を見たときからグッと来ちゃったんですよね。私はどうしても周りと比べてしまう傾向があるので……。

──それは職業柄、人前に出る機会が多いからでしょうか?

中村 それは確実にありますね。やっぱりアイドルをやっていると、周りがすごい人ばかりだから意識しちゃうんです。この曲の歌詞にあるように、本来だったら自分しか持ってないものがあると思うんですけど。だから「競う」とか「比べる」とかじゃなく、もっと自分本来のよさを出していけたらいいなと改めて感じました。

中村舞

中村舞

石田家と高雄家にとっても大事な1曲

──前作「花は誰のもの?」は異例のロングヒットとなりました。それに続くシングルということで、センターを務める石田さんとしては気合いが入っているのでは?

石田 もともと「花は誰のもの?」は平和について歌った曲で。STU48が瀬戸内を拠点に活動しているからこそ、秋元康先生はこの曲を託してくださったと思うんです。ちゃんとそこには意味があるんですよ。曲をたくさん聴いていただいて、多くの方にメッセージが届いたということは単純にすごくうれしかったです。だからこそ、それに続く「息をする心」は大事な1曲になってくるわけで……。そこでセンターをやらせていただくからには、がんばらなくちゃいけないという思いは当然あります。

中村 「花は誰のもの?」のときは「曲が広がっていくってこういうことなのか」と感じました。STU48どころかアイドルもあまり知らない人が「『花は誰のもの?』をテレビで聴いて知りました」と言ってくれることもありましたし。「STU48が好きだから曲を聴く」じゃなくて「曲がきっかけでSTU48を好きになる」というパターンが多かったんですよね。

高雄 すごいわかる! 具体的な例を出すと、私の弟がそうでした。

中村 えっ? 弟くんに何があったんだろう(笑)。

高雄 私の弟ってアイドルにまったく興味がないんですよ。そんな弟も「花は誰のもの?」だけは知っていて、初めてアイドルの話を姉弟でできたんですよね。私としてはけっこううれしい出来事でした(笑)。

石田 奇遇! 実はうちもそうなんですよ! 私のお兄ちゃん、前はSTU48の曲を1つも知らなかったと思うんです。だけど広島に帰省してきたとき、「花は誰のもの?」を車の中で永遠にリピートしていたらしいんです。それをあとで親から聞いて、すごくうれしくなりましたね。たぶん自分の妹がメンバーだからじゃなくて、純粋に曲が好きなんだと思いますけど。いずれにしても「花は誰のもの?」によって、ようやく石田家がひとつになれたのかなと感激しました(笑)。

石田千穂

石田千穂

高雄 STU48にとってはもちろんですが、石田家と高雄家にとっても大事な1曲になりました(笑)。

石田 (笑)。そもそもの話、STU48はまだ世の中に知られているとは全然言えないと思うんです。アイドルに興味がない方だと、STUが瀬戸内の略であるということも知らないんじゃないですかね。ましてやメンバーの名前なんて言えないでしょうし。そんな中、「花は誰のもの?」という曲の力によって、STU48がどういうグループなのか、ようやく世の中に伝わり始めたというのが今の状態だと私は考えています。