STU48「懐かしい明日」特集|7年の歴史とフレッシュな魅力を凝縮した1stアルバム

2017年3月に国内6番目のAKB48の姉妹グループとして誕生し、瀬戸内地方を本拠地としながら1つの海と7つの県を拠点に活動しているSTU48。今年結成7周年を迎えた彼女たちが、待望の1stアルバム「懐かしい明日」をリリースした。

アルバムには1stシングル「暗闇」をはじめとする既発シングルの表題曲から新曲までさまざまな曲を収録。絶対的エースだった瀧野由美子や2代目キャプテン今村美月の卒業を経て世代交代を遂げているSTU48の“これまでの集大成”と“新たな出発”が刻まれている。音楽ナタリーでは初期からグループに貢献してきた1期生の石田千穂、リード曲「愛の重さ」でセンターを務めるドラフト3期生の中村舞、フロントメンバーとしてグループを支える2期生の高雄さやか、3代目キャプテンを務める2.5期生の岡田あずみにインタビュー。アルバムへの思いやSTU48の現在地について語ってもらった。

取材・文 / 左藤豊撮影 / はぎひさこ

STU48の7年の歴史が詰まったアルバム

──STU48にとって初のアルバムは、7年間の活動の集大成とも言える作品になっています。特に1期生としてグループ発足当初から活動してきた石田千穂さんは感慨深いのでは?

石田千穂 はい。7年間活動してきて「そろそろアルバムかな?」と予感したタイミングが過去に5回くらいあったんですけど、どれも予感だけで終わりました(笑)。だからこそ今回ついにアルバムをリリースできることになって、わくわくしています! STU48のシングル表題曲がすべて収録されていますし、しかも曲順が1stシングルの「暗闇」から最新曲までリリースした順に並んでいるのがエモいなと感じました。ファンの方にはぜひこのアルバムを聴きながら今までの思い出を振り返ってもらえたらと思います。

中村舞 付属のBlu-rayにミュージックビデオも全部収録されていて、瀬戸内のきれいな風景を楽しむことができます。盛りだくさんの内容になっているので、このアルバムを聴けばSTU48のことがきっとすべてわかるはず! 最近STU48を知って興味を持ってくださった方にも楽しんでいただけるアルバムです。個人的には「懐かしい明日」というタイトルにすごく胸にグッときました。

石田千穂

石田千穂

中村舞

中村舞

高雄さやか 私は2期生として2019年にグループに加入したんですけど、加入する前からSTU48のファンで、曲をプレイリストにして普段から聴くくらい好きだったんです。だからまず、いちファンとして今回のアルバムリリースがうれしいです(笑)。そして、自分が参加した楽曲が収録されていると思うとちょっぴり不思議な気持ちにもなりますけど、いちメンバーとしてもうれしいです。

岡田あずみ 私は2.5期生として2022年に加入したので、自分が加入する前から聴いていた楽曲のほうが多いんですよ。STU48の7年の歴史が詰まったアルバムであると同時に、リード曲の「愛の重さ」をはじめ新曲も多数収録されています。これまでのSTU48とこれからのSTU48の両方が凝縮されたアルバムなので、たくさんの方にお届けしたいです。

高雄さやか

高雄さやか

岡田あずみ

岡田あずみ

「STU48を引っ張っていきたい」という気持ちが芽生えた

──リード曲「愛の重さ」では中村さんが初の単独センターを務めています。楽曲の印象とセンターに立つ心境を聞かせてください。

中村 「愛の重さ」は、誰かを大切に思うことの難しさや愛によって生まれる強さを歌った楽曲です。センターだと伝えられたときはびっくりしました。でも、アルバムは簡単に出せるものではないですし、このタイミングで任せてもらえたのはとてもうれしかったです。

──4月の「STU48 7周年ツアー」兵庫公演で流された映像では、センターポジションに抜擢された中村さんが「私でいいんですか?」と戸惑いながら答えるシーンがありました。そこから楽曲制作やステージでの披露を経て、心境に変化はありましたか?

中村 私はずっと、自分はセンターに立つタイプではないと思っていました。みんなを引っ張るよりも、みんなと一緒に進んでいけたらなと思っていたんです。でも今回センターを任されたことで、「STU48を引っ張っていきたい」という気持ちが芽生えました。

左から岡田あずみ、石田千穂、中村舞、高雄さやか。

左から岡田あずみ、石田千穂、中村舞、高雄さやか。

──メンバーの皆さんから見て、中村さんの変化は感じますか?

石田 私から見れば、舞ちゃんはずっと前からSTU48を引っ張ってくれていた印象があります。でも今回、さらに力強くなったというか。センターに立つ姿がものすごく堂々としているんです。

高雄 特に「愛の重さ」のDメロには舞Qさん(中村)のソロダンスがあるんですけど、迫力がすごい! お顔もきれいだし、センターとしての風格に満ちあふれています。「これがセンターだ!」みたいな強さがあって、私もそばで見ていてハッとします。

岡田 私もその部分の舞Qさんが大好きです。私は舞Qさんのバレエで培ったしなやかなダンスや表現が好きなんです。しかも今回のダンスは舞Qさんのよさが100%引き出された振付になっていると感じました。あと、曲中に“愛を持ち上げる”ような振りがあって。動き自体はなんてことない振りなんですけど、そういう部分にも舞Qさんは思いを込めて表現されているので、見ていてカッコいいなと思います。

中村 ダンスにはとても力を込めています。今回CRE8BOYさんが動き1つひとつに意味のある振りを付けてくださったので、私も一層感情を込められますし、作っていただいたことへの感謝の思いも交えながら踊っています。

──CRE8BOYさんからは振付について、どのような指示やアドバイスがありました?

石田 曲の序盤はリーフ(葉っぱ)をイメージしたさわやかなダンスなんですけど、後半になるにつれて全身を使った激しい振付になっていきます。今までのSTU48にはないようなダンスですし、頭を大きく振るなんて今までやったことがなかったので「どうやったらいいんだろう?」と最初は戸惑いました。でもCRE8BOYさんから「もう勢いで、(髪を)バッサーとカッコよくやって!」とアドバイスをいただいたので、がんばっています!

中村 曲中には天秤を表す振りがたくさん出てきますし、フォーメーションでも天秤を表す部分があります。CRE8BOYさんの遊び心が感じられて好きです。あと、リーフを表す振りもかわいいんですよ。

──「リーフ」は歌詞の中でもキーワードになっていますね。

中村 はい。タイトルが「愛の重さ」で、感情を爆発させるような楽曲にもかかわらず、歌詞の中には軽さを表す「リーフ」という言葉が入っていて、その対比も面白いと感じました。歌詞のことで言うと、歌い出しに「ひらひら舞い降りて来た リーフ」という一節があるんですけど、私の自己紹介のキャッチフレーズが「瀬戸内に舞い降りたのは? 舞Q!」なんです。だから歌詞をいただいたときはびっくりしました。「秋元(康)先生から私信が来た!」って(笑)。