STU48の12thシングル「傷つくことが青春だ」がリリースされた。
表題曲「傷つくことが青春だ」は“傷つきながら強くなっていく、未完成だからこそ輝く青春”を、シリアスな歌詞とさわやかなサウンドのコントラストで表現したナンバー。2期生の高雄さやかが初の単独センターを務めている。音楽ナタリーでは1期生・石田千穂、ドラフト3期生・中村舞、2.5期生の久留島優果、3期生の曽川咲葵、そして高雄の5名にインタビュー。センターポジションに立つのが夢だったという高雄の魅力を掘り下げつつ、新曲「傷つくことが青春だ」の注目ポイントを聞いた。
取材・文 / 左藤豊撮影 / 星野耕作
高雄さやかが叶えたセンターという夢
──前作「地平線を見ているか?」で曽川さんがセンターに大抜擢された際、インタビューで石田さんと中村さんが「『STU48、やるじゃん!』と思った」と印象を語っていましたよね。今作で高雄さんが初センターを務めると知ったときはどう思いましたか?
中村舞 「おめでとう!」という祝福の気持ちでした。さーやん(高雄)はずっとフロントメンバーとしてSTU48を支えてくれていたし、実力面でも人気面でもいつセンターに立ってもおかしくない存在だったので、むしろ遅すぎるくらい。ファンの方もずっと待ちわびていたセンターだと思います。
石田千穂 私もまったく同じです。「ついに来た!」と思いました。さーやんは昔から生誕祭などでセンターに立ちたいと言っていて、ファンの方もさーやんと一緒に目標に向かって進んでいたので、「さーやんもファンの皆さんもおめでとうございます!」という気持ちです。
──後輩の久留島さん、曽川さんはいかがでしょうか?
久留島優果 さーやんさんとは一緒にごはんに行く機会が多くて、そのたびに活動についての話をするんです。さーやんさんが目指している夢の話も聞いていたし、その夢をずっと追い続けているのも知っていたので、私も「早く叶ってほしい」と思っていました。今回さーやんさんがセンターに選ばれたときは自分のことのようにうれしかったです。おめでとうございます!
曽川咲葵 私もさーやんさんとよくお話をさせていただくんですけど、「センターになりたい」と思っているだけじゃなくて、いろんな感情や葛藤を抱えていることも知っていました。思いの強さと実力で夢を叶えて、本当にすごいと思います!
──メンバーからの祝福を受けて、高雄さんの今の気持ちを聞かせてください。
高雄さやか すごくうれしいです。センターという夢は、1人で目指すものだと最初は思っていたんですけど、ファンの方も一緒に追いかけてくれたし、気付いたらメンバーまでもが「叶えてほしい」と言ってくれるようになって、本当にありがたいなと思います。
──そもそも、高雄さんが「センターになりたい」と思った理由は?
高雄 STU48に加入した当初はセンターを目指していたわけではありませんでした。でも、だんだんポジションが前へ行くにつれて、「過去の自分を超えたい」という思いや「前に進まなければいけない」という使命感が生まれました。そして何より、ファンの方が「センターを目指してほしい」と言ってくれたのが一番大きなきっかけですね。そこからセンターというものを意識するようになりました。
──約3年間公言し続けた夢が叶ってセンターに選ばれ、実際にシングルの制作に臨んでみてどんな感覚がありますか?
高雄 うーん、まだそんなに実感がなくて……。皆さんどうですか?(笑)
石田 ちっちゃくてかわいいと思った(笑)。今までのSTU48のセンターはゆみりん(瀧野由美子)や舞ちゃんとか背の高い子が務めているイメージがあったから、さーやんがセンターのSTU48は新鮮だなって。ファンの方にもこれまでとはまた違った印象を持ってもらえるんじゃないかなと思います。
中村 楽曲的にもさーやんにぴったりだなと思っています。いろいろと傷つきながら成長してきたさーやんがこの曲を歌うことで、きっとファンの皆さんの心にも刺さるんじゃないかな。
高雄 確かに、この曲の歌詞はものすごく自分と重なります!
後ろ向きな曲に聞こえるけど……
──では、高雄さんにぴったりだという12thシングル表題曲「傷つくことが青春だ」について詳しく話を聞かせてください。楽曲を聴いて、どういった印象を持ちましたか?
高雄 「STU48らしい曲だな」と思いました。“傷つくこと”がテーマになっているので、もしかしたら後ろ向きに感じる部分もあるかもしれません。でも、傷ついた出来事も振り返ってみれば青春なんだというメッセージからは前向きな気持ちも感じられます。いろんな感情が複雑に混じり合っているところがSTU48らしいです。歌詞のすべてに共感できるんですけど、特に心に残ったフレーズは、サビの最後にある「傷つくことが青春なんだね?」です。この文末の「?」には、自問自答というか、答えがまだ出ていなくて迷っている心情が描かれているんじゃないかなって。
──「?」から歌詞の主人公の葛藤を読み取ったんですね。
高雄 はい。いろんな解釈ができますし、このフレーズが刺さる人はきっと多いと思います。
久留島 重い歌詞に対して曲調は明るくて疾走感があるので、そのギャップがいいなと思いました。あえて明るい曲調で歌うことで、聴いてくださる方の心にも届きやすいんじゃないかなと感じています。この曲が、傷ついている方の立ち上がるきっかけになったらいいなって。ただ、パフォーマンスでは単に「明るく笑顔で」ではなく、笑顔の中に葛藤や悩みも表現しなければならないので、難しいけれどがんばっています。
中村 ネガティブな歌詞を明るく歌う楽曲がSTU48には多いんです。「ペダルと車輪と来た道と」や「夢力」など、STU48はこれまでにもくじけそうな心情をアップテンポなサウンドに乗せて歌っていて。苦しいときにこそ笑っていたいと私は思っています。「傷つくことが青春だ」の歌詞にはネガティブな言葉もあるけど、さわやかな曲調だからこそ共感していただける気がしています。
石田 私もこの歌詞にはとても共感しました。特に1サビの「誰かの言葉 深読みし過ぎて…」は昔の自分と重なりましたね。私も高校生くらいの頃は人から言われた1つひとつの言葉が心に刺さっていたし、深読みして傷つくこともありました。そこからいろんな経験をして大人になり、昔ほど傷つくことはなくなったけど、振り返ると当時が一番青春だったなと感じます。「傷つくことが青春だ」は誰もが共感できる曲だと思いますし、こういう感情を言葉にして歌詞にする秋元康先生は本当にすごいと改めて感じました。
曽川 歌詞が深くて刺さるという印象は私も皆さんと同じです。そして、曲調がさわやかな王道アイドルソングだったので、最初に聴いたときは「やった!」と思いました。メロディもキャッチーですし、この楽曲をパフォーマンスできることが純粋にうれしかったです。
──ミュージックビデオは、高雄さんを中心としたストーリー仕立ての構成になっています。
久留島 今回は演技シーンが多いですね。私はMVで演技をするのが初めてでした。セリフがないので、表情だけで演技をしないといけないのが難しかったです。私がさーやんさんを連れていこうとするシーンがあり、さーやんさんが「なんで私が?」という顔をするんですけど、その表情がすごく自然だったんです! 「演技は苦手」って言っていたのに(笑)。さーやんさんの新たな一面を見ました。
高雄 うれしい! ストーリーとしては、私は最初、傷つくことから逃げてしまうんですけど、だんだん「強くなりたい、誰かを助けるために変わっていきたい」という心情に変化していって。中でも、倒れ込んでいる自分の前にもう1人の自分が現れて手を差し伸べるシーンは鳥肌が立ちました。「人を助けるには、まず自分を助けることからなんだ」という気付きもあったMV撮影でした。あと、腕に傷のアートをしているところにも注目してほしいです。
──ダンスシーンは撮影してみてどうでしたか?
曽川 1サビの表情が難しかったです。最初、曲調が明るいからついつい笑顔で元気いっぱいに踊っちゃって、スタッフさんに「笑いすぎ」と指摘されてしまいました。さわやかさと葛藤のバランスが難しくて試行錯誤しました。
石田 ダンスシーンの撮影は超早朝! 朝8時半にはもう撮り終えていました。早い子は朝3時半集合だったから大変だったけど、涼しいうちに撮れたので、むしろ朝でよかったです。スタッフさんの愛を感じました(笑)。
中村 STU48のMVは寒い時期に撮影することが多いので、こんな真夏に撮影するのは珍しいなと思いました。汗をかきながらダンスシーンを撮影するのは新鮮でした。
石田 昼に撮ったリップシーンは想像以上の暑さでした(笑)。
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自分が輝いて、みんなも輝けるセンターに