ナタリー PowerPush - THE STARBEMS

震災+ウルトラセブン+面白おじさん! 日高央のラウドロックバンドの作り方

「パンクとはかくあるべき」を壊してこそのパンク

──FRED PERRYにDr.Martensのブーツで統一したスタイルはもともとOiパンク、スキンズのファッションですけど、THE STARBEMSの音楽性はラウドでヘビー。ファッションと音楽のジャンルが直接結びつかない、この組み合わせって実は聴き手を混乱させますよね。

日高 はははは(笑)。いいんです。それが狙いなんですよ。ハードコアにしろ、Oiパンクにしろ、メロディックパンクにしろ、そのイメージや服装を取っかかりに聴かれることは確かに多いですよね。でも、俺らとしてはその常識を楽しく覆したいんですよ。だから、うちのメンバーには坊主が2人いるんですけど、これも俺があえてやらせました(笑)。

高地 去年の12月までは西さんよりちょっと短いくらいの髪型だったんですけど……。でも、いいんですよ! これからの時期、どこでも頭から水を浴びられるので(笑)。

寺尾 俺も西くんくらいの髪の長さだったんですけど、ヒダカトオル(BAND SET)の最初のライブの前に日高さんから「Oiパンクスタイルで行きたいので金髪坊主にしてください」って言われ(笑)。「わかりました!」と快諾したんです。

日高 パンクが登場して40年近く経った今となっては、シーンの中に「パンクとはかくあるべき」っていう固定概念みたいなものができあがってますよね。でもその旧態依然とした価値観をぶち壊すのがそもそものパンクの精神性だし、自分たちもそうありたいなという意味も込めて、FRED PERRYとDr.Martensで統一したんです。まあメンバーみんなツッコミどころ満載なんですけど、活動していく中でその形やデザインが整っていったり、面白い方向に転がっていったりできればいいのかなって。BEAT CRUSADERSにしても、おそらくは毛皮のマリーズにしてもそうだったと思うんですけど、ある程度知名度が上がってしまったら、ある意味パンクと一緒で破壊と構築の繰り返しなんですよね。「完成されたもの、このバンドらしいものを出さなきゃ」ってプレッシャーが生まれるし、お客さんにもそういうものを求められるんでしょうけど、でも、こうして改めてゼロからバンドを始めるんであれば、そこはもうちょっと気楽にやってもいいのかなって思っているんです。それでなくともこれまでの経験のおかげで、自然と自分の中でのハードルは上がっているわけだし。

リスナーとしての物足りなさをプレイヤーとして吐き出す

──そのOiパンク、スキンズのファッションとラウドな音楽性のミクスチャーというのは海外にはない、日本独自なものだと思いますし、バンド名と今回のアルバムタイトルも日本ならでは。「THE STARBEMS」も「SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD」も日本が誇る特撮モノ「ウルトラセブン」が由来だとか。

日高 そうなんです。あるとき、なんかのきっかけで「ウルトラセブン」に出てくるギエロン星獣のことを思い出して。ネットで調べてみたら海外のおもちゃサイトでは「星獣」のことが「STARBEM」って訳されていて、その字面がカッコいいと思ったし、俺と西くんが共通して好きなザ・スターリンを彷彿とさせるようでもあり(笑)。まあそういう単純な理由と、あとは震災の影響。放射性物質で攻撃するギエロン星獣にちなんで付けた名前でもあるので、アルバムタイトルも「ウルトラセブン」にちなんだものにしたいなと思って。真っ先に浮かんだのが、そのギエロン星獣登場回のセリフの英訳「SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD」、つまり「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」なんですよ。

──無意味な軍拡競争を批判した「ウルトラセブン」第26話に出てくる主人公・諸星ダンのセリフですね。そういう意味でTHE STARBEMSはその成り立ちからバンド名、アルバムタイトルに至るまで、東日本大震災とそこから派生するものでビシッと統一されているわけですね。

日高 そうです。震災をきっかけに動き出したバンドですからね。ただもう一方で「音楽のリスナーとして日々感じている物足りなさをプレイヤーとして吐き出したい」という思いが自分の中には常にあって。そういう思いで作ったアルバムでもあります。だから、震災に対する怒りがきっかけに生まれた作品ではあるんですけど、自分で聴いていてもうれしくなりますし、リスナーさんにも喜んで聴いてもらえたらいいなって。今は素直にそう思ってますね。

THE STARBEMS
ニューアルバム「SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD」 / 2013年6月5日発売 / DefSTAR Records
初回限定盤 [CD+DVD] / 3200円 / DFCL-2008~9
通常盤 [CD] / 2800円 / DFCL-2010
CD収録曲
  1. DESTINY
  2. The Crackin'
  3. MAXIMUM ROCK'N'ROLL
  4. WISE BLOOD
  5. ARE U SURE?
  6. INSIDE OUT
  7. No Reaction
  8. FUCKIN' IN THE AIR
  9. HIGH RISK
  10. FORGIVENESS
  11. HUMAN RIGHTS
  12. DREADRONE
  13. GOOD-BYE LOVE
初回限定盤DVD収録内容
  • THE SEARCH FOR ANIMAL CHIN~東北ライブハウス大作戦ツアー“PLACE TO PLAY 2013”
THE STARBEMS(ざ・すたーべむず)

THE STARBEMS

2010年のBEAT CRUSADERS“散開”後、日高央(Vo)が展開していたソロユニット「ヒダカトオル(BAND SET)」がその前身。ヒダカトオル(BAND SET)のサポートメンバーとして寺尾順平(B / ex. ワイルドマイルド)、後藤裕亮(G / LOCAL SOUND STYLE)、高地広明(Dr / SHENKY GUNS)、越川和磨(G / ex. 毛皮のマリーズ)、菊池篤(G / Fed MUSIC)が続々と集結し、2012年9月よりTHE STARBEMSとして活動を開始する。2013年3月、ユニコーンのトリビュートアルバム「ユニコーン・カバーズ」に提供した「I’m a loser」のカバーがTHE STARBEMS名義での初音源となり、翌4月に1stシングル「FUTURE PRIMITIVE e.p.」を4444枚限定でリリース。そして6月、1stアルバム「SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD」をリリースする。