Spotify特集|小泉今日子が語るポッドキャストの魅力、新番組「ホントのコイズミさん」を始めた背景

小泉今日子がパーソナリティを務めるSpotifyのオリジナルポッドキャスト番組「ホントのコイズミさん」の配信が、本日4月5日にスタートした。

世界で3億4500万人以上のユーザーが利用するオーディオストリーミングサービスSpotifyは近年、音楽とともにポッドキャストを中心とする音声市場の拡大も牽引しており、多様なジャンルのオリジナル番組を配信している。その中の1つである「ホントのコイズミさん」では、文筆家としても知られる小泉が本に関わる人たちをゲストに招き、自由気ままにトークを繰り広げる。音楽ナタリーではこの番組の配信開始に合わせ、小泉へのインタビューを実施。「ホントのコイズミさん」の紹介はもちろん、ポッドキャストの魅力やコロナ禍でのライフスタイルの変化などについて語ってもらった。

取材・文 / 岸野恵加 撮影 / 山口真由子

ポッドキャストは構えないで作れる

──小泉さんはもともとポッドキャストを活用されていましたか?

小泉今日子

はい。聴き逃してしまったラジオ番組を聴いたりしています。家で掃除をしているときとか、映像だと集中が切れてしまうけれど、音だけだと動きを止めなくて済むじゃないですか。何かをしながら耳から情報も取り入れられるって、一石二鳥という感じがして(笑)。

──確かにお得感はありますね(笑)。今回配信がスタートする「ホントのコイズミさん」はSpotifyから企画提案があったそうですが、最初にオファーを受けた際はどう思いましたか?

私はもともとラジオが好きなんです。自分がおしゃべりすることも好きですし、ラジオには話し手と聴き手が時間を共有する感覚がある気がしていて。みんながそれぞれパーソナルな場所にいながら同じ時間を過ごせる感覚というか。そういう場所を作りたいなとなんとなく思い描いていたところに今回のお話をいただいたので、突然舞い込んできた天使のようでしたね(笑)。

──タイミングがバッチリだったんですね。小泉さんはこれまで「オールナイトニッポン」などラジオ番組にたくさん出演してこられましたが、同じトーク番組と言ってもポッドキャストとなるとまた新鮮味があるものでしょうか。

はい。先ほど話したような時間を共有する感覚って、生放送だとより強まると思うんですけど、ポッドキャストは聴く人が好きな時間、場所を選ぶことができますよね。朝に聴く人もいれば夜の人もいる。それは逆に広がりが出る感じがするな、と。あと一番魅力に感じるのは、自由度の高さ。放送局のラジオだとスポンサーさんがいらっしゃったりで、どうしても規制とかがあったりするんですけど、ポッドキャストは構えないで作れる感覚があります。

──ラフな感じでできると。

うん、なんか、すごく自由です(笑)。CMが入らないから、番組のフォーマットもかっちり決めなくていいし。

──Spotifyでやるという点では、どのあたりが魅力でしょう?

今って音楽を聴くのもサブスクが主流になっていますよね。私もそうで。サブスクって、どんどん自分の興味が広がっていく感じがありませんか? ポッドキャストも音楽もですけど、1つの番組を聴いていたら「これが好きならこんな番組もありますよ」ってオススメが出てきたり。そういうところは魅力だと思いますね。あとは年齢層があまり偏っていないというか、みんなが集える感じもあるし。ポッドキャストと音楽のサブスクリプションがいっぺんにまとまっているのもいいなと思いました。

──ちなみに小泉さんは昨年8月にサブスク配信を解禁しましたが(参照:小泉今日子、全104タイトルのべ726曲が一斉サブスク解禁)、それで若い世代のファンが増えるなどの変化は何かありましたか?

そうですね。ちょうど今アジアで日本のシティポップとか80年代のアイドルソングが注目されているみたいで、若い10代の子も宝探しのように私の音源を中古レコード屋さんとかで買ってくれているみたいなんです。そこへいっぺんに全タイトルをサブスク解禁したので、「こんな曲もあったんだ!」って楽しんでくれているみたいですね。SNSで10代の子や、韓国、台湾、中国の子からもメッセージをもらったりするので、そういうところでも広がりを実感します。

小泉今日子

新しいドアを開ける時代

──今回スタートする番組「ホントのコイズミさん」のテーマは「本」ということですが、これはどのように決まったのでしょうか。小泉さんは歌手、女優としてはもちろん文筆家としても知られていて、読売新聞でも2014年まで10年間にわたって書評を担当されていましたし、本にはきっと思い入れが強いですよね。

今回この番組のお話をいただいたのはコロナ禍の中でしたが、自粛期間を経て皆さんきっと“自分の時間”について改めて考えたり、生活スタイルがかなり変わってきていますよね。私も、本を読む楽しみを改めて感じたんです。あとは、いろんな本屋さんが増えてきていることがすごく面白いなと思っていたので、本に携わる方々に「何を大事にして生きているのか」をお伺いすることで、番組を聴いてくれた人の次の行動に影響を与えることができるかもしれない、ということも考えて決めました。

──昨年音楽ナタリーのコラム連載「渋谷系を考える」にご登場いただいたときも、小泉さんは「教えてあげることで誰かの心の世界が広くなるのを見たい」とおっしゃっていました(参照:渋谷系を掘り下げる Vol.14(最終回) 小泉今日子が語る“渋谷系の目利き”川勝正幸)。「誰かのきっかけになりたい」というのは、小泉さんがとても大事にしているところなんですね。

たぶんここ何年かは、新しいドアを開いていくというよりは、今ある場所を守るという感覚がみんなの中にあったと思うんです。それはそれで間違っていなかったかもしれないけど、時代って、何かが作り上げられたら誰かがそれを壊すということの繰り返しだと思っていて。これからは壊す時代、新しいドアを開ける時代に入っているという感覚が自分の中にはあるんですね。スタートのピストルが鳴った感じがするっていうか。それぞれがそれぞれの場所で、小さな革命を起こしていく必要性を感じています。