音楽ナタリー Power Push - SHE'S
「人と向き合う」ことで新たなフェーズへ 待望のメジャーデビュー作を語る
10年の付き合いで生まれた“老夫婦感”
──人と向き合うようになったということは、メンバー間のコミュニケーションもよくなってそうですね。
井上 ヘンな言い方やけど、老夫婦感が出てきたよな?
服部 言わんでもわかる、みたいな(笑)。
井上 なんやかんや、10年くらいの付き合いやし。でもまあ、僕以外の3人はようしゃべりますよ。
──僕以外って……逆なんじゃないですか?
一同 あはははは!(笑)
井上 バレたー! すいません、その通りです(笑)。中でもドラムはわりと静かかな。
木村 (話を)聞くタイプです!
井上 っていうか、聞くしか術を持ってへんやないか!(笑)
──(笑)。話を戻して、カップリングの「日曜日の観覧車」は音の抜き差しが面白くて、新しいSHE'Sだなと思いました。
井上 ポップ感がありますね。もともとのリズムやノリの楽しさを生かすために音を抜いたり、間を作ったり埋めたりして。イントロも最初は「ドゥルル ドゥルル トゥン♪」の「トゥン♪」がなかったもんな、ギター。「ここ埋めたほうが面白いんちゃう?」言うてな。
服部 そうそう! ギターもアンプも普段のやつと変えてて、今までと違うテイストに仕上げてみました。
井上 ハードロックを感じるけど、さわやかやんな。オルガンも入れて。
──間奏もとても楽しそうです。
井上 楽しい!
広瀬 音源は楽しいんですけど、レコーディングはねえ……。
井上 ベースだけ200回くらい録り直したな。
服部 あははは!(笑)
広瀬 リズムというよりニュアンスにこだわりすぎて、出口が見えなくなり(笑)。
木村 僕もこれはけっこう録り直しました。SHE'Sではこういうテンポがあまりなかったんで。
井上 俺もうわかってたわ、合わせる前から。この曲、キムは迷うやろなって(笑)。
木村 ええー!(笑)
井上 でも、ここまで垢抜けたハッピーな感じになるとは予想してなかった。
広瀬 レコーディング中に一番変わったし、よくなった曲ですね。「Morning Glow」に比べて、かなり苦労したけど。
メロディと歌詞のよさで生き残りたい
──シングルを出すにあたって、タイプの違う3曲にはしたかった?
井上 そうですね。3曲聴いて飽きないものにしたくて、なおかつ1stらしく景気のいいナンバーをブッ込みたかった。全曲で明るく攻めると、コントラストを付けるのが難しいところもあったんですけど、テンポ感を変えたりしながら。「Time To Dive」はライブでガシガシいける曲を、と考えて作りました。僕のメロコア好きな部分も入ってます。
──3曲とも、前へ前へという気持ちが見えますよね。「Morning Glow」では「願うだけで踏み出せずにいた」、「Time To Dive」では「手に入れることが全てと思ってた」と過去を捉えられてるように、ある種の山をひとつ越えたのは確かで。でも、まだすごく飢えてるっていう。
井上 僕とバンドの今のモードな気がしますね、これは。曲にまんま出るんやなあ(笑)。
服部 アレンジや曲の展開にしても、成長できたと思います。まだまだ越えていきたい意欲はもちろんありつつ。
井上 だけど、やたらと複雑にしたり奇をてらったりはやらなくなったよな。J-POPでずっと愛される曲って、「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ」みたいな普通の展開が多いじゃないですか。でもいいものはいいから、やっぱり大事なのはメロディと歌詞で。僕はそのよさで生き残りたいから、それをいかにブラッシュアップできるか。メンバーはメロディと歌詞を生かしながら自分がどこで生きるか。そういう考え方になったのも、大きな変化やな。
広瀬 アレンジの方向性が定まってきたんちゃうかな。竜馬が曲を持ってきてからの反応速度も上がってるし、この3曲で今後の広がりが見えた感じもあるし。「俺ら、意外となんでもできそうやな」って。
イントロでガツンと迫力が伝わるはず
──今作のタイミングでSHE'Sと出会うリスナーも多いですよ、きっと。
井上 そうだとうれしいなあ。僕は歌詞に注目してほしいんです。情景を意識して作ってるけど、受け手によって違う景色が浮かぶような、変わり得るものでありたくて。具体的かつ抽象的というか、その時々で感じ方も違うはずやから、自分に当てはめて聴いてくれたらありがたいし、自然と当てはまれば最強やなと思ってます。
広瀬 僕は「どうのこうの言わんと、なんも考えずに聴いてください」って思いますね。
井上 なんで俺の意見、否定すんねん! 俺が曲作っとんねん(笑)。
一同 わはははは!(笑)
──それだけ自信があるってことですよね?
広瀬 そう! 歌もピアノもギターもドラムもベースも、音の塊みたいな感じです。
服部 ライブを想像してもらえるといいかな。「日曜日の観覧車」は新鮮なノリやけど、実はロックバンドらしさが出せる曲だと思うし、「Time To Dive」もみんなと一緒に歌いたい気持ちが強いです。
木村 今まで通りスケールの大きさや疾走感がある上に、新しいテイストも増えてて、聴きどころが多いと思うんですよね。なのでジャンル問わず、いろんなリスナーにチェックしていただきたいなと。「Morning Glow」のイントロで、ガツンと迫力が伝わるはずやから。
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CD収録曲
- Morning Glow
- 日曜日の観覧車
- Time To Dive
DVD収録内容
- Live Footage "She’ll be fine -chapter. 0- at Shibuya Club Quattro, 3.14.2016"より、東京公演の模様を収めたダイジェストライブムービー(計5曲収録予定)
- SHE'S Major Debut Single「Morning Glow」RELEASE TOUR ~The Everglow -chapter.1-~
- 2016年7月20日(水)
東京都 渋谷CLUB QUATTRO
出演者 SHE'S / and more - 2016年7月26日(火)
愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
出演者 SHE'S / 雨のパレード - 2016年7月28日(木)
大阪府 梅田CLUB QUATTRO
出演者 SHE'S / GLIM SPANKY
SHE'S(シーズ)
井上竜馬(Vo, Key, G)、服部栞汰(G)、広瀬臣吾(B)、木村雅人(Dr)からなる4人組ピアノロックバンド。2011年に結成して地元大阪を中心に活動を続け、2012年に行われた「閃光ライオット2012」ではファイナリストに選出された。2014年7月に初の全国流通盤となるミニアルバム「WHO IS SHE?」を発表し、2016年5月には2ndミニアルバム「WHERE IS SHE?」をリリース。2016年2月に3枚目のミニアルバム「She'll be fine」を発売し、3月に全国5都市のワンマンツアー「She'll be fine -chapter.0-」を開催した。6月にリリースするシングル「Morning Glow」で、Virgin Musicからメジャーデビューを果たす。